QUIN JOHNSON TRIO (Birds Records) |
| - Quin Johnson |
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Quin Johnson (p) Ed Howrad (b) Adam Nussbaum (ds) 2009/04/08 |
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緊張感と安定感の小気味良いバランス。 攻守優れたピアニストだと思う。 ドイツはニュルンベルク生まれ。父親がアメリカ陸軍所属のため、青森県三沢市にも住んでいたこともあるというアメリカ人ピアニスト、クイン・ジョンソン。 彼が38歳のときに録音した初リーダー作『クイン・ジョンソン・トリオ』は、スタンダード、バラード、ブルース、ラテン、オリジナルとバランスの良い配曲が施され、どの演奏にも一切隙を見せない手堅い作りのアルバムとなっている。 特に「面白い!」と軽く身を乗り出したのが《ストレート・ノー・チェイサー》。 私は、CDを最初に聴く際は先入観をもたぬよう、なるべくライナーや曲名を見ずに、音だけをとにもかくにも聴くようにしている。 だから最初に《ストレート・ノー・チェイサー》を聴いたときは、ところどころにセロニアス・モンク作曲のブルースの断片が挿入されるテーマを聴いたときは、てっきりベースラインがボサノバテイストのブルースだと思った。 そう、ベースラインは、ルートと5度を行き来するのみの簡素なブルース進行なのだが、このシンプルなラインに対して細かく絡むアダム・ナスバウムのブラッシュワークの手際の鮮やかさを面白く感じた。 アドリブは、基本的にはテーマのモチーフを踏襲したブルース進行だが、カチッとしたタイトなまとまりつつも、ところどころに煌びやかなフレーズを織り交ぜるジョンソンのピアノっぷりが、「現代風のピアノトリオだな」と思わせる。 ラストのテーマで、ようやく《ストレート・ノー・チェイサー》のテーマの全貌があらわになり、「なるほど!」となるわけだが、全編聴き終えてはじめて解説に目を通すと、どうやらクイン・ジョンソンは、マンハッタン・ジャズ・クインテットのデヴィッド・マシューズに見いだされたピアニストで、この《ストレート・ノー・チェイサー》のアプローチも、“マシューズ譲り”のものらしい。 ユニークなアレンジでありながらも、アイデア倒れに終わらず、きちんと演奏として“聴かせる内容”に昇華されているところも素晴らしいと思う。 適度な重量感を帯びつつも、機動力もあるジョンソンのピアノは、艶のある録音もあいまって、なかなか聴き飽きない内容になっている。 バラードの《チェルシー・ブリッジ》を除けば、アドリブ展開の奥行きも申し分なく、“もう一息!もうひとヒネり欲しい!”と良邱不満に陥らせる演奏はほとんどない。 重厚でありながらも、柔軟さをも兼ね備えた、エド・ハワード(b)とアダム・ナスバウム(b)のリズムセクションとの相性も申しぶんなし。 哀愁ラテンの《ティン・ティン・ディオ》、 ビル・エヴァンスの《ファンカレロ》、 デューク・エリントンの《プレリュード・トゥ・ア・キッス》、 クルト・ワイルの《スピーク・ロウ》、 アントニオ・カルロス・ジョビンの《ブリガス・ヌンカ・マイス》、 ブルースナンバーの《ストレート・ノー・チェイサー》、 2曲のオリジナル……等々。 さまざまな切り口の風呂敷を広げてみせてくれたクイン・ジョンソン。 どれもが死角のない鉄壁な演奏ではあるが、では、クインは今後、特に何が得意で、何がやりたくて、どのような方向性を強く打ち出したジャズピアニストとしてピアノファンに認知されてゆくのか。 次作で打ち出される企画が、このピアニストのイメージを決定づける勝負どころと感じる。 このファーストアルバムで「全天候型・表現力も抜群なピアニスト」というプレゼンテーションは終わった。 これを聴いた多くのリスナーにもそれは伝わったことだろう。 これに続く2枚目は、単に「なんでも出来る上手なピアニスト」だけでは終わらせず、才能豊かなクインというピアニストに、どのような色と個性を持たせてゆくのか。 このあたりを考慮に入れた選曲とプロデュース力は大変重要な課題と感じた次第。 |
| (2010/02/03) |
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