ROBERT HURST PRESENTS (DIW) |
| - Robert Hurst |
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Robert Hurst (b) Marcus Belgrave (tp,flh) Branford Marsalis (ss,as,ts,cl) Ralph Miles Jones III (bcl,basoon) Kenny Kirkland (p) Jeff "Tain" Watts (ds) 1992/08/20-23 |
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雑誌『丸』2011年9月号の特集「WWIIウエポンベスト10」に、爆撃機の決め手はパンチ力という記述があったが、なるほどその通りだと思う。 爆撃機はパンチ力が決め手だが、ジャズのリズムセクションも、やはりパンチ力が決め手だと思う。というより、私個人がパンチ力のあるリズムセクションが好きだ。 個人的には、やはりトニー・ウィリアムス+ロン・カーター、あるいは、フィリー・ジョー・ジョーンズ+ポール・チェンバースといったマイルス・デイヴィスが擁していたリズムセクションが好きで、彼らが織り成す一瞬の打撃力にいまだ痺れている自分がいる。 彼らリズムセクションがピンポイントで正確に狙いを定めた爆撃だとすれば、まるで大量の爆弾をまき散らかしながら聴き手のマインドに甚大なる打撃を与え続けるのは、なんといってもエルヴィン・ジョーンズ+ジミー・ギャリソンによるリズムセクションだろう。 ジョン・コルトレーンの「黄金のカルテット」時に、この2人が繰り出した疲れを知らぬ猛爆撃は凄まじいものだった。 マイルスが擁したリズムセクションのピンポイント爆撃的な正確さと、コルトレーンが擁したリズムセクションの尽きぬバイタリティ。この2つの要素を足して2で割ったリズムセクションが、ジェフ・テイン・ワッツ+ロバート・ハーストによるコンビだろう。 ウイントン・マルサリス、次いで兄のブランフォード・マルサリスのリズムセクションで名を上げた彼らコンビは、パンチ力も機動性も申し分なく、ズッシリと骨の髄まで染み込む打撃と、柔軟な機動性を発揮していた。 さらに現代風のスピード感やスマートさも兼ね備えている点も見逃せない。マイルス、コルトレーンのリズムセクションに並んで、歴史に記憶されるべきリズムセクションではないかと思っている。 ジェフ・ワッツの一撃必殺な打撃もさることながら、常にリズムの中にずっしりとした重みを感じさせる大きな一因はなんといってもロバート・ハーストのベースによる効果が大きい。 おそらく高めの弦高で弦を張っているのだろう。ハーストの放つアタックの強い低音は、音圧が高く、骨太で男らしい。 さらに、ピックアップでベースの弦の音色を拾うのではなく、ベースの胴から発せられる空気の振動までをも、しっかりと聴き手に届かせようとするセッティングも頼もしい。 パワフルな低音だけではなく、ハーストのベースワークは俊敏でもあり、アンサンブルの中における自身の立ち居地を瞬時にはかり、もっとも適切なノートを選び出すセンスにも秀でたものを感じる。 そのような彼が、29歳の時にリーダー作として録音したのが『ロバート・ハースト・プレゼンツ』だ。 1曲を除けばすべてハーストのオリジナルナンバーということからも、彼の並々ならぬ意欲が伺える。 一言で言えば、オーソドックスでパワフルな新主流派テイストの4ビートジャズと言えないこともない。 しかし、作曲やアレンジなど随所にハーストならではのアイデアが散りばめられており、聴き応えのある内容となっている。 おそらくタイトルの「プレゼンツ」からは、もしかしたら先輩ベーシスト、チャールス・ミンガスの『ミンガス・プレゼンツ・ミンガス』を意識したものだろう。 曲によっては、ラルフ・マイルス・ジョーンズIII世のバスクラリネットやバスーンという木管低音楽器の音色をブレンドしているのも、ミンガスのバンドに在籍していたエリック・ドルフィーがアンサンブルに加えていた独特なテイストを狙っていたのかもしれない。 パワフルなリズムセクションを堪能できる冒頭の《ダウン・フォー・ザ・コーズ》は、まるで勢いよく飛び跳ねる鋼鉄の海老のようなパンチのある低音を堪能でき、なんとベースソロで挑んだ《エヴィデンス》は、ライナーを執筆した先輩ベーシストのロン・カーターの一言「サプライズ!」にすべてが集約されているといってもいい。 セロニアス・モンク作曲の難曲を軽々とベースの低音域を生かしたメロディアスなラインで紡ぎ上げてゆく様は圧巻。 ただし欲を言えば、ラストのテーマはフル・コーラスで演奏して欲しかった。彼のインパクトあるダブルストップをもっと聴いてみたい!とベーシストなら誰しも思うことだろう。 フロントを邪魔せずにハーストのベースラインが怪しくうごめく《デトロイト・レッド》も、彼の非凡なるバッキングセンスを味わうに十分な内容。 正直テーマは大したことがないが、ジェフワッツのスピード感のあるシャープなドラミングと、重量感と瞬発力を兼ね備えたハーストの2人が織り成すリズムを堪能できるのが《アイクリッグ》。ブランフォード・マルサリスのピアノレス・カルテットでも味わえるこの2人が繰り出す典型的な鉄壁のコンビネーションを味わえる。 極上のバラードバッキングを楽しめる《ジョイス・フェイ》は、ピアノのケニー・カークランドのプレイも美しい。 ……と、書き出すとキリがないのだが、どのナンバーもハーストのベースプレイのみならず、リズムのコンビネーション、そして演奏全体もたっぷりと楽しめる骨太の「男の4ビート」が『ロバート・ハースト・プレゼンツ』なのだ。 |
| (2011/08/30) |
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