PROFILE  (Blue Note)
- Duke Pearson

  1. Like Someone In Love
  2. Black Coffee
  3. Taboo
  4. I'm Glad There Is You
  5. Gate City Blues
  6. 2 Miles Run
  7. Witchcraft

Duke Pearson (p)
Gene Taylor (b)
Lex Humphries (ds)

1959/10/29

《ブラック・コーヒー》といえば、ペギー・リーの名唄で有名。
では、歌ではなく、インストでの《ブラックコーヒー》のオススメは? となれば、デューク・ピアソンの演奏を挙げたい。

コーヒーのほろ苦い味を描いたのがペギー・リーだとすると、ピアソンのピアノは、まったりとした大人の時間をピアノという絵筆を使い、時間というキャンバスに淡々と描写している。

ペギー・リーのウィスパーヴォイスは低音なのに対して、デューク・ピアソンのピアノは高音を用いて“歌って”いるのも面白い。

同じブラックコーヒーでも、随分と趣きが違うが、両者に共通しているものは、なんともいえぬほどの“まったり感”。
これを演出しているのは、じつはベースだ。
テーマのベースのリフ、これがあるからこそ、“大人の時間”がまったりと創出されるのだ。

“まったり”を演じるのは、ヴォーカルやピアノだが、“まったり時間”をゆっくりと刻むのは、ベース。《ブラック・コーヒー》は、印象的なベースのリフあっての曲ともいえる。

ペギー・リーのバージョンから受ける感触は、徹頭徹尾ビターだが、ピアソンのほうは、角砂糖一杯分の甘さがある。この甘さは、ピアソンのピアノに一環した特徴で、どんなに演奏をシリアスに決めたつもりでも、どこか、ほろりと甘さがこぼれるところがピアソ ン流のピアノといえよう。

デューク・ピアソンの初リーダー作の『プロフィール』。
フォーマットは、ピアノトリオ。
地味でオーソドックス。とりたててテクニシャンでもなければ、斬新なアプローチを試みているわけでもない。
にもかかわらず、彼の演奏が退屈しないのは、彼のピアノから滲み出る“甘さ”によるところが大きい。

もちろん、曲によって砂糖の入れ加減は微妙に違う。
たとえば、1曲目の《ライク・サムワン・イン・ラヴ》は、かなり甘みの成分の多い楽しい演奏だ。
途中で三拍子になる要素を挟んだりして、テーマの処理の凝りっぷりが面白い。
ところがテーマには、一工夫を凝らしたピアソンだが、アドリブになるとピアソンの素の姿があらわになる。

つまり、この人のピアノはちょっと不器用なんだよね。
勿論、ヘタというわけではない。
滑らかに喋ろうとしても、どこか流暢になりきれないところに、愛らしい不器用さを感じる。
彼のピアノのフレージングは、整然と8分音符が並ぶわけではなく、音と音のつながりが多少団子になったりすることもある。
ゆえに、少し音符の並びが少なくとも整然とはしていない。それなのに、繰り出されるフレーズはスイート。
このギャップがピアソンのピアノの魅力だ。

とくに、『プロフィール』は、初めてリーダーを張る喜びも手伝ってか、音が喜びに溢れている。

「オレはこの曲を弾けて嬉しい」というピアソンの気持ちが、ピアノの音から滲みでている。
冒頭の《ライク・サムワン・イン・ラヴ》をはじめ、イキの良い演奏を楽しめる《アイム・グラッド・ゼア・イズ・ユー》など、ハッピーな気分で、音を紡いでゆく様子が手にとるようにわかるのが『プロフィール』なのだ。

だから、ピアソンの気分が伝染した我々まで、嬉しい気分になってしまう。

ピアソンのピアノは雄弁でもないし、深い含蓄があるわけでもない。
しかし、この曲を弾くのが楽しくてたまらないです、とでも言いたげな音の躍動感に、ついついこちらの頬み緩んでしまうというわけ。

作編曲には、素敵なセンスを発揮するデューク・ピアソンだが、彼のピアノのセンスも、中々のものがある。
(2006/04/25) 


Duke Pearson | Jazz Blog | Cafe Montmartre

←backward
homeJazz Albums

forward→


Copyright(c) Kumo Takano,
All Rights Reserved.