DODO'S BACK! (MCA) |
| - Dodo Marmarosa |
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Dodo Marmarosa (p) Richard Evans (b) Marshall Thompson (ds) 1961/05/09 & 10 Chicago |
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ドド・マーマローサが好きだ。 いや、正確に言えば、ドド・マーマローサのリーダー作『ドドズ・バック』に惚れてしまった。 随分前の話になるが、知人から、きっとあなたはこういうジャズが好きに違いない、だから、騙されたと思ってこのテープを聴いてみてねと、『ドドズ・バック』が録音されたテープを渡された。 ドド・マーマローサ。 バップ期より活躍していたピアニスト。 名前ぐらいは知っていたし、チャーリー・パーカーと共演しているダイアル盤はよく聴くアルバムでもある。 しかし、どういうプレイをするピアニストなのかは、まったく印象に残っていなかった。それもそのはず、私がパーカーを聴くときは、パーカー以外の音はまったく耳に入ってこないのだ。 バックのピアニストがたとえバド・パウエルでもジョン・ルイスでも、はたまたデューク・ジョーダンでもアル・ヘイグでもハンク・ジョーンズでも、パーカーのバックで伴奏をつけているピアノのサウンドって、ほとんど印象には残っていないのだ。 もっとも例外はある。 ディジー・ガレスピーとセロニアス・モンクだ。 ディジーは、本来はトランペッターだが、サボイ・レーベルにパーカーがリーダー録音をする際、スタジオに遊びにやって来て、ピアニストのサディク・ハキムを脇に追いやり、パーカーのサックスに伴奏をつけているテイクがいくつかある。 モンクとパーカーの共演は、ヴァーヴの『バード・アンド・ディズ』で聴くことが出来るが、凄まじいバーカーとガレスピーのアドリブの応酬の脇で、したたかに自己主張をしているので、否が応でも耳に入ってきてしまう。 彼ら二人に共通するのは、一聴、不協和音を連想するようなクラスター(音塊)を連打すること。このクラスター連打のバッキングが、「心地よい異物」としてパーカーの流麗なサックスプレイと良い対比をなしているために印象に残っているのだと思う。 しかし上記二人は例外として、ドド・マーマローサのピアノも私にとってはパーカーのアンサンブルの中に埋没したピアニストの一人に過ぎなかったので、初めて彼のリーダーアルバムで彼のピアノを聴いたときはビックリした。 「良い!」ではないか!!! 特に目の醒めるような鮮やかなプレイをするわけでもなく、泣く子も黙る超絶テクニックを駆使しているわけでも、斬新な解釈で演奏をしているわけでもないし、一言で括れるほどのハッキリしたプレイのスタイルを持っているわけでもない。 しかし、何ていうのだろう、私の持つジャズ心の非常に気持ちの良いツボを刺激してくれるようなピアノなのだ。 ちょっとハズれた喩えになるかもしれないが、ウォルター・ビショップ・ジュニアの『スピーク・ロウ』というアルバムで聴ける乾いたタッチとでも言うのだろうか。 しかも、乾いているくせに、湿った情緒がそこはかとなく絡むピアノの音色とフレーズが私のジャズ心を鷲掴みにしてしまった。 派手なわけでもないのに、いつまでも心にひっかかるピアノ。 特に1曲目のマーマローサのオリジナル、《メロウ・ムード》、2曲目の《コテージ・フォー・セール》のピアノは、曲想の良さも手伝ってか、繰り返し繰り返し何度も何度もしつこくリピートしても全く飽きない。 いや、ちょっと言い直すと、曲が素晴らしく良い、というわけでもない。 要するに、これらの曲とマーマローサの持つピアノの「気分」がピタリと一致しているからなのだろう。 この曲にして、このタッチとフレーズあり!としか言いようがない演奏なのだ。 この2曲、甘く弾こうと思えば、いくらでもベターッと大甘に弾くことも出来るはずだ。 しかし、情緒に流されすぎずに適度な節度を持って、少し不愛想なぐらいに淡々と乾いたピアノを弾いているところに、私はドドの美意識を見たような気がした。 暗くはないが、どこか寂しげなのだ。 『ドドズ・バック』に一発で魅了された私は、「これいい、これはいい、このアルバムこそ、本当のジャズ好きが聴くべきアルバムだ!」などと騒ぎまくったので、テープをくれた知人も、勧めた以上、引っ込みがつかなくなったのだろう、足を棒にして、新宿、渋谷、お茶の水と、何軒ものジャズのCDの在庫の多いショップを探し回ってくれた。…感謝。 ハァハァ、ゼェゼェ、と肩で息をしながら、「やっと、ようやく、見つけました!ハイ、どうぞ!!」とラッピングしたCDの包みを手渡された時は、涙が出るほど嬉しかった。 ジャケットを見ると、1997年に国内盤としてプレスされたものだ。5年間もCDショップの棚によくもまぁ残っていたものだ、と感心してしまった。 早速、帰路、六本木のよく呑みに行く店に寄り、カバンの中から『ドドズ・バック』を取り出し、かけてもらった。 一曲目の《メロウ・ムード》が流れ出した。 ベンチャーズかロカビリーか何かの有線のBGMでタルんだ店の空気が一気にピシッと締まった。特徴のある、明るいが、ほのかに陰りのあるせつないテーマと、乾いたピアノのタッチが店の空気を完全に変えてしまったのだ。 「かっこいい!」カウンターの隣に座っていた連れの女性が叫ぶ。 思わず、「でしょ?でしょ?でしょ?」を連発してニンマリする私。 至福の瞬間だ。 『ドドズ・バック』というアルバム、数あるジャズCDの名盤ガイドなどではあまりお目にかかることのないアルバムだ。 このような素晴らしい盤がひっそりと自分の知らないところに埋もれていたのだなぁと思うと、まだまだ私のジャズのアンテナ感度は鈍いと言わざるを得ないし、これだからジャズは奥深いし面白いなぁとも思ってしまうのだ。 そして、思わぬタイミングで、不意にこのようなアルバムに出会える楽しみもあるので、ジャズは止められない。 ちなみに、タイトルでも分かる通り、本作がドドの復帰作になるのだが、録音後は再び消息をくらましてしまった。 その後の消息は知られていないそうで、もっと彼の翳りのあるピアノを聴きたい私としては非常に残念なことだ。 |
| (2002/04/29) |
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ニースに行ってきました。 |
| (2003/05/22) |
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