HOW INSENSITIVE (Blue Note)
- Duke Pearson

  1. Stella By Starlight
  2. Clara
  3. Give Me Your Love
  4. Cristo Redentor
  5. Little Song
  6. How Insensitive
  7. Sandalia Dela
  8. My Love Waits
  9. Tears
  10. Lamento

Duke Pearson (flh,p,el-p,arr)
Al Gafa (el-g) #1-5,8
Dorio Ferreira (g,per) #7,9,10
Bob Cranshaw (b) #1-5,8
Bebeto Jose Souze (b) #7,9,10
Mickey Roker (ds) #1-5,8/(per)#7,9,10
Airto Moreira (per) #1-5,8/(ds)#7,9,10
Andy Bey (vo) #1-5,8
Flora Purim (vo) #7,9,10
New York Group Singers'Big Band (voices) #1-5,8
Jack Manno (arr&cond) #1-5,8

1969/04/11 #1,3,4,5
1969/04/14 #2,6,8
1969/05/5 #7,9,10


パーティに最適な1枚だ。

小規模なホームパーティはもちろんのこと、むしろホテルの宴会の間を借り切って行う大規模なパーティになればなるほど、本盤はムードを演出するBGMとして威力を発揮するに違いない。
その場合は、もちろんボリュームは控えめに。

もちろん、結婚式でも、結婚2次会パーティで行うイベントのBGMとしても使える。

どうも世間では、結婚披露宴のようなパーティでのジャズというと、チャーリー・パーカーの『ウィズ・ストリングス』の《ジャスト・フレンズ》を使いたがるようだが、これには注意を要する。

もちろん、『ウィズ・ストリングス』のベタベタでクサいストリングスは、ラブラブでメデたい雰囲気を盛り上げるに十分だが、《ジャスト・フレンズ》はやめましょうね。
だって、「単なる友達」じゃないですか。

いくらメロディが美しいからといって、《ラブ・フォー・セール》イコール「売春」な曲をかける人はいないと思うが、それに似たインパクトを“分かる人”には与えることは確か。

友人で、やっちゃった人いるんだよねぇ、事前に相談してくれれば良かったのに……。
ま、気付いた人が皆無だったそうなので、それはそれでよかったのかも。私も好きですから、パーカーの《ジャスト・フレンズ》は。

その点、このアルバムは、そのような、いわゆる「危ない曲」は皆無。

もっとも、目出度い席では《ティアーズ》(=涙)や、《ラメント》(=哀歌)は流さないほうが無難だろうけど。
両方とも素敵な曲なんだけどね……。

4ビート調の曲よりは、むしろメルヘンがかったボサ調のリズムと、美しい男女混声コーラスによって構成されたこのアルバムは、アルバム中、どの曲を切り取っても極上のムードあるBGMと成りうるだろう。

名アレンジャー、プロデューサーとして己の才能をフルに活用すると同時に、どんどん新しい領域を開拓しつつあったデューク・ピアソンが、ボサノヴァ路線に着手したアルバムが、この『ハウ・インセンシティヴ 』だ。

パーカッションにアイアート・モレイラを起用し、強く南米色を打ち出し、ピアソンも、アコースティックのみならず、エレピにもトライし、己の新生面を強く打ち出すことに成功している。
各人のソロ演奏よりも、類まれなるピアソンのアレンジセンスとアンサンブル、楽器同士の調和を楽しみたいサウンドだ。

曲によっては参加しているフローラ・プリムのヴォーカルも良い。
彼女は、チック・コリアの『リターン・トゥ・フォーエヴァー』(カモメがジャケットのやつね)に参加していたヴォーカリストだが、このようなアレンジ、サウンドの中、彼女の声色は綺麗に溶け込んでいる。

今聴くと、さすがに“時代の音”という感じがしないでもないが、この柔軟なリズムに和み、肩がほぐれることは必至。
ちょっとベタだけれども、リッチな雰囲気の安心アンサンブル。
まずは、手始めに1曲目の《星影のステラ》からどうぞ。心洗われます。

控えめで、アクセント程度に演奏を彩るデューク・ピアソンのピアノも良いが、ピアニストのリーダーアルバムとしてよりは、濃厚になり過ぎない“爽やかムーディ”な曲の集大成アルバムとして、家庭に1枚常備しておきましょう。

ところで、以前『女子ジャズ(Something Jazzy)』の著者・島田奈央子さんに、私の番組にゲスト出演していただいたことがある。



番組出演時(左)と、Apple Storeでの公開収録時の島田さん(右)


島田さんは「女性をエスコートしてくれるジャズ」という視点でこのアルバムから《サンダデリア・デラ》を真っ先に選曲してくれた。

女性は、常に気分よくエスコートされたいと思っているもの。なので、このように気持ちの良いアレンジが施されているサウンドは、まさに「女子ジャズ」なのだそうだ。

▼島田さんの著書


なるほど、「エスコート」か……。
「この音色がいい」「あのフレーズがたまらん」などといった聴き方をしている「男子」な自分には無い視点だったので、新鮮な意見だった。
しかし、冒頭で書いた「パーティ・ジャズ」という受け止め方も、ある意味、ゲストを楽しい気分にエスコートするためという考え方ではあるので、言葉の表現こそ違えど、女子、男子問わず、この『ハウ・インセンシティヴ』から感じている雰囲気は同じなのかもしれない。

いずれにしても『ハウ・インセンシティヴ』は、リスナーを楽しく豊かな気分にエスコートしてくれることは間違いない充実アルバムだということは確かだ。
(2007/10/06) 
(加筆:2010/09/28) 

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