COLORS (Rambling Records) |
| - Manami Morita |
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Manami Morita (p) Zak Croxall(el-b) Bob Edinger(ds)#2,4,6 Thomas Hartman (ds) #1,3,5,7,9 2009年 |
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私が以前、パーソナリティをさせていただいたラジオ番組に、「タワーレコード」のジャズバイヤーの方がゲスト出演する回があった。 そのバイヤーの方が持ってきた新譜の1枚がManami Moritaの『Colors』だった。 彼がこのアルバムの2曲目の《ジャングル・ブック》をかけたときは、元気あふれるピアノに感嘆し、「おお、チビまる子ちゃんがピアノを弾いているような演奏ですね!」とコメントをした記憶がある。 胸のすくほど奔放で、自由。 パワーも漲る、のびのびしたピアノだったのだ。 ちなみに、実写版の『チビまるこちゃん』では、大人になったチビまるこちゃんの役は上野樹里で、そういえば、スウィングガールズでの上野樹里の天然っぷりとはちょっと違うぞ、いや、でも彼女はその後、実写版の『のだめカンタービレ』で主人公・のだめの役を演じており、まさにのだめというピアニストのキャラ設定は、そのカンタービレという言葉のとおり、“歌うように、表情豊かに”だから、けっこうしっくりと当てはまるかもしれないな、それにしても、このピアノの演奏の主、マナミ・モリタなるピアニストは上野樹里と似ているのかな? ……なんてどうでもいい妄想が頭の中をかけめぐりつつも、楽しく聴けた。 もちろん、番組収録後は急いでタワーレコードに足を運んだことは言うまでもない。シールのおまけ付きバージョンを購入し、今でも折に触れてこの楽しいアルバムを聴き続けている。 音楽そのものの良さもさることながら、彼女自身が手がけたというアルバムのかわいいジャケットデザインもそそるので、ついつい手が伸びてしまうことも一因としてはあるのかもしれない。 このアルバムは、バークリー音楽大学卒業後の自主製作アルバムとのこと。そういえばタワレコのポップには「インディーズ・デビュー作」と書かれていた。 インディーズにしておくには勿体無いほどのクオリティだというのが最初に聴いたときの感想。 タワレコのバイヤーさんは「ポスト上原ひろみ」と彼女のことを形容していたし、実際タワー店頭にも「ポスト上原」というPOPが掲げられていた。 しかし、聴けばおわかりのとおり、Manami Moritaは、決して上原ひろみのエピゴーネンでもなければ、スタイルの追随者ではない。 おそらくは、海外での修行歴の女性というキャリア面での共通点と、ベーシストはウッドではなくエレキベース奏者であること、そして生ピアノとエレキベースが醸しだすサウンドテイストが上原的ニュアンスを感じさせるということなのだろう。 また、奔放に鍵盤を弾きまくる、ほとばしる勢いのようなものが両者に共通して感じとれるニュアンスなのかもしれない。 しかし、サウンドのカラーリングは、たとえてみるなら上原ひろみが色鉛筆だとすると、マナミ・モリタはクレヨンぐらいの違いがある。 純粋にピアノ演奏におけるテクニック面のみを抽出して比較するのであれば、彼女は上原ひろみの足元にもおよばないし、良くも悪くも荒削り。だからこそ、そこが魅力だし、ぶっ太いエモーショナルがある。 精緻といっても差し支えないほど音の粒立ちが正確で、息を呑むほどのスピード感で疾走する上原ピアノよりも、もっと無邪気で陽性な暖かいパワーを感じるのだ。決して幼稚という意味ではなく、楽しげ、という意味で。 だから、クレヨン。 まさに、このアルバムから飛び出てくる演奏は、音の遊園地だ。 いや、遊園地は彼女にとってのピアノの鍵盤そのものなのかもしれない。 眼前に並ぶ白と黒の鍵盤を、あたかも遊園地で遊ぶかのように楽しげに弾きまくっている。そんな印象がつきまとうのだ。 おすすめ曲は、《ジャングルブック》と《マイ・フェイヴァリット・シングズ》だが、初めて聴く人は、まずは《マイ・フェイヴァリット・シングズ》から耳を通していただきたい。 テーマのアンサンブル、メロディ処理がユニークなのだ。 メロディの余韻を、あたかもスカートやズボンの丈を詰めていくように畳み掛けるようなアレンジがスリリング。またアクセントとしてベースの派手なフィルを織り交ぜたりと、テーマ処理はなかなか凝っている。 ただ、そのぶん、アドリブの箇所は、森の中をさまよっているような手探り感が出てくる局面が出てくることは否めないが、その宙ぶらりんさ加減があるからこそ、後半のビシッと決まったテーマアンサンブルがより一層映えるのだろう。 エキサイティングな演奏をしつつも、ピタリと息のあったアンサンブルも、このピアノトリオの素晴らしさ。 《マイ・フェイヴァリット・シングズ》でManami Moritaのピアノの虜になる人も多いのではないだろうか? お次は2曲目の《ジャングルブック》を聴いてみよう。 とにかく楽しい演奏だ。 急速調にどんどん演奏が展開されゆき、めまぐるしくうつりかわる様々な景色の中を胸を高鳴らせながら、はじける音と一緒に遊んでいる感じ。 だからこそ、楽しい。 テーマ初っ端の和音の破裂感が心地よい。 まるで、ポップコーンがはじける瞬間のような音、あるいはカラフルな風船やチューインガムの風船が「パン!」とはじけたようなアタック感が楽しいインパクト。 ひととおりこのアルバムを数回聴いて、アルバムの流れやピアノからいったん耳を離れ、エレキベースを重点的に聴いてみると、これもまた心地よいのだ。 ベーシストのZak Croxallが使用しているベースの機種は分からないが、ご機嫌なグルーヴを提供していると同時に、アンソニー・ジャクソン的な引き締まった音色で、楽しげに歌うベースを弾いていると思う。 ベースソロもメロディアスで、アドリブの構成にもメリハリのある「聴かせるベース」を聴かせてくれる。 演奏のアプローチは、アンソニー・ジャクソンに影響を受けたであろう箇所が散見されるが、もちろん彼にはアンソニーとは違うオリジナリティがある。 この2曲が気に入れば、あとはもうご自由にManami Moritaが描く音の遊園地を存分に楽しんでいただきたいと思う。 エロール・ガーナーやジャック・ウィルソン、ラムゼイ・ルイスなどなど、聴き手をご機嫌な気分に誘ってくれるピアノトリオは数多くあれど、このManami Moritaのピアノトリオは現代的なポップなテイストも加味された、まさに現代のピアノトリオだといえるだろう。 |
| (2011/12/15) |
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