CANDY (Blue Note)
- Lee Morgan

  1. Candy
  2. Since I Fell For You
  3. C.T.A.
  4. All The Way
  5. Who Do You Love I Hope
  6. Personality
  7. All At Once You Love Her ※

  ※ Does not appear on L.P. configuration

Lee Morgan (tp)
Sonny Clark (p)
Doug Watkins (b)
Art Taylor (ds)

1958/02/02

ブルーノート6枚目のリー・モーガンのリーダー作。
タイトルどおりスイートな曲調の《キャンディ》。
しかし、後半に「ほげ〜、ほげ〜」とわざとトボけた音色とフレーズを吹くあたり、生まれながらのヤンチャ坊主っぷりを発揮しているリー・モーガンの吹奏が微笑ましい。

私は、この曲、以前ジャズのバンドで試しに何度か演奏したことがある。
演奏しながら、改めてとても可愛いらしいメロディの曲だと感じた。
気持ちの良いコード進行と、愛らしいメロディ。
聴いているときよりも演奏しているほうが気持ちよくなってしまうほどの曲なのだ。

もし、リー・モーガンがこの曲をミュートをつけてプレイをしていたら、もっとスイートな演奏になるだろうにと思った瞬間、ハッと気付いた。

可愛い曲を可愛く演奏するのは簡単だ。
だから、モーガンはあえて、ミュートをつけずに、オープン・トランペットの中音域で勝負しようとしたんじゃなかろうか?
可愛い曲を、単に可愛い演奏するだけじゃツマラない。モーガンはそう考えたのかもしれない。

もしそうだとしたら、この意図を汲み取ったのか、それとも天然で叩いているのか、ドラムのアート・テイラーの頑張りっぷりが凄く、遠慮なしにトタパタと叩きまくるところが面白い。
この“暴れドラム”がなければ、ただでさえも可愛らしい曲なだけに、随分と違う印象になっていたに違いない。

大人しくコジンマリとまとまった、無難な演奏に終始していた可能性だってある。
だからこそ、エキサイティングな要素も加味して、独自の解釈で演奏してやろう、そういう意気込みで演奏されたのではないか? と私は推測する。

リー・モーガンのリーダーアルバムは数あれど、このようなワンホーンのアルバムは極めて少ない。
特にブルーノートでのレコーディングでは、テナーサックスや、3管編成の場合だとトロンボーンが配されることが多く、それはそれで共演者に喰ってかかったり、対抗意識を剥き出しにするリー・モーガンのプレイを楽しめるのだが、ときには彼の“独り言”を存分に味わってみたい時もあるはず。
そんなときには『キャンディ』はうってつけのアルバムだろう。

このアルバムでのモーガンは、すべての曲において、ミュート無しの演奏に徹している。ワンホーンのアルバムなのだから、単調さを防ぐためにも、普通は一曲ぐらいミュートを付けてプレイしてもよさそうなものだが、すべてオープンで吹くというのは、彼なりのチャレンジなのだろうか?

もちろん、音色にメリハリをつけなくとも、演奏自体は飽きない。
ピアノのソニー・クラークの好サポートが功を奏している。そう、バッキングに回れば、彼はなかなかの名脇役を演じるピアニストなのだ。彼のサポートのお陰で、過不足なくリー・モーガンの魅力を炙り出されていることは確か。

しかし、いかんせん、腹八分目のアッサリ感は否めないのも正直なところ。
それが証拠に、個人的には、『キャンディ』はタイトル曲以外にどんな曲が入っていたっけ?と訊かれてもパッと答えられないという哀しさがある。
一曲目の印象が強いがゆえに、どうしても、他の曲の印象が薄れてしまうのも確か。

いや、印象に残るのが一曲あった。
《オール・アット・ワンス・ユー・ラヴ・ハー》だ。

これは輸入盤CDに収められた追加曲で、LPや、東芝から出ている1500シリーズには収録されていない曲だが、なかなかハイテンポでエキサイティングな演奏だ。
とくに、ダグ・ワトキンスのベースとモーガンのラッパのデュオになる瞬間は、ソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』の《ストロード・ロード》を彷彿とさせ、なかなかスリリングだ。そのあとの、4バースでもアート・テイラーが燃える燃える。
なぜ、この演奏がお蔵入りになっていたのかが分からないほどだ。
(2006/04/10) 

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