THREE WAVES (Contact)
- Steve Kuhn

  1. Ida Lupino
  2. Ah-Moore
  3. Today I Am A Man
  4. Memory
  5. Why Did I Choose You?
  6. Three Waves
  7. Never Let Me Go
  8. Bits And Pieces
  9. Kodpiece

Steve Kuhn (p)
Steve Swallow (b)
Pete La Roca (ds)

1966年

入り組んだ幾何学図形を眺めているうちに陥る錯視効果。

これがスティーヴ・キューン・トリオを聴き続けているうちに陥る感覚だ。

決して流暢ではないフレージング。
言いたいことをサラリと言い流すのではなく、むしろその反対で、大切なことは何度も確認をとる作業をとりながら、前進しながらも、一歩後戻りをしながらフレーズを組み立ててゆく構築的なピアノ。

さらに、意図的に突んのめるような、独特なリズムのアーティキュレーションが加わるため、過去に以前聴いたはずのフレーズが幻聴のように頭の中で反復を繰り返す。
理知的なムードに支配された音空間を形成する一翼を担っている一人は、スティーヴ・スワロウのベースだ。

一聴、大人しくネコをかぶっているかのようだが、その実、なかなかシタタカなベースで、キューンを危ない道へと誘導する手腕。

さらに、わかっていながらも何食わぬ顔でシンバルを叩くピート・ラロカも立派な共犯者。そういうキューンも騙されたフリをして、あえて彼らのタクラミに乗ってあげている。

そんな知能犯たちが作り上げる音世界は、少なくとも甘いムードには浸れないかもしれないが、思索的で充実したひとときを味わえる、ちょっと偏屈ながらも味のあるピアノトリオだ。

センスの良い粋な大人たちによる、一筋縄ではいかない、ちょっとビターでスイートなピアノトリオをどうぞ。
(2005/12/20) 


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