SWING SWANG SWINGIN' (Blue Note) |
| - Jackie McLean |
|
|
Jackie McLean (as) Walter Bishop Jr. (p) Jimmy Garrison (b) Art Taylor (ds) 1959/10/02 |
|
|
|
ジャッキー・マクリーンは、ある意味ジャズの踏み絵だ。 マクリーンが分かればジャズが分かる、とまでは言わない。 しかし、マクリーンにどういう思いを抱くかで、その人のジャズ感がある程度分かってしまう。 ある意味極論だが、結論から言ってしまうと、マクリーンを楽しめない人の選択肢は2つしかない。 1、無理してモダンジャズを聴かない。 :べつにジャズ以外にも色々な音楽がこの世にはあるわけだから。 2、好きになろうと頑張る。何度も真剣に聴いてみる。 :そうすることによって見えてくるものも確かにある。 なんだかエラそうな物言いかもしれないが、実際そうなのだから仕方がない。 なぜ、そこまで言い切れるのかというと、マクリーンほど、ハードバップの特徴、言ってみればモダン・ジャズの美味しさを体現しているジャズマンはいないと思うからだ。 極論すれば、“一番ジャズの中心の音”を出している人なのかもしれない。 饅頭のアンコを否定する人に無理して饅頭を勧めても仕方がないでしょ? 大阪の串かつ屋で、ソースをつける習慣を否定しても仕方がないでしょ? だって、それらのことって、“そういうもん”なんだから仕方が無いのです。もしイヤだったら、饅頭のかわりに違うお菓子を探していただくなり、串カツのかわりに、焼肉屋などを探すなりしてくださいというしか無いもんね。 同様に、マクリーンを悪し様に言う人の共通して嫌う特徴が、これすなわちマクリーンの一番おいしいところなのです。 ピッチのズレ、独特のくすんだ感じの音色。 スムースとは言い難い、詰まった感じのフレージング。 クラシック的価値観に照らし合わせれば(あくまでクラシック的価値観だよ)、楽器のコントロールが未熟という一言で切り捨てられても仕方がないと思う。 しかし、マクリーンはクラシックの演奏家ではない。 男一匹ジャズマンなのだ。 自分にしか出来ない演奏、自分だけの声を出そうとしているサックス吹きなのだ。 俺はこれしか出来ないんだ!こういう音しか出せないんだ! ボキャブラリーは少ないかもしれないけど、それに舌足らずなのかもしれないけれども、でもこの部分だけは、絶対に言っておきたいんだ! このような意気込みが、マクリーンの音には漲っている。 4ビートというフォーマットは、不思議とこのようなタイプの演奏家の自己表現がマッチする。 マクリーンの一生懸命さ、熱さは、不思議と聴き手の耳をワシづかみにしてしまう説得力を持っているのだ。 聴き手の耳や心を捉えて離さないということは、プロとして立派に一流なことの証。 プロとして一流ということは、表現力も一流ということ。 そう考えると、ピッチが云々、音色が云々というクラシック的な価値観をジャズという異なる音楽的な文脈に持ち込んで、ああでもないこうでもないと論ずること自体がナンセンスなことだし、あまり意味の無いことともいえる。 西欧的な「スープを飲むときに音をたてるのはみっともない」という価値観を持ってして、日本人が蕎麦やラーメンをすするときの音を否定しても仕方がないのだ。 大事なことは、ピッチを超えた、マクリーンの“肉声”があなたに届くか届かないかなのだ。 ブルーノートの『スイング・スワング・スインギン』は、マクリーンの魅力が凝縮されたアルバムだ。 なにしろ、ワンホーンなので、たっぷりと彼のサックスを味わうことが出来る。 リズム隊も、強靭なリズムで演奏を牽引してゆくジミー・ギャリソンに、“この手のセッション”においては、定番かつベテランのアート・テイラー。 悪かろうはずがない。 スタンダード中心の選曲で、7曲中5曲がスタンダード。プラス、マクリーン自作のブルースと、ベニー・ゴルソンの名曲《ステイブルメイツ》という組み合わせ。 メンバー、選曲ともに、とてもおいしいアルバムだ。 《センチメンタル・ジャーニー》で、プレスティッジの『4,5&6』を代表作だと思っている人は片手落ち。 マクリーン全開(全快?)という意味では、こちらのほうが代表作の冠に相応しい。 是非、隅から隅までマクリーンの旨みを味わってください。 マクリーンに今ひとつ馴染めない人、そして、それでもジャズを聴き続けるつもりな人は、このアルバムを自分のジャズ感のリトマス試験紙としてご使用ください。 |
| (2004/02/06) |
|
|
|
|
All Rights Reserved. |