LET'EM ROLL (Blue Note) |
| - John Patton |
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John Patton (org) Grant Green (g) Bobby Hutcherson (vib) Otis Finch (ds) 1965/12/11 |
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ジャケットの赤から連想されるのは、おそらく灼熱のエキサイティングな演奏。くわえて、ジョン・パットンにグラント・グリーンというパーソネルからも、コテコテのサウンドを連想してしまうかもしれない。 ところが、サウンドは予想に反してクールな肌触り。 ヴァイブ奏者、ボビー・ハッチャーソンの参加が効いているのだ。 熱くコテコテになりがちな、オルガン&ギターサウンドを、涼しくクールダウン。だから冒頭のタイトル曲が始まった瞬間から、極上のリラックス空間がスピーカーから放たれる。 加えて、ノリノリ。 そして、ゴキゲン。 これはもう“無敵のソウルジャズアルバム”といっても過言ではないだろう。 私にとっての良いソウルとは? おおまかだが以下の3つの要素が満たされたものだ。 1つに、リズムの柔らかさ。柔軟なノリ。 バネ、あるいはクッションの効いたリズムの中に感じられる確かな“腰”。 2つに、魅惑的な音色。 それは、ヴォーカルの声色でもいいし、楽器同士の音のブレンドでも良い。 多くのソウルミュージックの魅惑的な音色は、柔らかく腰のある音色が多いように感じる。たとえば、マーヴィン・ゲイのヴォーカルなんてまさにそうだ。 3つに、メロディの良さ。 歌えるメロディ。柔らかなメロディ。 ベタベタに甘いのはカンベンだが、甘さの一切感じられないメロディも、ちょっとカンベン。鼻歌が自然に出てくるほどの甘さ、分かりやすさがあると望ましい。 以上3つの要素が満たされれば、極上のソウルになる可能性が非常に高い。 で、上記3つの要素から導かれる共通した特徴は、リズムにせよ音色にせよ、メロディにせよ、“柔らかさ”が共通項として挙げられる。 『レッテム・ロール』は、上記3つの要素を満たし、柔らかさも強く感じられる極上のソウルミュージックなのだ。 1曲目を再生した途端、音色の心地よさがいきなり襲いかかってくる。 オルガン、ギター、ヴァイブラフォン。 この3つの音色が溶け合うと、なんて素敵で心地よい音色が生まれるのだろう。熱くて涼やか。この両極端な温度感がなんの違和感もなく一つの音のカタマリとなっているのだ。 このアルバムが、他のオルガン・ジャズのアルバムとは違う独特の位置づけを保っているのは、1にも2にもヴァイブの参加。 そして、ヴァイブが参加したことによってもたらされる音色の効果だろう。ボビー・ハッチャーソンの起用は大正解! 柔らかなオルガンのトーンと、グラント・グリーンの、丸やかながら、音のエッジがザクリとしたギターの音色だけでも相当に相性の良い組み合わせといえるが、それに加えて、それら音空間を涼やかに、大きく包み込むヴァイブの音色が加わると、えもいわれぬ心地よい音色が生まれる。楽器の溶け合う音色を心行くまで堪能したい。 柔軟性のあるリズムももちろん、このアルバムの目玉。 オースティン・フィンチの叩き出す、勢いと柔軟性の両方を兼ね備えたドラムワークはなかなか。 特に《ジェイキー》での、勢いのあるシンバルは演奏を盛り上げに盛り上げる。一聴、雑なぐらい元気なシンバルワークだが、演奏にもたらされた推進力は並大抵ではない。 つまり、ノリノリ。 涼やかに疾走するボビー・ハッチャーソンのソロと、これを受けてシリアスタッチに決めるグリーンのギターも素晴らしい。 リー・モーガンの《サイドワインダー》を彷彿とさせる、ジャズロック風リズムの《ターン・アラウンド》もノリノリの曲。これは何も考えずにノリの良さを演奏を楽しむしかない。 《テイク・ファイヴ》のリフを思い出す《ワン・ステップ・アヘッド》は、5拍子リズム。ちょっと重ためのテンポだがラストを飾るには相応しい演奏といえる。 全曲、リズムの腰と勢いのある演奏ゆえ、何も考えずにひたすら心地よさに身をまかすことも可能だろう。 しかし、ヴァイブが加わり、サウンドに艶やかさとしっとりさも加わったため、じっくりと腰を据えて鑑賞するに値する内容にも仕上がっている。 それが、このアルバムの素晴らしいところなのだ。 2曲目の《ラトーナ》など、熱い真夏の日にクーラーの効いた部屋で涼むような心地よさを感じるが、これは、ヴァイブの参加があったからこそ初めて成しえるアレンジだし。 オルガン好きのみならず、グラント・グリーン、ボビー・ハッチャーソンのファンも是非押さえておきたいアルバムだ。 個人的には、夏の日のお昼寝アイテムとして欠かせないアルバムでもある。 夏にボサノバも良いが、『レッテム・ロール』も忘れずに。 ちなみに、このアルバムが録音されたのは冬ですが(笑)。 |
| (2006/11/30) |
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