MINGUS AT ANTIBES (Atlantic) |
| - Charles Mingus |
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Charles Mingus (b) Ted Curson (tp) Eric Dolphy (as,bcl) Booker Ervin (ts) Bud Powell (p) #4 Dannie Richmond (ds) 1960/07/13 |
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アンティーブは、南仏のカンヌとニースの間に位置する地中海を臨む町。 行ったことはないが、以前、南仏のニースには行ったことがある。 そこで、地中海に面した町の美しさと、のんびりとした雰囲気を満喫したことがあるので、アンティーブもきっとそういう場所なのかな? と想像をたくましくしている。 以前、私の番組にご出演いただいたコルトレーン研究家の藤岡靖洋さんは、毎年ヨーロッパで催されるジャズフェスティヴァルを渡り歩き、いつも雑誌にレポートを寄稿されておられるが、藤岡さんのお話によると、アンティーブは、気候も良いし、本当にのんびりした土地なのだという。 ビーチにはトップレスの女性がたくさんいるので「たまりませんな〜(笑)」とのことだったが、このようなノンビリとしたアンティーブでは、1960年からジャズフェスティヴァルが催されるようになった。 記念すべき第1回目の出場ジャズマンの1人に、チャールス・ミンガスがいた。 そのときのライブの模様が収録されたのが『ミンガス・アット・アンティーブス』だ。 どんなサウンドかって? それはもう凄まじいことこのうえなし。 絵ハガキや、旅行代理店のパンフレットからイメージする優雅な南仏の雰囲気からは想像もつかないほど、熱く重くパンチのあるサウンドなのだ。 脂が乗りまくったミンガス・バンド。 怒涛の分厚いアンサンブルが、ドッカーン!とこちらの耳に迫り、その迫力にはただただ圧倒されるばかり。 なんといっても、3人のフロントの管楽器奏者が強力なのだ。 エリック・ドルフィーがアルトサックス(曲によってはバスクラリネット)、 ブッカー・アーヴィンがテナーサックス、 そしてテッド・カーソンがトランペットという強力な布陣。 彼らが3人が織りなすホーン・アンサンブルと、演奏のタフな動力源のミンガスのベース。そしてドラムスは、ミンガスの影として、ときには手足として、ダイナミックに演奏を盛り上げるダニー・リッチモンドとなれば、サウンドの強力さは折り紙付きだ。 この豪腕、強靭さは、まるでニンニクをたっぷりと入れた激辛カレーを食べているかのよう。 特に1曲目の《ウェンズデイ・ナイト・パーティ・ミーティング》と、2曲目の《プレイヤー・フォー・パッシヴ・レジスタンス》の迫力は筆舌に尽くしがたい。 興奮につぐ昂奮。 そして心地よい疲労感が訪れはじめたタイミングで、新しい空気に変わる。 そう、バド・パウエルがゲスト参加した《4月の思い出》だ。 パウエルのピアノが加わっただけで、バンドの重心が今までの演奏とはガラリと変わるから面白い。 バド・パウエルがピアノを弾いている間だけは、面白いことに濃厚なミンガスの世界が陰をひそめ、完全無欠なパウエルの世界に染まるのだ。 パウエルのピアノには特別な磁力がある。 淡々と弾かれているように聴こえるし、実際そうなのだが、聴き手の耳を捉えて離さない。長めのピアノソロにもかかわらず、最後の一音まで耳がスピーカーに吸い付いてはなれないほどの耳を引きつける磁力。これはなかなか凄いことではある。 ピアノのことしか考えていない男が、ピアノを弾く歓びを満喫しているだけのある種自己満足な演奏ともいえるかもしれない。 しかし、天才の自己満足に強引に耳がつきあわされてしまうことは、決して気分の悪いものではない。 ちなみに上に貼り付けた映像は、パウエル参加の《四月の思い出》の演奏の後半だ。ピアノソロが終わり、演奏のバトンがパウエルワールドからミンガスワールドに移った後の演奏シーンとなる。 強烈な体臭とアクを放つミンガスサウンドと、パウエルの淡々としながらも力の宿ったピアノの両方を楽しめる『ミンガス・アット・アンティーブス』。 ミンガス好きにとっても、パウエル好きにとってもマストアイテムのアルバムだろう。 2人のファンにとっては嬉しい写真もジャケット内には掲載されている。 パウエルがミンガスの両肩に手を置き微笑みかけ、ミンガスはパウエルに向かって振り向き、嬉しそうな笑顔。 ヤバい天才と、ゴツい男の心温まる交流の一瞬をとらえた素晴らしいショットだ。 |
| (2009/11/23) |
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