BASRA (Blue Note) |
| - Pete La Roca |
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Pete La Roca (ds) Joe Henderson (ts) Steve Kuhn (p) Steve Swallow (b) 1965/05/19 |
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ジョー・ヘンダーソン・カルテットと言うべき編成で、たしかにジョーヘンのテナーも全編にわたって楽しめる内容ではあるが、単なるワンホーン・カルテットに終わっていない奥深さの秘密として、リズムセクションが醸し出す独特の雰囲気がある。 いうまでもなく、リーダーのピート・ラ・ロッカのドラミングが、このアルバム独特の空気を醸成する要だ。 構築的でありながらも、かなり上下に揺れながらグルーヴするラロカのドラミング。 彼のドラミングは音同士の分離度が良く、根底には重く粘るビート感はあるものの、表面的にはむしろアッサリとしたニュアンスを聴き手に与える。 このドラムと抜群の相性を見せるのがスティーヴ・キューンのピアノだ。 彼のピアノは、微妙に愁いを帯びている。 フレーズどころか、音色そのものからして、濡れた哀愁を感じさせてしまう稀有なピアノだ。 ドン・フリードマンにもその傾向があるが、スティーヴ・キューンのほうが、もう少し硬質なニュアンス。 いずれにしても、知的なくせに、どこか湿り気の要素のぬぐえないキューンのピアノ。 憂いを帯びたピアノに、音同士の分離の良いドラミング。 スティーヴ・キューンと、ピート・ラロカの組み合わせは、サウンド的にもかなり相性のよい組み合わせなのだ。 それが証拠に、キューンの傑作『スリー・ウェイヴス』のドラマーがラロッカ以外のドラマーが叩く光景を想像してみたまえ。 ブレイキー? フィリー・ジョー? エルヴィン? うーん、いずれにしても、あまりイメージが浮かばない。 それぐらい『スリー・ウェイヴス』のドラマーはラロッカ以外ありえないほど、我々ジャズリスナーの耳には、ドラムとピアノのサウンドの一体感がセットとなって刷り込まれているはずだ。 だから、ラロッカのリーダー作のピアニストにはキューンが最適なのだ。 ジョー・ヘンダーソンが、かなりブリブリのエグいサックスを吹いているが、キューンのピアノとの不思議なバランスで、どの曲も多角形的な構造を持ちながらも、案外スイスイと聞けてしまう不思議がある。 不思議といえば、スティーヴ・スワロウのベースも不思議だ。 まったくシャカリ気になり過ぎず、熱を帯び過ぎないベースが、じつは一番この手のサウンドにマッチするということを熟知しているとしか思えない。 感覚で弾いているのか。それとも熟慮に熟慮を重ねた末に弦をはじいているのか。 個人的には、スワロウというベーシストは、謎の多いベーシストで、音が出てくるまでの彼の中のロジックが皆目見当がつかない。 だからこそ魅力的でもあるのだが、それだけこの『バスラ』というアルバムを単に熱いだけではなく、さらに一歩、深みのある内容にしているのは、リズムセクションの際立つ個性があってこそ。 実際、このレコーディングで彼らは手ごたえを感じたのだろう。このメンバーで、後日、ピアノトリオのアルバムを録音する。それが先述した『スリー・ウェイヴ』だ。 ドラムと相性の良いピアノニスト、ベーシストの選択が、このアルバムを成功に導いているのだ。 ピート・ラロカ唯一のブルーノート吹き込み作品。 |
| (2009/02/19) |
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