CRAZY AND MIXED UP (Pablo Today)
- Sarah Vaughan

  1. I Did'nt Know What Time It Was
  2. That's All
  3. Autumn Leaves
  4. Love Dance
  5. The Island
  6. Seasons
  7. In Love In Vain
  8. You Are Too Beautiful

Sarah Vaughan (vo)
Roland Hanna (p)
Joe Pass (g)
Andy Simpkins (b)
Harold Jones (ds)

1973/12/10

このアルバムの目玉は、なんといっても《枯葉》だろう。
圧巻!としか言いようがない。
ハイ・テンポのリズムに乗って、サラ・ヴォーンはテーマの旋律を抜きに、最初から最後までスキャットで歌いまくる。
冴え渡ったスキャットだ。このパワフルさ、疾走感、ドライブ感がたまらない。
《ワーク・ソング》をチラッと引用しているあたりも、ニヤリとさせられる。

この『クレイジー・ミックスト・アップ』のレーベルはパブロだ。
パブロのオーナーは、言わずと知れたノーマン・グランツだ(ヴァーヴのオーナーとして有名ですね)。
パブロ・レーベルから出ていた、これまでのサラのアルバムは、ノーマン・グランツのプロデュースだったが、本作では「自由にやっていいよ」ということで、サラ自身のセルフ・プロデュースとなった。
レコード会社からの制約を受けないことが効を奏してか、アルバム全編、のびのびとしたサラの歌唱が楽しめる。
きっと、サラ自身としても、納得のゆく出来ばえだったのだろう。まるで、「わを!!」という声が聞こえてきそうな、ジャケットのポートレイト。心底嬉しそうで、まるで心が舞い上がっているような、素敵な写真だと思う。
歌うことが楽しくて楽しくて仕方がないといった表情だ。

ローランド・ハナとジョー・パスというパーソネルも、通好みというか、渋い人選だと思う。
ローランド・ハナの的確なバッキングに、胸躍るジョー・パスのギター・ソロ。
特に、《枯葉》のイントロのギターや、サラのアドリブ・パートに重なるように、ソロを弾きはじめるジョー・パスのギターは、最高にのっている。盛り上げ方がとてもうまい。

また、このアルバムの選曲も面白い。
《時さえ忘れて》といったスタンダードナンバーの他に、ブラジルの歌手、イヴァン・リンスの曲が、2曲入っていたりもする。
これは、過去にボサノバのアルバムを録音した名残りからなのだろうか。

とにかく、このアルバムでのサラの歌唱は、ベテランの余裕が感じられるし、あの独特な「喉の奥で納豆が糸を引く」ような、太くて粘る声もたっぷりと堪能出来る。
エラ・フィッツジェラルドの『エラ・イン・ベルリン』とともに、私にとっては、かけがえのない「スキャット名盤」だ。

あ、もちろん、《枯葉》だけじゃなくで、じっくりと歌い込んでいるバラード表現も素晴らしいです(←取ってつけたように)。
(2002/04/07) 


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