FULL HOUSE (Riverside)
- Wes Montgomery

  1. Full House
  2. I've Grown Accustomed To Her Face
  3. Blue'n' Boogie
  4. Carlba
  5. Come Rain Or Come Shine (take 2)
  6. Come Rain Or Come Shine (take 1)
  7. S.O.S (take 3)
  8. S.O.S (take 2)
  9. Born To Be Blue

Wes Montgomery (g)
Johny Griffin (ts)
Winton Kelly (p)
Paul Chambers (b)
Jimmy Cobb (ds)

1962/06/25


これぞ、熱演! そして、快演!

オクターブ奏法、代理コードを効果的に使ったモダンな響き、どんな時でもグルーヴ感を失わないソロ、などなど、以後のジャズギタリスト達に、大きな影響を与えたウエス・モンゴメリー。
そんな彼が、当時のマイルス・バンドのリズム隊、ホーンにジョニー・グリフィンという理想的なメンバーと共演したライブ。
ライブ・セッションなのにもかかわらず、まるでレギュラーバンドのような演奏のまとまり具合。それでいて各人のプレイの奔放さといったら!

熱くブロウするグリフィン。
どこまでもスインギーなケリーのピアノ。
ジミー・コブのドラミングも、彼にしては、熱量がかなり高い。
そして、猛然とスイングするウエスのギター。圧倒的なテクニックと歌心に溢れている。
全員が熱く燃えている。
しかし、各人が目指すべき音楽の方向性が一致しているためなのだろう、演奏のバランスも申し分なく、奇跡的といっても良いほど、躍動感、エネルギー感、熱気といったジャズのオイシイところばかりが凝縮されたアルバムとなった。

やはり、1曲目の3拍子のタイトル曲や、ノリノリの3、4、5曲目あたりが、 このアルバムの顔なのだろうけど、個人的には、2曲目《アイヴ・グロウン・アカスタムド・トゥ・ハー・フェイス》のしんみりしたギター・ソロも素晴らしい。
(2002/03/18) 
(加筆修整 2006/07/18) 

オクターブ奏法。 代理コードを効果的に使ったモダンな響き。
どんな時でもグルーヴ感を失わないソロ。

……などなど、以後のジャズギタリスト達に大きな影響を与えたウエス・モンゴメリー。

世間的な論調、というより、おもに寺島靖国さん的な論調的では(笑)、「そろそろオクターブ奏法を錦の御旗にしてウエスを持ち上げるのはやめようじゃないか、だって、あんたたち、オクターブ奏法の意味分かってるの?」というような意見がある。

言わんとしていることは分かる。

しかし、私は、オクターブ奏法こそがウエスをウエスたらしめている重要な奏法だし、その奏法が生み出す魅惑的な音色のことに触れないのは、やはり片手落ちだと思うのだ。

もちろん、ウェスには他にも魅力はいっぱいあるが、そば粉とツユを抜きにして、おいしい蕎麦を語るのって難しいと思うんだよね。奏法が大事なのではない。

その奏法によって生み出される“音色”がセクシーだからウエスのギターはカッコいいのだ。
だから、人はその奏法についても興味を持つ。
おいしい蕎麦を食べたときに、蕎麦の原料や作り方に興味を持つように。

出したい音以外の弦をミュート(音を出さないように)して、1オクターブ離れた同じ音階の2音を同時に親指で奏でる奏法のことをオクターブ奏法をいうのだが、問題はそれが難しいとかカンタンとか、楽器をやっている人じゃないと分かる、分からないとか、そういった問題ではない。

重要なのは、この奏法で弾かれる音が素晴らしく、しかも、この音色がウエスのノリとフレージングにピッタリとマッチしているということなんだよね。

音・ノリ・フレーズ。

この三要素が三位一体となっているからこそ、ウエスはギタリストのアイドルでもあり、ギタリストではない人のファンも多いわけだ。

特に、アップテンポで奏でられる「ぎゅいん・ぎゅいん」した音色はカッコいいよ。

タイトル曲の《フル・ハウス》なんて、まさに、この「ぎゅいん・ぎゅいん」が生きる曲想ではないか。

だから、《フル・ハウス》は素晴らしのだ。
べつに、オクターブ奏法で素晴らしいとされているわけではないのだ。

それは「モード奏法」だから『カインド・オブ・ブルー』が素晴らしいわけではないのと同じ理屈だ。

当時のマイルス・バンドのリズム隊、ホーンにジョニー・グリフィンという理想的なメンバーと共演したライブを収録したアルバムだが、ライブ・セッションなのにもかかわらず、まるでレギュラーバンドのような演奏のまとまり具合。
それでいて各人のプレイも奔放で素晴らしい。

何度聴いても耳にタコができないアルバムの好例だ。
(2009/04/19)

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