COMPLETE BLUE NOTE RECORDINGS
(Blue Note)
- Thelonious Monk

DISC 1
  1. Humph
  2. Evonce (Alt Tk)
  3. Evonce
  4. Suburban Eyes
  5. Suburban Eyes (Alt Tk)
  6. Thelonious
  7. Nice Work If You Can Get It (Alt Tk)
  8. Nice Work If You Can Get It
  9. Ruby My Dear (Alt Tk)
  10. Ruby My Dear
  11. Well You Needn't
  12. Well You Needn't (Alt Tk)
  13. April In Paris (Alt Tk)
  14. April In Paris
  15. Off Minor
  16. Introspection
  17. In Walked Bud
  18. Monk's Mood
  19. Who Knows
  20. 'Round Midnight
  21. Who Knows (Alt Tk)


DISC 2
  1. All The Things You Are
  2. I Should Care (Alt Tk)
  3. I Should Care
  4. Evidence
  5. Misterioso
  6. Misterioso (Alt Tk)
  7. Epistrophy
  8. I Mean You
  9. Four In One
  10. Four In One (Alt Tk)
  11. Criss Cross
  12. Criss Crosss (Alt Tk)
  13. Eronel
  14. Straight No Chaser
  15. Ask Me Now (Alt Tk)
  16. Ask Me Now
  17. Willow Weep For Me


DISC 3
  1. In Walked Bud
  2. Monk's Mood
  3. Who Knows?
  4. 'Round Midnight
  5. Who Knows? (alternate take)
  6. All The Things You Are
  7. I Should Care (alternate take)
  8. I Should Care
  9. Evidence
  10. Misterioso
  11. Misterioso (alternate take)
  12. Epistrophy
  13. I Mean You


DISC 4
  1. Crepuscule With Nellie
  2. Trinkle Tinkle
  3. In Walked Bud
  4. I Mean You
  5. Epistrophy


1947/10/15,10/24,11/21
1947/11/21
1948/07/02
1951/07/23
1952/05/30


47年から52年にかけて、セロニアス・モンクがブルーノートに録音した全セッションを別テイクも含めコンプリートに集大成したものが、この4枚組の『コンプリート・ブルーノート・レコーディングス』だ。

このボックスセットには、ブルーノートに録音したモンクがリーダーのセッションの他、57年にソニー・ロリンズの録音に参加した際の《リフレクションズ》と《ミステリオーソ》が収録されており(『ソニー・ロリンズVol.2』と同内容)、また、現在は『ファイヴ・スポットの伝説』で発売されている、57年にジョン・コルトレーンと繰り広げた「ファイヴ・スポット」でのライヴ演奏も収録されている。このあたりが、目玉といえば目玉か。

もっとも、この分量は、一気に聴きとおすことはなかなか難しいと思うので、その日の気分によって、「今日は3枚目」「今日は1枚目」と少しずつ楽しむのがコツだろう。

個人的には、DISC2のミルト・ジャクソン参加のセッションがお気に入りなので、このことに絞って書いてみようと思う。

これらの演奏は、名演というよりは、快演。
いや、“快”じゃなくて、“怪”演に近い。

ブルーノートにおける、モンクがリーダーの4回目のセッションだが、《オール・ザ・シングズ・ユー・ア−》と、《アイ・シュッド・ケア》が面白い。

オーナーのアルフレッド・ライオンの意向で、ケニ−・パンチョ・ヘイグッドというボーカルを加えた演奏だが、これがまたとても笑えるのだ。

だって、ミルトとモンク、まるで伴奏をしていない(ように聴こえる)。

ヴォーカルが熱を込めて歌うバックで、二人は伴奏とは思えない音を連発して音のやり取りを楽しんでいるのだ。

時々モンクの発する突拍子も無い音が最高におかしい。
きっと二人はパンチョが一生懸命に汗水たらして歌っているのを尻目に、ニヤニヤと目配せしあいながら、音のやり取りを楽しんでいたのではないか?
まるで中学や高校の授業で、先生だけ一生懸命黒板に文字を書いているのだけど、教室の生徒たちは先生の目を盗んで、紙飛行機を飛ばしたり、消しゴムを投げあったり、手紙のやり取りをしているといった授業風景のような演奏なのだ。

きちんと演奏としてまとまっているような、いないような摩訶不思議な「怪演」と呼んでも差し支えないだろう。
モンクもミルトも、ヤンチャ坊主そのものなプレイをしている。

この演奏のやり取りを聴いていると、モンクとミルトの共演したレコーディングの数こそ少ないとはいえ、二人の音楽的相性は良かったのではないのかと思う。
それ以上に二人はとても仲が良かったのでは? とも思える演奏でもある。

スタイルこそ異なる二人だが、互いに自分の表現の本質を変えることなく、見事な演奏を残していることを考えると、やはりこの二人は抜きん出た表現者だったのだろう。
というよりも、モンクと共演してひけを取らないこと自体、すでに凄いことなんだろうけど。

ミルト・ジャクソンとモンクの一風変わったレコーディングだが、妙に癖になる演奏だし、「作品」としてよりも、「記録」として聴いたほうが、より一層こちらの知的好奇心がくすぐられるのだ。

他にもまだまだ、たくさんの聴きどころはあるのだが(なにせ4枚組だからね)、あとは皆さん自身が「自分のツボ」を発見する番だ。

栄養たっぷりのこのボックスセットがあれば、他のジャズがなくてもしばらくは楽しく過ごせるのではないだろうか?
それどころか、しばらくモンクの音楽にドップリと浸かった後に、パーカーやガレスピーのビ・バップや、エリントンやチャールス・ミンガスの音を聴いてみると良い。
きっと聴こえ方が変わっているから。
モンクという「個性」が分かると、上記音楽家たちの「近くて異なる」個性がより一層浮き彫りになり、難解に感じていた音群がグッと身近に感じるようになっているに違いない。
(2010/12/04) 

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