大人(アダルト) (EMIミュージック・ジャパン) |
| - 東京事変 |
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椎名林檎(vo) 亀田誠治(el-b) 浮雲(g) 伊澤一葉(key) 刄田綴色(ds) 2006年 |
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なぜジャズアルバムのレビューに、椎名林檎率いるバンド「東京事変」のアルバムを? と訝しがられる方は、まずは『大人(アダルト)』というアルバムを聴いてみて欲しい。 特にジャコ・パストリアスやスタンリー・クラーク、あるいはアンソニー・ジャクソンらエレクトリック・ベースの重鎮たちが繰り出す低音に痺れているフュージョンorベースサウンド・ファンは、東京事変の亀田誠治のベースにはやられっぱなしになるのではないだろうか? 椎名林檎の活動初期より、彼女のサウンド形成にはなくてはならない存在だった亀田師匠。 彼のベースは一言、エグい。 ベーシストのみならず、アレンジャーでもある彼は、アンサンブルの中におけれる自身のポジションをも計算に入れてベースを弾く人。だから、平井堅や矢野真紀らシンガーのバックに回ったときのベースのプレイは非常に堅実かつオーソドックスな内容だ。 つまり、相手や曲を選んでスタイルを使い分けているというわけだね。 他のシンガーのバックではオーソドックスなベースプレイに徹している亀田師匠だが、相手が椎名林檎になったときには本気モード全開となる。 その時のベースの破壊力といったら並大抵のものではない。 隙あらば、ハイポジションに弦を駆け上り、フロントのヴォーカルを犯さんとばかりに絡んでくる「破廉恥ベース」は、ポップスファンのみならず、同業者ベーシストからも注視、尊敬の念を集めているほど。 ベース好きなフュージョン・ファンは、管楽器やメロディなどの「うわもの」が多少ダサくとも、ベースの演奏さえ良ければ、それで良しとする方もいらっしゃるのではないかと思う。 もちろん東京事変の『大人』は、ウワモノの曲も素晴らしいものばかりだが、もし仮に、百歩譲って林檎ちゃん作り出すメロディや歌唱が好みではなかったとしても、ベースのサウンドやラインだけを追いかければ、手に汗握る興奮を味わえるのではないだろうか? とにもかくにも、まずは《ブラックアウト》のサビのベースラインを追いかけてみよう。 ヌルリとした疾走感をともなってドライヴしまくる亀田師匠の「破廉恥ベース」。 グリスを多用したエゲつないほどのベースラインと、前のめりのスピード感。 まさにこれこそ椎名林檎という歌手、ひいては東京事変というバンドにはなくてはならない心臓であり、エンジンであり、核なのだ。 他にも、ファットに猛った4ビートが疾走する《喧嘩上等》、 泣けるメロディを堅実に支えるボサ風ナンバーの《化粧直し》、 和風ポール・ジャクソンとでもいうべき太くて細やかな16の音価でプッシュする《修羅場 adult ver.》や、ベタでシュガーで楽しいメロディにパンチの効いた重みとスピードを付加している《透明人間》などなど、傾聴に値するベースラインが盛りだくさん。 正直、亀田誠治が参加している椎名林檎の作品は、どのアルバムもオススメなものばかりなのだが、バンドサウンドとしての荒々しさと、緻密なアンサンブルの「引き算・足し算」がバランス良く融合した東京事変の『大人(アダルト)』は、ジャンルにとらわれず、音そのものからエネルギーと栄養を吸収している貪欲な耳を持つ音楽ファンの耳をマンゾクさせてくれるだけのパワーを持つアルバムだと確信する。 そして、バンドの要・亀田誠治のベースは超一級品のセンスとプレイだということが、イヤというほど分かるだろう。 |
| (2010/11/01) |
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