HORACE SILVER AND THE JAZZ MESSANGERS (Blue Note) |
| - Horace Silver |
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Horace Silver (p) Kenny Dorham (tp) Hank Mobley (ts) Doug Watkins (b) Art Blakey (ds) 1954/12/13 #1,2,3,8 1955/02/06 #4,5,6,7 |
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あるインタビューでホレス・シルヴァーはこう答えている。 もし、拳銃をつきつけられて、ピアノか作曲のどちらか片方だけを選べと脅されたら、自分は曲作りのほうを選ぶだろう、と。 ケンケン!と激しくドライブするバッキングに、ポキポキと硬質なフレージング。特徴あるスタイルゆえ、とかくピアノの演奏に視線が注がれがちなシルヴァーだが、たしかに彼の作・編曲のセンスには非凡なものがある。 アルバム中の最低1曲か2曲は、1度聴いたら忘れられないほど印象深いメロディが収められていることは周知の通り。 その秘密は“血”なのかもしれない。 彼の父親はポルトガル人。黒人の母親は聖歌隊でゴスペルを歌っていた。つまり彼の音楽的なルーツは、両親から受け継いだであろう「ラテン」と「ブルース&ゴスペル」なのだ。 彼の中では両者が混在し、微妙なバランスを取り合いながら魅力的な旋律が生まれるのだろう。 そういえば、別なインタビューで彼は曲作りについて、こう語っていた。根っこはブルースとゴスペル、スパイスとしてエスニックを振り掛ける、と。 『ホレス・シルヴァー&ジャズ・メッセンジャーズ』の曲を見てみよう。 彼言うところの、根っこの部分。つまりゴスペル色の強い曲が目立っているようだ。 筆頭は《ザ・プリーチャー》だろう。 古い黒人霊歌のコード進行を使って書いたという、あまりにキャッチーな曲調。アルフレッド・ライオンは生涯認めなかったが、この曲のヒットによって、当時のブルーノートの財政難は救われた。 もう一つの目玉は、アーシーな味が魅力な《ドゥードリン》か。 ジャズ・メッセンジャーズ結成直前の録音となる本作は、ハンク・モブレイ作の1曲を除けば、すべてホレスのオリジナルで固められている。 先述の2曲はもちろん、明るく快活な《ルーム608》、メランコリックな《クリーピン・イン》と、様々なタイプの曲が並び、まるで彼の頭の中の引き出しの中を覗き見ているようだ。 シルヴァーは、40枚近くのアルバムをブルーノートに残すが、ライオンが長い間、彼を録音し続けたのは、演奏面のみならず、レーベルのテイストに沿うメロディメーカーとして全幅の信頼を寄せていたからなのだろう。 そして、『ホレス・シルヴァー&ジャズ・メッセンジャーズ』を聴けば、長いキャリアの初期の段階において、既に彼の類稀なるメロディメーカーとしての才能は花開いていたのだということがよく分かるのだ。 |
| (2010/08/29) |
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ホレス・シルヴァーの“その自信に満ちた輝ける表情ゆえ、なんだかわけわからんけれども、なんとなく納得してしまうポーズ”のジャケットは2枚出ている。 バックの色はオレンジと水色の2種類。 オレンジ色の『ホレス・シルヴァー・トリオ』のほうは、ピアノトリオと、サブーとアート・ブレイキーによる“リズムの宴”という2部構成。 水色盤の本作は、初期のジャズ・メッセンジャーズがホレス・シルヴァーの曲を彩るといった内容だ。 古い黒人霊歌のコード進行を使って書いたという、あまりにキャッチーな曲調の《ザ・プリーチャー》は、ブルーノートのオーナー、アルフレッド・ライオンが気に入らず、発表するのを渋ったという話は有名。 ただ、結果的にこの曲がヒットしたことによって、ブルーノートの経営危機は乗り越えられたという話も有名。 しかし、後年になっても、ライオンは、この曲の功績は認めつつも、この曲そのものは認めたがらなかったという。 スタジオで、《ザ・プリーチャー》を演奏したがるシルヴァー、渋い表情のライオン。 二人の間の気まずい空気の中に、ブレイキーが「まぁまぁ、二人とも、このままじゃコトは進まないからさ、ちったぁ冷静になって考えてみようじゃないか。」と割って入ったという。 私個人も、《ザ・プリーチャー》はどうなのかというと、正直あまり好きではない。 一度聴いたら、すぐに口ずさめるほどのキャッチーなメロディと、明るいノリ。「こんなに親しみやすくていいの?」というぐらい楽しげな曲だということは認めるが、そのぶん、再聴に耐えるほどの深さは感じられない。 言っちゃ悪いが、なんだか、大型ショッピングモールの昼間のステージで行われるマジックショーのバックの音楽みたいだ。 しかし、この曲は別として、いや、むしろ、この曲以上に素晴らしいシルヴァーのペンによる曲はたくさんある。 たとえば、当時シルヴァーが住んでいたというアパートの部屋名がタイトルになった《ルーム608》。 軽量級なメッセンジャーズのアンサンブルが心地よく、朝日の差し込む爽やかなオフィスって感じ。 ま、本来はオフィスじゃなくて住居なんだけどね。 ほかにも、メランコリックな《クリーピン・イン》や、アーシーな《ドゥードリン》など、シルヴァーの作曲力が生きている曲たくさんある。 全体的にブレイキーのドラミングは引っ込み気味。 モブレイは後年のプレイよりも、やや辛口でハードボイルド。 ケニー・ドーハムのラッパがなかなか良い味を出しており、身をよじりながら味のあるフレーズを連発している様子が伝わってくる。 このアルバムはジャズ・メッセンジャーズ結成直前に吹き込まれたものだが、この時期のメッセンジャーズは、曲の面でもアレンジの面でも、ホレス・シルヴァーが強いイニシアチブを握っていたことが分かる演奏集だ。 もちろん、ホレスのリーダーだということを差し引いても。 《ザ・プリーチャー》が入っているがゆえ、オレンジ盤に比べると聴く頻度が低いアルバムではあるが、時おり棚から取りだしては、モブレイとドーハム、2人のホーン陣のプレイを楽しんでいる。 肝心のシルヴァーのピアノは? というと、正直あまりここでは印象に残るプレイが少ない。 どちらかというと、曲やアレンジのほうにばかり耳が行ってしまう。 もしかしたら、自分の曲に相応しいテイストで控えめなソロを取っているのかもしれない。 とにもかくにも、シルヴァーのプレイ以上に、彼のソングライティングの才能をたっぷりと味わえる1枚だ。 |
| (2007/01/31) |
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