KELLY AT MIDNTE (Vee Jay)
- Wynton Kelly

  1. Temperance
  2. Weird Lullaby
  3. On Stage
  4. Skatin'
  5. Pot Luck

Wynton Kelly (p)
Paul Chambers (b)
"Philly" Joe Jones (ds)

1960/04/27

テンションが高く、オカズの入れ方がちょっとオーバーな気もするフィリー・ジョーのドラミングには、好みが分かれるところかもしれないが、私は好きだ。

それどころか、ピアノよりも、フィリー・ジョーのドラムをたっぷりと聴きたいときのアルバムとして、私の中には位置づけられているほどなのだから。

ブラシよりもスティックを用いている演奏が多いためか、ちょっとした間に入れるスネアの「オカズ」さえも、タッカ・タカ・タカと大きく響きわたり、それが、聴きようによっては、耳障りに感じるかもしれない。
しかし、不思議なことに、ウイントン・ケリーのピアノを邪魔しているわけでもないのだから、フィリー・ジョーは卓越したセンスのドラマーだと思う。
このスネアやリム・ショットの一打一打が、演奏を鼓舞し、エネルギー増幅装置となっているので、聴いているこちらの方も、何やらパワーを貰ったような錯覚に陥ってしまう。

ドラムのことばかり書いてしまったが、もちろん、ケリーのピアノも素晴らしい。
ケリーならではのリズム感の良さ、フレーズを組み立てる際の、一音一音を選択する際のセンスの良さ、ハネ気味なノリだが、気持ちよくスイングするピアノは、このアルバムでも健在だ。

このノリの良さゆえに、ケリーのことを「ハッピー・ピアニスト」とする向きもあるが、単に「ハッピー」なフィーリングを身につけたピアニストではない。
私がケリーに惹かれる理由の一つは、ノリの良いフィーリングの陰にチラッと見え隠れする、一抹の翳りなのだ。
そして、この『ケリー・アット・ミッドナイト』においては、他のアルバムよりも、ダークな側面がほんの少しだけ強いような気がするのだ。
もちろん、ジャケットが黒いからではない(笑)。
心地よくスイングするリズミックなピアノから、ほんの一瞬だけ感じる溜息。単に気のせいなのかもしれないが、私には一抹の寂しさを感じる瞬間がある。
かといって、内容は暗いというわけではない。むしろ、明るく爽快なぐらいだ。
聴こえてくる音と、聴こえない音の部分から感じられるまったく別なフィーリングのギャップ。

深読みしすぎな聴き方かもしれないが、これこそが、フィリー・ジョーのドラミングに次いで、本作を魅力的にしている要因だと思う。
何の変哲もない、一枚のピアノ・トリオ・アルバムとしては終わらせることの出来ない不思議なオーラは確かに、ある。

ケリーの代表作として挙げられることが多いのにも納得。
もう一枚の代表作 『ケリー・ブルー』よりも、私は『ミッドナイト』派だ。

(2002/06/06) 


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