STANDARDS,vol.1 (ECM)
- Keith Jarrett

  1. Meaning Of The Blues
  2. All The Things You Are
  3. It Never Entered My Mind
  4. The Masquarade Is Over
  5. God Bless The Child

Keith Jarrett (p)
Gary Peacock(b)
Jack DeJohnette(ds)

1983/01月

なにはさておいても、《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》。v この曲は、コード・チェンジの面白さゆえか、ビ・バップの頃より、様々なジャズマンに取り上げられてきた曲だ。
もはや演奏されつくした感すらある、それこそ手垢のつきまくったスタンダードだが(個人的には好きだけど)、こんなにスリリングな“演奏”の《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》を聴いてしまうと、まだまだスタンダードにも未知の可能性があるのだなと思い、嬉しくなってしまう。

演奏が進めば進むほど、勢いと熱量がアップしてゆく様はとてもスリリング。
ジャック・ディジョネットの畳み掛けるようなドラミング、そしてそれに比例するかのように次から次へと、まるで時間の流れを凌駕するかのごとく、美しいメロディを紡ぎ上げてゆくキース。
聴いているこちらの気持ちもどんどん高揚してくる。
長尺演奏もまったく気にならない。むしろ、呆気なく終わるラストに、「え!もう終わり?」と飢餓感がつのるぐらいだ。

キース・ジャレットのピアノで特筆すべきは、「音色」の美しさと、「メロディ」の美しさだと思う。
サウンド・クオリティに、独自の哲学を持っているECMレーベルでの吹き込みが多いこともあるが、ピアノの音色が非常にクリアで綺麗な人だと思う。

そして、メロディ。
そう、キース・ジャレットは、とことんメロディの人なのだと思う。
溢れるように、メロディが次から次へと自然に沸いてくる人。
湧いてきたメロディをすかさず捕え、すぐさまピアノを媒介に次から次へと中空に放り投げてゆく。
時折、ピアノの音よりも大きいんじゃないかと思えてしまう奇声も、自然発生的に湧き出てきたメロディのバイブレーションが全身に漲るのだろう、鍵盤を操作する指先だけでは飽き足らずに、ついつい口のほうからもメロディが漏れてしまうのだと思う。

しかし、上記2点の特徴を楽しむには、数多くのソロ作品でも十分楽しめると思う。
せっかくのドラムとベースの加わったトリオのフォーマットでは、「メロディ」と「音色」のほかに、ジャズ的な躍動感も楽しみたい。

一体どこまで飛んで行っちゃうんだろう?というほどのスリルと、凄腕のリズム陣による「動」の要素。
この要素が三位一体となって、とても良い表現バランスでまとまっているのが、キース・ジャレット、ゲイリー・ピーコック、ジャック・ディジョネットによるトリオ、「スタンダーズ」だと思う。

「スタンダーズ」の一枚目のこのアルバム、当然、どの演奏も良いのだが、やはり、私の場合は《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》の魅力の虜になっている。
(2002/03/21) 

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