BIRD AND DIZ (Verve) |
| - Charlie Parker |
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Dizzy Gillespie (tp) Charlie Parker (as) Thelonious Monk (p) Curley Russell (b) Buddy Rich (ds) 1950/01/06 |
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昔、アルバイトをしていたジャズ喫茶のレコード係に、I君というアルトサックス奏者がいた。 彼はパーカーが大好き。 「選曲に迷ったら、やっぱパーカーやなぁ」 関西弁交じりで語る彼は,パーカーをかけると、いつも爽やかな笑顔になった。 とくに『バード&ディズ』をかけ、1曲目の《ブルームーディド》が流れると、「ああ、やっぱええなあ。『バード・アンド・ディズ』は、辛いときに聴くと元気をくれるで」と心底嬉しそうな顔をしていた。 以来、彼からの伝染効果なのだろうか、『バード・アンド・ディズ』は、私にとっても元気の出るアルバムとして位置づけられている。 快活な演奏、ノリと勢いがバランスよくミックスされた演奏。 心の中は、いつのまにかジャケットで笑うディジーの笑顔のようになる。 1曲目の《ブルー・ムーディド》はB♭のブルースで、学生のときは、よく仲間のテナーサックス奏者と演奏したものだ。 ワクワクするようなテーマのメロディ。勢いよく登場するパーカーのソロは、一瞬だが、テナーっぽいニュアンスに感じる。テナーの友達がこの曲を演りたがったのは、だからかな? ♪レー、シ♭ッ! 印象的な2音でアドリブをスタートさせるパーカー。 このたった2音で、彼のソロに、耳が釘付けになった人も多いんじゃないかな? 何テイクもある《リープ・フロッグ》も、テイクの数に怖じ気づかずに、全部聴いてみよう。「“曲”を聴く」という意識を持つよりも、「“熱気”を味わう」意識で聴いてみよう。 《リープ・フロッグ》が無ければ、『バード・アンド・ディズ』の魅力は半減すると思う。ビ・バップの巨人2人の凄まじいワザのぶつかり合いこそが、このアルバムの醍醐味。 ビ・バップを代表する巨人の2人の熱い掛け合い。 我々は現在この残された音源でしか確認できないが、50数年前のニューヨークでは、連日連夜、このような火花の散る白熱の演奏が繰り広げられていたのだ。 そういった意味では、ビ・バップの貴重なドキュメントともいえる。 さて、ここで一つ言っておかねばならないことがある。 私にとっては本当にどうでもいいことなのだが、ドラムのバディ・リッチがミス・キャストだという説がよく言われていることについて。 「ビ・バップの巨人たちによる貴重な共演なのに、なんでスタイルの違うバディ・リッチが叩いているんじゃい!」ということなのだろう。 まぁ、気持ちは分からないでもない。 なにせ、モンクとパーカーの唯一のレコーディング音源はこれしか無いのだし、だったら、ドラムはマックス・ローチのほうが良かったのに、という聴き手の“願望”がより一層、バディの参加に違和感を覚えるのかもしれない。 しかし、えーとですね、よく考えてみましょうよ。 演奏としてまとまっていれば、いや、百歩譲って、まとまっていなくてもスリリングな内容であれば、あるいは、あなたがそれを聞いて心ときめけば、ミスマッチって言葉を使おうとする発想自体がミスマッチなんだよ。 そんなこといったら、ジャズの歴史そのものがミスマッチの歴史ではないか。 日本人としてのアイデンティティを模索して、和太鼓をオーケストラに導入した秋吉敏子。 ピリッとしたクールでスマートな自分のトランペットの対比効果として、ブロウするコルトレーンに、ダイナミックなドラムを叩くフィリー・ジョー・ジョーンズをメンバーに迎え入れたマイルス。 彼らは最初からミスマッチを狙っているのだ。 もっと言ってしまうと、マイルスのサイドメン起用の思考パターンは常にミスマッチを狙っているところがあるんじゃないかと思ってしまうほどだ。 スタイルの違うミュージシャンを敢えて配することによって、良い意味での両者の間に刺激が生まれるだろうし、音楽的ハプニングやサプライズが期待できる。別にジャズマンのみならず、多くの音楽家も、いや、音楽家のみならず、どんなジャンルの表現者が考える基本的な思考の選択肢の一つなのだ。 最近では、バディ・リッチではなくて、実はモンクのほうがミス・キャストで浮いているという珍説・奇説までもが出てくる始末。 どうして、みなさん、このアルバムに関しては、まるで犯人探しのように、ミスマッチなジャズマン探しに躍起になるのだろう? 1曲目の、バディリッチのシンバルとモンクのピアノによる短いイントロ、続いて短いリッチのドラムソロ。 リラックスしたパーカーと、ミュートをつけたディジーのトランペットのユニゾンによって奏でられる魅惑的なテーマ。 もう、最初の30秒だけで、心ときめき、期待に胸がワクワクしませんか? 私はするな。 もし、ワクワクした気分になれて、この演奏が好きになれば、もうそれはミスマッチじゃないんですよ。マッチなの、マッチ。 たしかに、こいつが参加してなければ、もっと凄い演奏になったんだろうなぁと思わせるジャズのアルバムはいくつもある。 しかし、この『バード・アンド・ディズ』に関しては、私はどうしてもバディ・リッチがいなければどんなに…、とは思えないのだ。 バディ・リッチのドラミングが、意外と良いアクセントとなって演奏のカンフル剤になっているわけで。 もし、バディではなく、他のドラムが参加していたら、こんなに心ときめく《ブルー・ムーディド》になっていたかどうか。 こんなに好きになれていたかどうか。 |
| (2004/08/06) |
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