THE NEWBORN TOUCH (Contemporary) |
| - Phineas Newborn Jr. |
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Phineas Newborn Jr. (p) Leroy Vinnegar (b) Frank Butler (ds) 1964/04/01 |
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フィニアス・ニューボーンJr.の最高傑作は『ア・ワールド・オブ・ピアノ』だということに異論を唱える人は少ないだろう。 いまさらながらに、このアルバムは演奏の完成度といい、片時もリスナーを飽きさせる隙間を許さぬ練られた選曲といい、全体にただようエレガンスといい、本当に非の打ち所のない完成度の高いアルバムだと思う。 さすが、フィニアス本人のみならず、プロデューサーのレスター・ケーニッヒ自らも選曲や人選にあたっただけのことはある。 最初から高い完成度を狙ったアルバムゆえの期待を裏切らない完成度はピアノトリオの名盤中の名盤といえよう。フィニアスの斬れ味鋭いピアノの良さを最良のクオリティでプレゼンテーションできたスマートなアルバムだ。 しかし、このことは、おそらく当の『ア・ワールド・オブ・ピアノ』1枚だけを聴くだけではなかなか見えてこない。 最初から完成度の高さを目指して、プロデューサー自らが選曲に関わった『ワールド・オブ・ピアノ』とは違い、『ザ・ニューボーン・タッチ』は、無責任なほど、様々なタイプの曲が封じ込められている。 このアルバムに収録されている作曲者の名前を挙げてみよう。 ベニー・カーター、 ラス・フリーマン、 ハンプトン・ホーズ、 アート・ペッパー、 オーネット・コールマン、 カール・パーキンス、 フランク・ロソリーノ、 リロイ・ヴィネガー、 ジミー・ウッズ、 マーヴィン・ジェンキンス、 バーニー・ケッセル……。 皆、西海岸ジャズの名門レーベル、コンテンポラリーゆかりのジャズマンだと言う共通項はあるにせよ、取り上げている作曲者たち音楽性が必ずしも共通しているというわけではない。 つまりは、様々なタイプの曲がゴチャマゼに演奏されている『ザ・ニューボーン・タッチ』にも耳を通すことで、初めてフィニアス・ニューボーンというピアニストの引き出しの多彩さを知ることが出来るのだ。 と同時に、このアルバムで様々な表情を見せるフィニアスを知れば、スマートなピアニズムを誇る『ア・ワールド・オブ・ピアノ』と併せて、ますますフィニアスという鬼才ピアニストも好きになること請け合いなのだ。 もちろん良い意味での表現だが、このアルバムでのフィニアスのピアノは泥臭い側面も見せてくれる。『ア・ワールド・オブ・ピアノ』しか聴いたことのない耳であれば、なおさらだと思う。 こんなにブルージーでアーシーだったっけ? と思わずパーソネルを確認する人も出てくるのではないかと思うほどだ。 なにしろ、1曲目の《ア・ウォーキン・シング》からして、まるでファンキー時代のジャズメッセンジャーズが演奏してもおかしくないようなリズムと曲想だし、《グルーヴ・ヤード》も、タッチにもう少しコクが加われば、ゴスペルライクなレイ・ブライアントに似たピアノだ。 しかしバラードの《ダイアン》やオーネット・コールマン作曲の《ザ・ブレッシング》あたりで、フィニアスの鋭いエレガンスっぷりが立ちあらわれるところが面白い。 フィニアスは、テネシー州のメンフィス出身ということからも、彼の根底に流れているのは、色濃くブルースであることは疑いようもない。 しかし、だからといってすぐさまコテコテなブルージーなピアノを弾くというわけでもなく、非常に都会的で磨きのかかったシャープさがフィニアスの持ち味といえる。 タッチが硬質なことも彼のピアノの底流に流れるスピード感を助長している。 ルーツであるブルースの味わいと、研ぎ澄まされたシャープさが面白いように共存しているのが、この『ザ・ニューボーン・タッチ』なのだ。 フィニアス・ニューボーンJr.が持つ多彩な表現の引き出しを1曲ごとに味わうことが出来るだろう。 そして、じつは、このアルバムはドラムがミソだったりもする。 フランク・バトラーのドラミングが面白いのだ。 単にリズムを刻むというよりは、むしろ積極的にリズムの流れに逆らうようなドラミングを叩きだしたり、面白い箇所で面白いアクセントを入れたりする。 このアルバムに慣れてきたら、是非ともフランク・バトラーのドラミングにも注意して聴いてみて欲しい。 曲数が多く、曲のカラーが統一感がないにもかかわらず、意外とまとまった印象を与え、飽きずに最後まですっと聴けてしまうのは、もしかしたら、フランク・バトラーのドラミングの功績なのかもしれない。 |
| (2011/10/10) |
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