DOIN' SOMETHING (Blue Note)
- Soulive

  1. Hurry Up...And Wait
  2. Doin' Something
  3. Evidence
  4. One In Seven
  5. Bridge To 'Bama
  6. Cannonball
  7. Shaheed
  8. Romantic
  9. Roll The Tape
  10. Joe Sample
  11. Golden Lady

Soulive:
 Eric Krasno (g)
 Neal Evans (org)
 Alan Evans (ds)

Guest:
 Fred Wesley (tb)
 Jeremy Pelt (tp)
 Jacques Schwarz-Bart (ts)
 Sam Kininger (as)
 Stephanie McKay (vo) track 8

2000/10/10-13 at Avatar Studios

オルガン奏者の奏でるベースライン。

たとえば、初期のジミー・スミスがフットペダルで奏でるベースラインはハッキリとは聞こえづらく、演奏のノリやドライヴ感を強調しているのは、むしろ右手による強力なメロディラインと、共演者のギターのカッティングに負うところが大きかった。

では、ベースラインのハッキリとしたオルガン奏者は誰だろう?

真っ先に浮かんだのが、ニール・エヴァンス。
ソウライヴのオルガン奏者。
ソウライブとは、オルガン、ギター、ドラムスによるトリオ編成のユニットで、グループ名は、“ソウル”と“ライヴ”と、二つの言葉をミックスしたもの。

このユニットのベースラインは強力だ。
ソウライヴのノリの良さは、ある意味、ニール・エヴァンスのオルガンによるベースラインが握っていると言っても過言ではない。非常に躍動感があり、なおかつ低音の輪郭がはっきりしているのだ。

そのヒミツは2つある。

1つは、彼はベースラインを足ではなく左手で奏でているということ。
手で、つまりペダルではなく、鍵盤でベースラインを奏でることによって、足よりも細かい動きが可能となる。
もっとも、これは、他のオルガン奏者もやっていること。

それに加えて、2つ目は、音質。
エレクトーンの鍵盤構成を思い浮かべてもらえれば分かると思うが、オルガンの鍵盤は上段と下段とに分割されている。
上段は右手のメロディ、下段は、左手の伴奏というようなパートに分けられているわけだが、ニール・エヴァンスのオルガン(ハモンドB3)には改造が施されていて、低音部、つまり下段の鍵盤から出る音は、ベースアンプから出力されるようになっているのだ。

よって、充実した低音がアンサンブルにもたらされ、迫力ある低音と、足ではなく指が奏でる躍動感のあるベースラインが楽しめるというわけだ。

もちろん、オルガンによる低音は、弦のベースのようなアタック感は足りないかもしれない。しかし、オルガン特有の“もにっ”とした柔らかな低音が、逆にリズムに粘り気と躍動感を与えているのだ。

ベースラインとは、当たり前だが、和音ではなく、単音で構成される低音のメロディラインだ。
左手でメロディを奏で、なおかつ右手でもメロディを奏でることは、鍵盤楽器をやっている(いた)人は実感が沸くかもしれないが、これがまた、結構難しい。
もちろん、左手でコード分解をしたパターン、たとえば“ドソミソ・ドソミソ”と和音に関係あるメロディラインを左手で弾き、右手でメロディを弾くことは、さほど難しくはないが、オルガンの奏でるベースラインは、一つの独立したメロディだ。

たとえば、彼らの2枚目のアルバム『ドゥーイン・サムシング』における《エヴィデンス》や、《ロマンティック》のようなグルーヴィなベースラインといったらどうだ。
このようなリズミックなラインを左手で弾きながら、右手でメロディを奏でるのって、かなり難しいことなんじゃないかと、「ツェルニー」までピアノを習っていた私にとっては思ってしまうのだ。ま、あまりクラシックとは関係ないかもしれないが。あ、でもバッハなんかは右手と左手を別々に運動する曲が多いから、出来る人と出来ない人がハッキリと分かれるといった話は聞いたことがあるぞ。

この右手と左手の独立運動は、“慣れ”といってしまえばそれまでだが、右手と左手でリズムというか、タイミングの違うメロディを奏でるということは、片手で《ドレミの歌》、片手で《むすんでひらいて》を弾くぐらい難しいんじゃないかと私は思ってしまう。

まぁ、それはともかくとして、ソウライヴのオルガンから発せられるベースラインはバラエティ豊かで、なおかつカッコいい。

もちろん、オルガンだけではなく、エリック・クラノスのギターもどことなく沈んだ雰囲気でクールだし、アラン・エヴァンスのドラムもしなやかさと、強靭さがバランス良く共存している。

個人としてのプレイも申し分ないが、それに加えて、グループとしての一体感もある。
メロディはキャッチーで分かりやすいが、実はかなり緻密なアレンジが施されている。なおかつ、キメの箇所もバッチリ。

ノリだけではなく、どこか知的な雰囲気をも漂わすソウライヴ。
ジャズ、ファンク、ソウル、ヒップホップなどのおいしいエッセンスだけをセンス良く抽出したサウンドは、踊るも良し、鑑賞するも良しな、良質なソウルジャズといえよう。

以前、このメルマガの読者から、アメリカでソウライヴのライヴに行ってきたという報告をいただいたが、もうそのときのノリは凄かったようだ。
生で味わってみたいグループの一つだ。
(2004/05/07) 


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