THE SIDEWINDER (Blue Note) |
| - Lee Morgan |
|
|
Lee Morgan (tp) Joe Henderson (ts) Barry Harris (p) Bob Cranshaw (b) Billy Higgins (ds) 1963/12/21 |
|
|
|
現在の目線からは、ジャズの歴史も、ロックの歴史も俯瞰して見渡す出来るため、時として「両方知っているものの強み」、いや弱点なのかもしれないが、時系列や事実関係がごちゃ混ぜになって理解されてしまうことが無きにしもあらずだ。 たとえば、ジャズロック。 ジャズがロックのリズムを取り入れた。 このような解釈をする人が多いようだが、実際は、そう単純なものなのか。 だったらシンプルに8ビートを導入すれば良いじゃないか、と思うわけだが、実際のいわゆるジャズロックと呼ばれている曲のビートやリズムは表面的にはたしかにロックっぽさが漂っているように聴けないことはないが、リズムの本質は相変わらず「8」ではなく、「4」、つまり4ビートのビート感が根底に流れているのだ。 ジャズロックという“形容詞”を代表する曲に、リー・モーガンの曲に《サイドワインダー》がある。 シンプルなリフのブルースだが、4ビートジャズの全盛期をリアルタイムで経験していない私にとっては、さりとて目新しいリズムには感じない。 リアルタイムで4ビートを経験した人々にとっては、このアルバムが出た当時は新しく斬新なリズムに響いたのかもしれないが、ロックのビートからジャズのビートに遡って聴いている私のような世代には、むしろ古臭く感じてしまうぐらいだ。 ま、個人的な感想はともかく、このビートは聴いてもらえば分かると思うが、まぎれもなく、根っこは4ビートそのものだ。 この違いはリズムの「揺れ」にあると思う。 この揺れは、いわゆる、ビートルズやクリーム、ストーンズなど、いわゆる“ロックの礎を築き上げたバンドの基本ビートとは著しく異なる。 4ビートのリズムの隙間を、メロディに合わせてちょっとだけタイトに締めた結果、偶然生まれたリズムのようにも聴こえる。 つまり、こういうことだ。 最初から、ロックとジャズを足して2で割ろうなんてことはリー・モーガンは考えていなかったということだ。 もちろん、ハービー・ハンコックの《ウォーター・メロンマン》に触発されてこの曲を地下鉄で書いたという逸話もあるし、いま流行りのリズムっぽいから自分もやってみようという野心もあったのかもしれない。 しかし、フランケンシュタインのように、このリズムと、あっちのリズムを切り取ってくっつけて「ハイ、いっちょあがり!」的な安っぽいツギハギな手法で、あのようなリズムが生まれるわけではないのだ。 基本となる土台はあくまで4ビート。少なくとも、8ビートのタイトなロックのリズムではない。 このテーマのメロディに合わせて4ビートを叩くと、かなり緩くてかったるい曲調になってしまう。 したがって、このカチッとタイトにならず、さりとて、4ビートのニュアンスを遺しながらも結果的には、ちょっと4ビートとは異なるリズムが生まれたのは、メロディを聴きながら4ビートのアクセントを少しばかり変えて叩いているうちに、自然とこのような“ちょっと変わった4ビート”のリズムに落ち着いたのではないのか、というのが私の推測。 一朝一夕に「よし、ロックとジャズをくつけるぞ!」という頭で考えた発想で出来上がったものではなく、叩いているうちに、少しずつ変形していった、いわゆる一つの「4ビートのバリエーション」だと感じるのだ。 緩やかにスイングするこのリズムは、もちろん《サイドワインダー》のシンプルなテーマにピッタリと寄り添った素晴らしいリズムとなっている。 ちなみに、個人的な好みを言うと、このアルバムで言えば、初演の《ザ・サイドワインダー》よりも、2曲目の《トーテム・ポール》がいい。 タイトル曲よりも、こちらの曲のほうが、構成やアレンジが凝っていて面白い。 ヒット曲に飽きたら、こちらのほうにも耳を傾けてみよう。 |
| (2010/05/07) |
|
|
|
現在のボブ・クランショウは、エレクトリック・ベース奏者というイメージのほうが強い。 いや、むしろ、エレクトリック・ベース奏者というよりは、ソニー・ロリンズのグループ専属のベース奏者というイメージがのほうが強いかもしれないが……。 もちろんクランショウ、昔はウッドベースを弾いていた。 しかし、腰を悪くしたため、エレクトリック・ベースに持ち替えたというのが誰かから聞いた話。 ボブ・クランショウのエレクトリック・ベースも悪くはない。静かに重くグルーヴしている。 しかし、エフェクトをかけているのだろうか、妙に電気くさい“みゅうみゅう”した音色が私好みの音色ではなく(エレキベースの音色が嫌いだというわけではない)、このグルーヴでウッドベースが弾かれればどんなに良いだろうと、いつもロリンズのアルバムを聴くたびに思っている。 ウッドベース時代のボブ・クランショウは、少なくともエレキの3倍は凄い。 地味でシンプルなベースワークに徹していることは今も昔も変わらぬが、先述したグルーヴ感が、ウッドベースの音色で弾かれたほうがより一層際立って聴こえるのだ。 たとえば、リーモーガンの《サイドワインダー》。 テーマ直前のブレイクに弾かれる3音に耳を澄ましてみよう。 “くっく・く〜ん” この重心の低い、粘りのあるベースにノックアウトされませんか? まさに“腰の一撃”。 腰にくるベース。腰に気持ちを込めた重たい一撃。 彼が腰を痛めてエレキに転向したのも、このサイドワインダーのベースのように腰にくるような太い音色を弾きすぎたからなのかもしれない。 さて、リー・モーガンの《サイドワインダー》は、代表的な“ジャズロック”の名演として有名な曲だ。 シンプルなリフのブルースだが、4ビートが全盛の時代をリアルタイムで経験していない私にとっては、さりとて目新しいリズムには感じない。 リアルタイムで4ビートを経験した人々にとっては、当時は新しく斬新なリズムに響いたのかもしれないが、ロックのビートからジャズのビートに遡って聴いている私のような世代には、むしろ古臭く感じてしまうぐらいだ。 4ビートのリズムの隙間を、メロディに合わせてちょっとだけタイトに締めた結果、偶然生まれたリズムのようにも聴こえる。 土台はあくまで4ビート。少なくとも、8ビートのタイトなロックのリズムではない。 このテーマのメロディに合わせて4ビートを叩くと、かなり緩くてかったるい曲調になってしまう。 したがって、メロディを聴きながら4ビートのアクセントを少しばかり変えて叩いているうちに、自然とこのような“ちょっと変わった4ビート”のリズムに落ち着いたのではないのか、というのが私の推測。 緩やかにスイングするこのリズムは、もちろん《サイドワインダー》のシンプルなテーマにピッタリと寄り添った素晴らしいリズムとなっている。 《サイドワインダー》の演奏は、個人的には『ライトハウス』のバージョンのほうが好きだが、このオリジナルバージョンも捨てがたいと思うのは、ひとえに、ボブ・クランショウの“腰の一撃”があるからにほかならない。 また、ジョーヘンのソロもなかなかだと思う。 ピアノがバリー・ハリスだという意外な組み合わせの妙も楽しめる。 |
| (2002/12/01) |
|
|
|
|
All Rights Reserved. |