A WORLD OF PIANO (Contemporary) |
| - Phineas Newborn Jr. |
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track 1-4 Phineas Newborn Jr. (p) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds) 1961/10/16 track 5-8 Phineas Newborn Jr. (p) Sam Jones (b) Louis Hayes (ds) 1961/11/21 |
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切れ味鋭いピアニストだ。 超絶テクニックのピアニスト、フィニアス・ニューボーン・Jr.。 ドラマーのロイ・へインズは、彼のことを「10本の指と88のキーをフルに使うピアニストだ」と評したが、これは決して誇張ではないことは、スピーディかつ鮮やかな《ダフード》を聴けば、ご納得いただけることと思う。 ちなみに、ピアニスト・松本茜は、小学生の時に、この《ダフード》を聴いてジャズピアニストになりたい!と意を強くしたのだそうだ。 冒頭ではフィニアスのことを「切れ味鋭い」と書いたが、しかし、この『ワールド・オブ・ピアノ』に収録されている演奏は、単に鋭いだけではなく、音楽的にも充実し、楽しめる内容ゆえ、よく手が伸びてしまうアルバムの一枚なのだ。 演奏曲も良い。 ロリンズ、パーカー、ガレスピー、ブラウンなどのホーン・プレイヤーのナンバーが、ピアノトリオで瑞々しく蘇っており、いつ聴いても清々しい気分になれるのだ。 管楽器奏者の作った曲が、即、メロディアスで良い曲だというわけでもないのだが、耳に馴染んだお馴染みのリフナンバーが、彼のスピード感のあるピアノで奏でられると、新鮮な感動が湧き起こる。 このアルバムのバランスの良さは、もちろんフィニアス自身のプレイによるところも大きいのだが、コンテンポラリー・レーベルの社長、レスター・ケーニッヒの着想の良さもあると思う。 フィニアス・ニューボーンは、56年にテネシー州メンフィスからニューヨークへやってきた。 天才ピアニストとして、一躍シーンでは話題になった。そして、すぐさまアトランティックへ初リーダー作を吹き込む。 その後、コンテンポラリー・レコードの社長レスター・ケーニッヒが彼に興味を抱き、ハワード・マギー(tp)のサイドマンとして彼を起用した後、このアルバムの制作に取りかかった。 レスター・ケーニッヒは、このアルバムの制作に、かなりの気合いを入れていたようだ。 まずは選曲にこだわり、ホーン・プレイヤーのオリジナル曲を選んだ。 また、リズム・セクションも2組用意した。 マイルス・グループのリズムセクション(ポール・チェンバースとフィリー・ジョー・ジョーンズ)と、キャノンボール・グループのリズムセクション(サム・ジョーンズとルイス・ヘイズ)を贅沢にもブッキング。 最高の布陣といっても差し支えないだろう。 入念なプロダクションによって選ばれた曲とメンバー、そして、ニューボーンの生き生きとしたプレイ。 音符過剰気味の初リーダーアルバムと比較すると、このアルバムは、テクニックと、生み出される音が理想的なバランスを保っていると思う。 テクニックが凄くても、まったくイヤミには感じない。 ピアノを通して、音楽的に「言いたいこと」と、自分の力量の兼ね合いが理想な状態だから、本作をニューボーンの最高傑作に挙げる人も多いのだと思う。 彼のピアノの特徴の一つに、両手でオクターブ違いで同じ旋律を弾くユニゾン奏法がある。 もちろん、彼の専売特許というわけではなく、バド・パウエルをはじめとして、ホーンライクにメロディを弾くピアニストたちが用いているオーソドックスな方法ではある。 しかし、音の粒の揃い具合、また、スピード感や切れ味は、一聴して、ニューボーンだ!と分かるくらいに特徴的だ。 ダイナミックに弾きまくる《オレオ》。 このめくるめくスピード感はなんともいえない。 一つ一つの音の粒がブライトで、明確な彼のピアノ。潔い。 バラードの《ラッシュ・ライフ》も、味わいの深い演奏だ。 クリフォード・ブラウンの《ダフード》は小気味よい、ピアノトリオならではの機動力を生かした出来。 個人的には、ミドル・テンポの《ジューシー・ルーシー》と《フォー・カール》の2曲がフェイヴァリットだ。 《ジューシー・ルーシー》のほうは、ベースラインを追いかけていると、チャーリー・パーカーの《コンファメーション》のコードが下敷きとなっていることが分かる。 原曲よりもほのぼのとした、おちゃめなメロディラインと、ファンキーテイストがまぶされた演奏に生まれ変わっていて、親しみやすいナンバーだ。 また、《フォー・カール》は、このアルバムの隠れた名曲・名演とでもいうべきナンバーで、なんとも味わい深い。 こういう演奏してしまうあたり、やはりフィニアス・ニューボーンというピアニストは、単なるテクニシャンで終わらない懐の深いピアニストだと感じる。 と同時に、ハイテクニックの演奏から、翳りのともなう演奏まで同クオリティで弾きこなしてしまうフィニアスの頭の中は一体どうなっているんだろう? と勘ぐらずにはいられない。 |
| (2002/03/29) (加筆:2010/01/22) |
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