THE TRIP (Contemporary) |
| - Art Pepper |
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Art Pepper (as) George Cables (p) David Williams (b) Elvin Jones (ds) 1976/09/15,16 |
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私はペッパーといえば、どちらかといえば前期派で、麻薬で刑務所に入る前のピリッとした演奏が好きだ。 だからといって、後期のペッパーの演奏を全否定するわけではない。 後期の演奏にも、復帰後により一層強くなったエモーショナルな要素と、演奏内容が合致した場合は、前期にはない新たな情感を湛えた優れた内容のも数多くあることは重々承知している。 前期のペッパーのサラリとした情感は、どちらかというと音と音の“行間”から漂うものであったことに比べ、後期ペッパーの情感はもう少し具体的かつ直情的だ。 特に、このアルバムはドラムスがエルヴィン・ジョーンズということもあり、さらにペッパーの表現がよりいっそう前に出ることに拍車をかけているところがある。 このような“前に出た哀感”が良い方向に作用した演奏の一つに、『ザ・トリップ』に収録されている《スゥイート・ラヴ・オブ・マイン》がある。 この曲はトランペッターのウディ・ショウの作曲で、代表的な名演としては、ジャッキー・マクリーンのブルーノート最後の録音『デーモンズ・ダンス』に収録されているバージョンが有名だ。 ほか、同じトランペッターとしての敬意の念もあるのだろう、日野皓正もこの曲を『ブルース・トラック』で演奏している。 もちろん、上記2演奏は、名演なのだが(ヒノテルのトランペットはちょっとクサいが)、ペッパーのバージョンがなんといっても良い。 曲想と演奏内容がぴたりと合っているからだ。 演奏からこぼれてくるホロリとした切なさは胸を締め付けるものがある。 マクリーン&ショウのバージョンよりは、スローテンポ。 ヒノテルのバージョンよりは、アップテンポ。 まずは、この曲のメロディがもっとも生きるんじゃないかと思われるテンポ設定が素晴らしい。 ペッパーによるワンホーン演奏がとてもよく生きるテンポなのだ。 この最良のテンポで奏でられる切々たるペッパーの吹奏。 もっとも、アドリブは冴えわたっているというほどでもない。 手探りな部分、アイデアが音になりきってない部分もなきにしもあらずだ。 しかし、そこも含めて良い。 シンミリ泣けてくる。 『ザ・トリップ』は、ペッパーの新境地を象徴するが如くのタイトル曲が注目されがちなアルバムかもしれないが、私は、タイトル曲よりもむしろ、《スゥイート・ラヴ・オブ・マイン》あっての『ザ・トリップ』だと思っている。 |
| (2009/02/15) |
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