VINTAGE (King/Paddle Wheel) |
| - 佐山雅弘 |
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佐山雅弘 (p) 井上陽介 (b) 大坂昌彦 (ds) 2010/10/12-14 |
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オーソドックスながらも高級感溢れるピアノトリオだ。 このアルバムに収録されている曲は、奇をてらったり、斬新な解釈やアプローチで演奏されているわけではない。 しかし、オーソドックスな演奏ながらも、そこから醸しだされる豊饒なる音空間は、それこそタイトルの「ヴィンテージ」を彷彿とさせるものがある。 佐山雅洋は「PONTA BOX」や自身のユニットでの「M’s(マサチャンズ)feat.佐山雅弘」でのピアノが印象が先立つファンも多いことだろう。もちろん私もその一人だ。 これらの音源を聴いていると、佐山雅弘というピアニストは、スマートな軽やかさをも兼ね備えた非常にキレのあるテクニシャンだと感じる。 しかし、それだけのピアニストではないぞ、単に指が動くだけのピアニストじゃないぞ、ということを万人に示すアルバムが、この『ヴィンテージ』なのだ。 ベースが齋藤陽介、ドラムスが大坂昌彦。 ベテランのリズムセクション2名を従えて繰り出す音は、ストレートな演奏でありながらも一瞬たりとも聴き手を飽きさせない。 シングルトーン中心で奏でられるテーマとアドリブは、まったくもって直球勝負。曲を自分の指癖に我田引水することなく、ひたすら原曲の良さを引き出すことに努めている。 音数も少なめ。しかし、だからこそ、一音一音をいつくしみながら発せられるピアノの音はふくよかで、味わい深いコクがある。 収録曲は《ワルツ・フォー・デビー》や《サマータイム》、《マイ・ファニー・ヴァレンタイン》など、長年親しまれてきたスタンダード中心で、演奏のアプローチも非常にオーソドックス。ただひたすら丁寧に音が綴られるのみだ。 悪く言えば平平凡凡としたアプローチと言えるかもしれない。 しかし、優れた表現力を持つ佐山には、とりたてて奇をてらった表現など必要なかったのだろう。ただただ曲から美しさを引き出すことに専念し、リズム陣はその佐山を静かに手堅くサポートするだけで、ここまでの鑑賞に値する作品が仕上がった。 先ほど、佐山は単なるテクニシャンではない旨を記したが、このアルバムでは特にピアノの音色に注目してもらいたい。なんと美しいピアノ音色。1音1音、深くなめらかな深みをたたえていることか。 これも佐山雅弘というピアニストの奥深い表現力のひとつなのだ。 個人的に愛聴しているのは、ラスト2曲。 目まぐるしく展開が移り変わる《ラプソディ・イン・ブルー》の後に、ふわりと始まる、デューク・エリントンのナンバー《イスファハン》がいい。シンプルなアプローチながらも、いや、シンプルなアプローチだからこそ、原曲の魅力をさらりと浮き彫りにし、しっとりと、しみじみとした味わいを醸し出している。 まさに、タイトル通り、ヴィンテージもののワインの味わいだ。 |
| (2010/12/29) |
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