PECKIN' TIME (Blue Note) |
| - Hank Mobley |
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Hank Mobley (ts) Lee Morgan (tp) Wynton Kelly (p) Paul Chambers (b) Charlie Persip (ds) 1958/02/09 |
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かなり昔のことだが、恥ずかしい勘違いをしたことがある。 場所は飲み屋かジャズ喫茶か忘れてしまったが、とにもかくにもジャズが流れている店でかかった演奏を聴きながら、連れに「うーん、さすがロリンズ、勢いがあっていいね〜」などと満足げに語った私。しかし、後で、店に飾られたジャケットを見たら、思い切り大ハズレ。 私がロリンズの演奏だと勘違いした曲は、ハンク・モブレイの『ペッキン・タイム』の1曲目、《ハイ・アンド・フライティ》だったのでした……。 しかし、言い訳をさせていただくと、この勘違いには理由がある。 まずはテナーサックスのアドリブの出だし。 たった2つの音を弄ぶかのように、余裕の上昇下降を繰り返してから、パーカーが多様し、多くのジャズマンも時価薬籠中のものとしている、いわゆる「パーカーフレーズ」を勢いよく繰り出すというアドリブの展開っぷりが、ロリンズを想起させるに充分だったのだ。 加えて、演奏の勢い。 ハンク・モブレイは、まろやかな音色で、柔らかく、流れるようにアドリブを進めてゆくことが多いのだが、店で流れた演奏は、もう少し推進力というか馬力がかかっていたのだ。 この勢いは、若き日のロリンズのパワーに比肩しうる力強さを持ち、この推進力とパーカーフレーズを小出しにする様は、まるで、ロリンズの『ムーヴィング・アウト』を彷彿とさせるものを感じたのだ。 我々ジャズ聴きは、ジャズマンの音色や、ニュアンス、アプローチの癖や、得意フレーズが頭にインプットされているため、アドリブの途中でも有名どころのジャズマンであれば、曲のタイトルやアルバムを忘れていても言い当てられるのだが(つまり記憶力ではなく、特徴をつかんだ上で、その特徴を愉しむ鑑賞の仕方をしている)、時として自分の頭の中の思い込みやデータとはかけ離れたアプローチをするジャズマンの演奏に出会うと、このような勘違いをおこしてしまうことも、しばしば。 もちろん、『ペッキン・タイム』は既にこのときは持っていて、何度も聴いていたアルバムにもかかわらず、曲名と関連付けながらテーマを熱心に聴いていなかったりすると、私の場合、このような勘違いも、しばしば起こしてしまう。 と、長々と私の勘違い談を続けてしまったのだが、何をいいたいのかというと、要はハンク・モブレイの『ペッキン・タイム』といアルバムは、良い意味でモブレイらしからぬ演奏を楽しめるアルバムだということ。 そして、モブレイの幾多の演奏の中でも屈指のアドリブが収められたアルバムだとも言いきってしまおう。 おそらくは共演者のリー・モーガン参加による効果も大きいのだろう。 タイトルの「ペッキン」とは、つつき合うという意味があり、まさにモーガンのトランペットと、モブレイのテナーサックスがつつき合うことによって、演奏の勢いに拍車がかかっているのだ。 「HANK MOBLEY - LEE MORGAN」と記されたジャケットのクレジットを見ても分かるとおり、このアルバムはモブレイ一人がリーダーというよりは、モブレイとモーガンの双頭リーダーによる作品と捉えたほうが、より正確なのかもしれない。 モーガンの瞬発力と勢い、印象に残るフレーズを次から次への繰り出す様を目の当たりにし、加えて、リズムセクションが軽快に煽るウイントン・ケリーがピアノ、かなりアグレッシブに管楽器奏者の背中を容赦なく鞭打つチャーリー・パーシップがドラムの椅子に座っていることを考えれば、燃えざるを得ない要素だらけといっても過言ではない。 また、元気な《ハイ・アンド・フライティ》だけではなく、テーマのアレンジ処理、特に、ベースとドラムのつかず離れずのコンビネーションが面白い《スピーク・ロウ》なんかも聴けば聴くほど夢中になれるに違いない。 このアルバムは、間違いなくハンク・モブレイを代表する3枚のうちの1枚に入るだろうし、『ディッピン』や『ソウル・ステーション』で、ある程度のモブレイのイメージを形成してしまっているリスナーにも、「こんなモブレイも見逃せないですよ」と聴かせたいアルバムだ。 熱気と勢いが優先して、ときに演奏が雑になってしまう側面も無きにしもあらずだが(特に1曲目のピアノソロのパートなんかは、ドラム、ベース、ピアノの3人がバラバラなんじゃないかとハラハラさせてくれる瞬間がある)、それをも含めてジャズの楽しさとスリルを存分に届けてくれる内容なのだ。 よって、これは買い! ブルーノートが好きで、熱い演奏やスリルのある演奏が好きで、なおかつハンク・モブレイが好きな人で、持っていない人がいたとしたら、これはイカンよ、持つように(笑)。 |
| (2011/02/06) |
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