THE BOOK OF HEADS (Tzadik)
- John Zorn featuring Marc Ribot

  1. Etude #1
  2. Etude #2
  3. Etude #3
  4. Etude #4
  5. Etude #5
  6. Etude #6
  7. Etude #7
  8. Etude #8
  9. Etude #9
  10. Etude #10
  11. Etude #11
  12. Etude #12
  13. Etude #13
  14. Etude #14
  15. Etude #15
  16. Etude #16
  17. Etude #17
  18. Etude #18
  19. Etude #19
  20. Etude #20
  21. Etude #21
  22. Etude #22
  23. Etude #23
  24. Etude #24
  25. Etude #25
  26. Etude #26
  27. Etude #27
  28. Etude #28
  29. Etude #29
  30. Etude #30
  31. Etude #31
  32. Etude #32
  33. Etude #33
  34. Etude #34
  35. Etude #35

Composed by John Zorn
Marc Ribot (g)

1995/03/19

たまたま家族が寝静まった深夜に、仕事をしながらボーっと聴いていた。

思わずPCを打つキーがとまる。

ぼわーっと、窓越しに映る月を見たりして、変に心の中が乾き、同時に微妙な湿った空気に満たされてゆく。

マーク・リボー。

正直言って、この人のギターはよう分からんです(笑)。
何をやりたいのか、どういう意図があるのか。

うまいんだか、ヘタなんだか。あるいは、わざとヘタに弾いているのか。

しかも、弾いている“曲”は、ジョン・ゾーン作曲のものばかり。

ジョン・ゾーンの曲が最初からエキセントリックなのか。
ジョン・ゾーンの曲がエキセントリックな仕上がりになったのか。
それとも、作曲、演奏がともにエキセントリックゆえ、相乗効果でこのような結果に落ち着いたのか。

あるいは、ゾーンの作曲に従うと、このようなカタチにしか収まりようがなかったのか。

正常な心の持ち主が自然と狂っているようなソロギター。
だから、狂気という言葉はまったく似合わない。

しかし、どこか精緻に歪んでいる。
ギターを初めて手にする子供が無邪気に戯れているような音でもあり、逆にギター仙人が過去の理論や経験の一切を捨て去り辿りついた境地の音はひょっとするとこのような音なのかもしれない。

この微妙な匙加減、空気感が、ジャンクのようなギターフレーズに、不思議な音の存在感をもたらす。

聴き手の平常心を軽くかき乱してくれる微毒のこもったギターは、孤独な夜の神経を静かに昂ぶらせるのだ。
(2007/03/11) 

ジョン・ゾーン名義になっているが、中身は全編マーク・リボーのソロ・ギターだ。
ジョン・ゾーンがソロ・ギターのために作った曲をリボーが弾いている。

個人的にはマーク・リボーというギタリスト、一癖も二癖もあるギタリストだという認識がある。
アート・リンゼイの後釜として参加したラウンジ・リザーズや、エルヴィス・コステロ、トム・ウェイツなどなど、彼が共演したミュージシャンやグループには個性の強い人が多い。

加えて、ニューヨークのニッティング・ファクトリーに出入りしているミュージシャンとの親交もある。
ニッティング・ファクトリーとは、フリー・ジャズをはじめとする、先鋭的で尖った音楽をやっている人々が出演しているライブ・ハウスだ。
そういった彼の音楽的親交関係を見ているだけでも、個性とアクの強いギタリストというイメージを抱いてしまう。

そして、そんな彼が、アクの塊の最右翼とも言える、ジョン・ゾーンの曲を演るというのだから、「怖いもの見たさ(聴きたさ)」な好奇心がムクムクと湧いてこようものだ。

アルバムの音に関してだが、正直に言ってしまえば、こういうギターを、どう説明して良いのか言葉につまるところがある。
ギタリストのプライベートな練習風景を覗き見てしまったような感覚。
あるいは、ギタリストが音のアイディア出しや、曲作りの断片をプライベートに録音したものをたまたま耳にしてしまった時ような気持ち??
いずれにしても、密室感と閉塞感の非常に強い音だ。

非メロディアス、旋律が極端に細分化されている。
決して不愉快ではないが、愉快でもない。
そのくせ、耳はしっかりとスピーカーに吸い寄せられている。
なぜ吸い寄せられるかというと、なんだかよく分からないけれども、何故か気になるから。

ギターのうまい人がわざとヘタに弾いているようでもある(もちろん、実際はそんなことないのだが)。
あるいは、ギターを生まれて初めて触る子供が無邪気にギターを戯れているようにも聴こえる(これも、そんなことないが)。

よれよれなところもあるかと思えば、妙に鋭利で攻撃的な瞬間も垣間見せるリボーのギターは、こちらの意識に引っかかりまくりなギターなことは確かだ。

吸い寄せられて、音に集中しているつもりでも、CDの曲番号を見ると、いつのまにか曲の区切りが気づかないまま、数曲が経過してしまっていたなどという肩透かしにもあう。

ジャケットはイクエ・モリによるデザイン。
なんだかスライ&ファミリー・ストーン『暴動』の裏ジャケットのデザインをわざと雑に真似たような感じのデザインだ。
ただ、このアルバムの殺伐さと埃っぽさが良く表れているデザインでもある。

ジャズ・ギターを弾いている人は、このアルバムを聴くと、どういう感想を抱くのか、個人的には興味がある。

(2003/05/03) 

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