FOOTPRINTS (Muse) |
| - Pat Martino |
|
|
Pat Martino (g) Bobby Rose (2nd g) Richard Davis (b) Billy Higgins (ds) 1972/03/24 |
|
|
|
同じギタリストで、 同じ「パット」といえども、 メセニーだけではなく、マルティーノのほうも、もっともっと聴かれてしかるべき素晴らしいギタリストだと思う。 マイルドかつ太いサウンドで、どんなに高速なテンポになっても、信じられないぐらい正確なツブ立ちの旋律を奏でるパット・マルティーノ。 神技とすら言える彼の技術は、特にギタリストからの崇拝の対象となっているが、だからといって、ギタリストのためだけのギタリストにしておくのは、あまりにも勿体無いと思う。 注目すべきは、テクニック以前に、彼の独特なる“歌心”のほう。 どんなにギタリストが「スゲ〜!」と驚嘆するテクニックを用いても、そのフレーズが“生きて”いなければ、聴き手の腹には説得力をもって染みてこないのだ。 本アルバムは、まずは、タイトルにもなっているウェイン・ショーターの代表作《フットプリンツ》がなんといっても素晴らしい。 マイルドかつ妖しい光彩を放つマルティーノ独自のギターワーク。 それにもまして妖しげなのはリチャード・デイヴィスのベースだろう。 パット独自の世界に色を添え、さらに増幅させている。彼の“低音シタール”とでもいうべき、ときおりピッチが曖昧で、 ♪みよ〜ん、みよ〜ん という怪しげなSE効果をも兼ねたベースワークと、後半で登場するノイジーな成分の多いアルコワークは、光沢をおさえた鈍い黒光りを放つ。 もうひとつの目玉曲は《ロード・ソング》。 これは、ジャズギタリストのマスター、ウエス・モンゴメリーを意識し、かつ彼の奏法にもこだわった名演。 通常は、固くて重い大理石のピックアップを用いているマルティーノだが、この曲においては、ウエスが編み出した独特の奏法、親指だけで弦を奏でる“オクターブ奏法”で奏でている。 アントニオ・カルロス・ジョヴィン作曲のボサ・ナンバー《ハウ・インセンティヴ》は、マルティーノ初心者にとっては、彼を知るには格好のナンバーだと思う。 この重く沈み込むような哀感。 まずは、メロウなテーマ処理に泣ける。 アドリブパートは、得意の速射砲的16分音符の連射に展開してゆくわけだが、この少しずつ聴き手の気分を少しずつ高揚させてゆく演奏の展開が巧みだ。 ショーター、ウェス、ジョヴィン……。 まったく違う世界観を持つミュージシャンたちの曲を見事なマルティーノ色に塗り込めた本作は、パット・マルティーノというギタリストの多彩な引き出しを垣間見れると同時に、マルティーノ入門には最適な1枚だと思う。 ……と、ここまでは当たり障りのない無難な紹介(笑)。 じつは、このアルバムで、いちばん個人的にヤバいな〜と思っている曲は、 ……ふっふっふっふ、《ホワット・アー・ユー・ドゥーイング・ザ・レスト・オブ・ユア・ライフ?》なのです。 万人にはオススメしません。 したくありません。 特に、自分の人生に少しでも疑問を持っている方、仕事、恋愛、人間関係……、その他もろもろがうまくいかずに落ち込んでいる方は、絶対に、絶対に、聴いてはいけません。 どん底気分にさらに拍車がかかり、そこから先は何が起こっても私には保障が出来ないからです。ってぐらい、聴き手の絶望感を突っつく、超哀切ナンバーなのです。 「しんみりして切ない気分になってきたな〜」ぐらいのレベルで聴き流せる人は、まだまだ健全。ハッピーな自分を喜びましょう。 |
| (2009/08/27) |
|
|
|
|
All Rights Reserved. |