BLACK MARKET (Sony) |
| - Weather Report |
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Wayne Shorter (ss,ts) Joe Zawinul (p,syn) Alphonso Johnson (el-b) Jaco Pastorius (el-b) Chester Thompson (Ludwig Drums) Narada Michael Walden (ds) Arejandro Neciosup Acuna (per) Don Alias (per) 1975/12-1976/01 |
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最近の、というより、ここ20年間の、と言ったほうが早いが、要するにここ20年ほど前から出現したFM音源やPCM音源といったデジタル音源のシンセサイザーに関しては、音が鳴る原理や、音作り、操作方法など、まったく理解出来ていない私だが、アナログシンセサイザーには一時期、とてもハマっていたうえに、かなり凝った音作りをしていた。 アナログシンセとは、乱暴に言ってしまうと、つまみやレバーがたくさんボディについているシンセね。 ミニ・ムーグとか、プロフェット5とか、はたまたコルグのモノポリーのように、ツマミだらけの機械のカタマリに鍵盤が合体したような楽器を思い浮かべた人は、ハイ正解。 これらツマミだらけのシンセって、つまみが多いだけに、複雑怪奇で、操作が大変だと思うでしょ? じつは逆なんです。 なぜなら、ツマミの数が、やれることのすべてだから。 つまり、操作出来る数しかツマミがないのです。だから、それぞれのツマミの機能を覚えるとラクなんです。 視覚的に音を作ることが出来るんだ。 たとえば、サスティンタイムという音の伸びる時間を調整する機能があるんだけれども、アナログシンセは、そのつまみをクルッと回して調整すれば、それでオシマイ。 音が短すぎると思えば時計回りにツマミを回せばいいし、音が長いと思ったら、左側にツマミを回すという、一瞬の微調整で済んでしまうのです。 かたや、表面がツルツルしていてツマミとかボタンがほとんどない機種の多い、デジタルシンセはどうだろう? 見た目のシンプルさゆえ、操作が簡単だと思うでしょ? ところがところが。 操作出来る内容が、ツマミやスイッチとして外見で主張していないがために、かえって分かりにくいブラックボックスなのですよ。 何が出来て何が出来ないのかは、その外観だけからは推測が出来ない。 つまり、サスティンの長さを変えたければ、アナログシンセの場合だったら、先述したようにそのツマミをくるっと回せばすぐに調整が出来たんだけれども、デジタルシンセの場合は、まずはディスプレイを見ながらサスティンという項目を呼び出して、数字で調整していかなければならない。 現在のサスティンが50だとして、もう少し長さを伸ばしたい場合は、55とか60とかと入力して、音を出して試聴。 ちょっと長すぎるかな? と思ったら、今度は、53と再入力。この入力、入力を繰り返しながら音を作ったり調整してゆくわけ。 ツマミをクルリ!と回して微調整が出来るアナログシンセとは違って、えらく面倒くさい。時間がかかる。 もっとも製品によっては、ディスプレイにツマミやレバーが表示されて、指先感覚で微調整できる機種もあるけどね。 でも、サスティンという項目を呼び出してから調整することには変わらない。つまり2度手間なんです。 …と、長くなってしまったけれども、要するに、デジタルシンセは今の携帯電話と同じで、たくさんの機能を持っているんだけれども、表面のレイアウトがシンプルなぶん、1つのボタンに複数の意味や役割を持たせてしまっている。 よって、操作に慣れていない人にとっては、かえって不可解なブラックボックスになってしまっているのと同じなんですよ。 それに比べて、アナログシンセは本当、単純。 音の作り方も、発信音を加工して作ってゆくので、パネルの上にツマミがあるほうが、音の出来る過程が直感的に分かるのだ。 で、なにを語ろうかとしているのかというと、じつは、ウェザー・リポートの『ブラックマーケット』だったりする。しかし、シンセ話、もうちょっと長くなりそうだ。 アナログシンセサイザーは、本体から発信された音の波に加工を加えて、様々な音色を作りだす楽器、というより機械なわけですが、この“音源”はアナログシンセの場合は、比較的単純な図形で描ける音源からスタートする。 メーカーによって若干の呼び名が変わったりするが、大きく分けると、 “冂”のようなカタチの波の“矩形波”、 “へ”のようなギザギザのカタチが連続するノコギリ波、 それに、ザーッという、夜中のNHKの砂の嵐のような音色のホワイトノイズなどに分かれている。 まずは、ツマミで、これらの音源を選択し、この音源に様々な加工して音色を作ってゆくのだ。 矩形波の特徴は、滑らかで物憂げな音を作りやすい。クラリネットのような丸くて艶のある、ヌルッとした音が作りやすい。 もっとも、音の加工の仕方によっては、かなり尖った音も作ることが出来るので、あくまで、丸い、物憂げといったのは、あくまで、この波形の大雑把なキャラクターだと認識していただければ。 逆に、ノコギリ波の音源は、文字通り、ギザギザした音が作りやすく、ディストーションをかけたギターの音や、金管楽器の音のように、どこか尖がった成分のある楽器の音を作りやすい。 この差は、なかなか文字では表現しきれないんだけれども、 矩形波の「まーみーむーめーもー」に対して、 ノコギリ波は「ばーびーぶーべーぼー」、 矩形波の「なーにーぬーねーのー」に対して、 三角波は「ざーじーずーぜーぞー」な感じです。 ベースでいうと、指弾きの温かいニュアンスは矩形波、 ピック弾きのギザギザした要素は、ノコギリ波で表現しやすいですね。 サックスでいうと、 ラヴァー製のマウスピースの音が矩形波、 メタルのマウスピースだとノコギリ波。 図形で言うと、矩形波は○、ノコギリ波は△な音。 もっと、ほかにも音源はあるのだけれども、分かりやすいようにあえて2つの音源を引き合いに出して語ったのは、ウェザー・リポートの『ブラック・マーケット』は、アナログシンセの○と△の音色のブレンド具合がもの凄く気持ちの良いアルバムだからなのだ。 どちらかというと、○な矩形波の要素が全体のトーンを彩り、これに対して、効果的にアルペジオや装飾リフなどが△な音が入り混じって、アンサンブルの単調さを防ぎ、なおかつ広がりを持たせているという、キーボード奏者、ジョー・ザヴィヌルのセンスが光っているアルバムといえる。 ザヴィヌルは、編曲のセンスのみならず、音色のセンスにも敏感だったということが、このミルキーな肌触りに彩られた『ブラック・マーケット』に触れてもらえば、一聴瞭然。 ショーターのソプラノサックスの音色も、フレーズや音域によっては、○な音色になったり、△な音色になったりと、微妙に表情を変えるので、見事に、ザヴィヌルが配色した音の世界に溶け込んでいる。 ザヴィヌルとショーターのコンビが長らく続いた理由は、音楽性以前に、音色の相性が良かったから。というよりも、ザヴィヌルがショーターのサウンドキャラクターを考えた上での音作りを常にしていたからでしょう。 だからこそ、ショーターは最初はリーダー的な存在だったけれども、このアルバムあたりから、コ・リーダー的な位置に退き、後半になればなるほど、サックスをただただ気持ちよく吹くことだけに専念すればよかった。 もちろん、このアルバムは、意外とスタイルに共通点を見出せるジャコ・パストリアスやアルフォンソ・ジョンソンのベースプレイも聴きどころではある(ジャコは2曲目と6曲目のみ参加)。 しかし、このアルバムの美味しさは、あくまで乳白色に彩られた暖かい音色のブレンドが醸し出す、ミルキーで柔らかな世界にあると私は思っているのです。 暖かい音色のブレンド加減と、柔軟なリズムの融合。初期の作品に見られるような刺激は少ないが、心地よさは他のウェザー作品の中では群を抜いている。 |
| (2006/06/21) |
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