SUNLIGHT (Sony) |
| - Herbie Hancock |
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Herbie Hancock (kb,vo) Bennie Maupin (ss) #3 Wah Wah Watson (g) #1 Ray Parker jr. (g) #1,3 Patrick Gleeson (syn) #5 Paul Jackson (el-b) #2,3,4 Byron Miller (el-b) #1 Jaco Pastorius (el-b) #5 Harvey Mason (ds) #4 James Levi (ds) #2,3 Leon Chancler (ds) #1 Tony Williams (ds) #5 Paul Rekow (per) #1,2,4 Bill Summers (per) #2,3,4,5 Bada Duru (tablas) #2 1977/08-1978/05 |
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ハンコックはこのアルバムで“あらたなヴォイス”を手にいれている。 それは、ヴォコーダーを通した歌声だ。 ヴォコーダーとは、「ヴォイス」と「エンコーダー」の両言葉をかけ合わせてネーミングされた楽器。 テクノやポップス、レゲエ、ブラックミュージック好きならば、もうお馴染みだと思うが、マイク付きのシンセサイザーとでもいうべき外見の楽器だ。 このマイクに声や歌を歌いながら鍵盤を弾くと、入力された声がシンセサイザーの音色に置き換えて合成されるので、ロボットのようなヴォイスが出力される。 イエロー・マジック・オーケストラの初期のヒット作《テクノポリス》で、坂本龍一の「トキオ!」や、「T・E・C・H・N・O・P・O・L・I・S トキオ!」の掛け声でこの楽器の存在を知った人も多いのではないか? 《テクノポリス》は1979年に発表されたが、その1年前の78年に発表されたハンコックの『サンライト』は、アルバム5曲中、3曲にヴォコーダーを通したハンコックのヴォーカルが収録されている。 ハービー自身、歌を歌ってみたかったという欲求もあったようだが、誤解を恐れずに言えば、これらヴォコーダーを通してハンコックが歌った曲は、「歌」というよりは、厚みがあってスイートな「リード楽器」なのだと思う。 ヘッドハンターズのメンバーが来日時にレコーディングに参加した笠井紀美子の『バタフライ』を聴けば、その違いがよく分かることだろう。 『バタフライ』では、『サンライト』とほぼ同じメンバーによって、同じ曲が録音されているが、明らかに笠井のバージョンは「歌」、ハンコックのバージョンは「サウンド」、という明確な違いがハッキリと分かるはずだ。 もちろん、ヴォコーダーを通す前のハンコックの生の肉声も活かされ、歌詞もギリギリ聞きとれるので、ハンコックの「ヴォイス」は、サウンドとしてのみならず、「歌」としての機能も最低限はキープしてはいる。 単なるロボットヴォイスで終始していないところが良い。 ハンコックは、決して抜群な歌唱力とまではいえないが、歌心のあるいい喉を鳴らしているとは思う。 しかし、ここで得られる効果は、あくまで「歌」以上に、暖かみのある「サウンド」。 ある意味、サックスやギターよりも存在感があり、アンサンブルの大きな位置を占めている。 そして、これは個人的な好みだが、ハンコックのバージョンのほうが、笠井のバージョンに比べると、サウンドとしては充実しているように感じる。 逆に、ハンコックがヴォコーダーを通して歌う暖かく太いヴォイスに慣れてしまうと、笠井の歌声は少々か細く感じてしまうことも確か。 それにしても、このアルバムの安定したリズムセクションはどうだ。 1曲目は、バイロン・ミラー+レオン・チャンクラー、 2、3曲目ポール・ジャクソン+ジェームス・レヴィ、 4曲目がポール・ジャクソン+ハーヴィーメイソンと、曲によって組み合わせは変わるが、どの曲も骨太でどっしりとしたリズムを楽しめる。 唯一の例外が、このアルバムラストの《グッド・クエスチョン》。 このナンバーのみ、ジャコ・パストリアスがベース、トニー・ウィリアムスがドラムとなっており、参加している3人のパーカッションやシンセを除けば、ほぼ、ハンコック+ジャコ+トニーの凄まじいトリオ演奏といっていい。 まるで前の4曲とは打って変った激しい演奏は、鳥肌もの。 この演奏だけ、別なタイミングに録音された音源だが、これをラストに持ってくる意表を突く締めくくり方はそれはそれで正解かもしれない。 つまり、ソウル&ディスコ路線でゴキゲンな気分になり、なかば気分良くユルユルになった頭を、ギュッと引き締めてくれるからだ。 煽りまくるトニーのドラミング。ハンコックのピアノのインプロヴィゼーションも冴えまくっている。 演奏前半で執拗に奏でられるジャコの16分音符均等弾きも曲に異様な緊張感を与えている。 ゴキゲンでダンサブルなソウルナンバー4曲と、ハイテンション・アコースティックトリオ1曲という絶妙な組み合わせの『サンライト』は、なかなか侮れないアルバムなのだ。 それにしても、今となっては安っぽいジャケット写真と、ジャケットデザインには、痺れ過ぎて泣けてくる(笑)。 日本人が、このジャケットのハンコックの格好を真似たら、パンチパーマに大きなグラサン、髭に、デカ襟シャツ、その中からはゴールドのアクセサリーがキラキラのオジサン。まるで、大阪ミナミの借金取り?(笑) ちなみに、『シークレッツ』の裏ジャケのハンコックは、印旛沼の暴走族ですが(笑)。 しかし、ジャケ裏写真がいい。 おびただしい機材に囲まれてプレイをするハンコック。 アナログシンセのマニアや、かつてのYMO少年にとっては垂涎の写真ではないだろうか? ま、これだけたくさん並べられると壮観ではあるが、配置的にこれを全部弾きこなすのは無理。 ミニムーグやアープオデッセイを弾きたければ、右手のオーバーハイム・ポリフォニック・シンセの脇をぐるりと回り、ポリムーグの脇をよいしょよいしょとすり抜けて、約5秒〜10秒の移動時間が必要と思われる(笑)。 なんて余計な心配をするよりも、当時の最新テクノロジーを「すげー!」と素直に驚き、楽しみたい写真だし、ツマミだらけのシンセサイザー(アナログシンセ)好きにとっては、鼻血が出るほどたまらないビジュアルなことは確か。 |
| (2009/09/02) |
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