THELONIOUS MONK WITH JOHN COLTRANE AT CARNEGIE HALL (EMI) |
| - Thelonious Monk & John Coltrane |
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Thelonious Monk (p) John Coltrane (ts) Ahmed Abdul-Malik (b) Shadow Wilson (ds) 1957/11/29 |
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この音源の発掘・発売は、おそらく2005年のジャズ界においての最大の事件、かつ快挙だろう。 「やっぱり、まだ残ってた!」な、モンクとコルトレーンのライブ音源。 勿論、モンクもコルトレーンも、演奏は絶好調。 次第に熱を帯びてくる、トレーンのシーツ・オブ・サウンドは素晴らしい。 マイルス・クインテットに在籍時のコルトレーンは、次第に麻薬に溺れ、仕事に遅れたり、すっぽかしたりするジャンキーになっていった。これを見かねたマイルスはコルトレーンのことをジャズクラブで殴りつける。 この現場を目撃していたモンクは、コルトレーンに「お前、オレのところくるか?」。 モンクの元で研鑽を積み、見違えるほどの急成長を遂げたコルトレーン。 無口でマイペースなモンクだったが、音楽の質問に関しては、とことんコルトレーンが納得するまで教えてくれたらしい。 モンクから教えてもらった内容を夜な夜な練習する。練習時に浮かびあがった新たな疑問を翌朝、寝ているモンクを起こして再び納得するまでとことん教えてもらう。 この繰り返しだったらしい。 モンクの曲の構造は、ヘンなものが多い。特にコード進行。 ビ・バップ、ハード・バップにおいて常套化し、かつ演奏者のクリシェにもなってもいるであろう“常套句”を拒絶するかのような妙な“引っかかり”が曲の随所に散りばめられている。 一筋縄ではいかないのだ。 しかし、逆に言えばこのようなキテレツな曲を練習しマスターすれば、格段に腕が上がることも確か。 根がマジメな男、コルトレーンはそれを克服し、自らのスタイルを築き上げる礎を築き上げた。 腕を上げたコルトレーンは、師匠のモンクと共に「ファイヴ・スポット」で夜な夜な素晴らしい演奏を繰り広げていた、という伝説を裏付けたのが、コルトレーンの前妻、ネイマ(ナイーマ)が所有していた音源を商品化した『ファイヴ・スポットの伝説』。 しかし、それに勝るとも劣らない演奏が聴けるのが、この「カーネギー・ホール」でのライブなのだ。 急成長を遂げたトレーンに暖かな眼差しを向けたバッキングを入れるとともに、ときに容赦ない攻撃を加えるモンク大明神のピアノも冴えに冴えわたっている。 どの演奏がいいかって? そりゃもちろん全部! といいたいところだけれども、こでは2曲だけ取り上げてみることにする。 まずは《モンクス・ムード》。二人の共演は『セロニアス・ヒムセルフ』でも聴くことが出来るが、このときのコルトレーンの吹奏は、かなり慎重だ。 もちろん、この慎重さが、『セロニアス・ヒムセルフ』というアルバムの哲学的で静謐なムードに拍車をかけていることは否めないが、覚えたての難曲をたどたどしくなぞっているような感も拭えないことも確か。 『セロニアス・モンク・ウィズ・ジョン・コルトレーン・アット・カーネギー・ホール』でのコルトレーンは、このときの演奏から7ヶ月後の演奏。 『〜ヒムセルフ』の吹き込みが1957年の4月、『カーネギー・ホール』での演奏が同年の11月だ。半年ちょっとで、これほどまでの進歩を見せつけるコルトレーン。 人間、一生懸命努力すれば、短い間でも随分と進歩できるものなのだなぁと我々を勇気付けてくれる、と書くとちょっと大袈裟か。 《モンクス・ムード》での堂々とした吹きっぷりに加え、モンクのピアノにぴたりと寄り添っているところからも、既にモンクの曲のコンセプションや構造を完璧に把握している状態だ。 さて、もう1曲挙げるとすると、《スイート・アンド・ラヴリー》かな。 これも《モンクス・ムード》同様、“モンク流気だるさ”の真骨頂とでも言うべき曲で、ミディアムスロウなテンポの演奏が心地よいナンバーだ。 しかし、演奏の後半になるとテンポが倍になる。倍テン(テンポが倍になること)になった後のコルトレーンのプレイが、水を得た魚のごとく奔放で素晴らしい。 また、ゆっくり目のテンポの《スイート・アンド・ラヴリー》に聴きなれた耳には、この展開は非常に新鮮。と同時に完璧にこの曲をマスターしているコルトレーンの自信たっぷりな吹奏にも脱帽。 他にも《クレプスキュール・ウィズ・ネリー》や《エピストロフィ》など、まるでモンクの曲のスポークスマンのごとく雄弁にテナーを吹きまくるコルトレーン。 完全にモンクの楽曲を消化し、なおかつそれを基に自分自身のスタイルを自信を持って構築している過程だということが手に取るように分かる。 『ファイブスポットの伝説』とともに、モンク&トレーンの貴重なドキュメントだということは疑いようもない。 しかも、予想以上の高音質。会場の熱気と演奏の生々しさが50年の時を越えて伝わってくる。 ちなみに、CCCD(コピーコントロールCD)の日本盤ではなく、出来れば、米国からの輸入盤で聴きましょう。 |
| (2006/04/29) |
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