COME FLY WITH ME (Philips) |
| - Pim Jacobs |
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Pim Jacobs (p) Peter Ypma (b) Ruud Jacobs (ds) 1982年 Holand |
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オランダのピアニスト、ピム・ヤコブズの代表作『カム・フライ・ウィズ・ミー』。
これは、知る人ぞ知る、ピアノトリオの名盤だと思う。 まず、ジャケットが良い。旅客機の前に降り立った、ピム・トリオ。 この構図が絶妙。くわえて、バックの空の色、そして飛行機の水色といった色合いも良い。 よくみると飛行機のマーキングはオランダのKLM。裏ジャケットの解説までKLMの社長という念の入りよう。 アルバムの内容も、ジャケットに負けず劣らずの内容で、こちらの期待を裏切らないどころか、期待以上の演奏で幸せな気分にさせてくれる。 力強さよりもピュアな美しさを感じさせる演奏が続くが、この心地よさといったらない。 これはピムのピアノの音色とタッチによるところが大きい。 ピアノの高音は、ピアニストによっては、キンキンとウルサイものだが、ピムが奏でる高音は、どこまでもふくよか。粒のそろった美しい高音なのだ。 これは、録音技術の功績といえるのかもしれない。 しかし、録音の良さを差し引いても、聴き取れる彼のピアノの息遣いや丹精でソフトなタッチは、まるで絹ごし豆腐のような喉越しのよさがある。 歌手ではないが、ピムは間違いなく「美声」の持ち主なピアニストだ。 彼のタッチ、息遣いを知るには、まず一曲目の《アイヴ・ガット・ザ・ワールド・オブ・スプリング》のテーマを聴いてみよう。 この曲のテーマを、彼はファンキーなタッチで弾いている。 ある意味、彼らしくない奏法だが、だからこそ逆に彼のピアノの特徴が浮き彫りになってくるのだ。 音の訛らせ方や、装飾音の絡ませ方は、ハードバップ期の黒人ピアニストにありがちな「方言」を取り入れているにもかかわらず、明らかにノリが違う。 音と音の間の粘りを無くしたウイントン・ケリーのピアノとでもいうべき、明晰さとノリのイーヴンさ。 微妙な粘りがない、滑らかなタッチ。 端正でピュアなたたずまいだ。 だからといって、スイングしていないわけではなく、じわりと穏やかな高揚感を感じることが出来るのが、ピムのピアノの良いところ。 一音一音を慎重に叩く弟のルード・ヤコブスもピアノの美しさを邪魔をせずに引き立てるのに一役買っている。 うん、いい弟を持ったな、ピムは。 《フー・キャン・アイ・ターン・トゥ?》、《ボディ・アンド・ソウル》、《アイ・ラヴ・ユー》など、スタンダードも多めに演奏されているのも、本盤に親しみやすさを感じさせる一要因だ。 特に《枯葉》のこなれたプレイはピアノトリオ好きをニヤリとさせるのではないだろうか? 全体的に彼のプレイは軽やか。ゆえに小粒で軽量級なピアニストなイメージを抱くかもしれない。 しかし、《枯葉》や《アイ・ラヴ・ユー》の短いイントロを聴くとよい。 なかなか、ロマンティックな展開を期待させるような出だしだ。 このまま、この調子で続いてもいいのに、こちらの期待をはぐらかすかのように、速めのテンポで軽やかな演奏が始まる。 仰々しい表現はやろうと思えば出来るんだけれども、クサくてベタベタな表現に陥ることを警戒しているのかもしれない。 仰々しい表現を好まないのが彼の美学なのかもしれない。 いずれにしてもピム・ヤコブスのピアノトリオは、リラックスして聞き手を愉しませるだけの力量を持っているが、ただ心地よいBGMとしてではなく、きちんと彼らなりの世界と音をさりげなく主張するだけの力を持っているのだ。 堅実なベースワークのピーター・イプマのいくぶん電気がかった音色も、絶妙にピムのピアノにフィットしていて心地よい。 ハードバッピッシュなピアノに食傷した際には、口直しに是非、ピム・ヤコブズのピアノをどうぞ。 |
| (2005/07/07) |
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