THE HIGH AND MIGHTY HAWK (Felsted) |
| - Coleman Hawkins |
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Coleman Hawkins (ts) Buck Clayton (tp) Hank Jones (p) Ray Brown (b) Mickey Sheen (ds) 1958/02/18 & 19 |
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「オールド・ファッション」と聞くと、食いしん坊の私は、ミスター・ドーナツの定番ドーナツを思い浮かべてしまう。 人によっては、ジョン・コルトレーンの名演《アイム・オールド・ファッションド》(『ブルー・トレイン』収録)を思い浮かべるかもしれない。 普段はドーナツを思い浮かべて腹を減らす私だが、ホーキンスのこのアルバムを聴くと、このアルバムこそ「う〜ん、オールドファッション!いいなぁ」と思う。 レコーディングは、1958年。2年前の56年には、マイルスが「〜ing」4部作を録音したり、ロリンズが『サキソフォン・コロッサス』、モンクが『ブリリアント・コーナーズ』を録音した年でもある。 つまり、モダンジャズの全盛期から少し翳りが見えはじめた時期に、このようなモダンジャズよりもちょっと古めかしいスタイルで溌剌とした演奏をしたホーキンスのプレイを聴くと、良い演奏は、時代もスタイルも超越するんだなぁと改めて思う。 モダンジャズと、それ以前のスタイル(たとえば「中間派」や「スイング」スタイル)の大きな違いの一つにリズムがある。 モダンジャズは、モダンになればなるほど、リズムのハネが抑えられてくる。 ベニー・グッドマンの音の後に、ハンコックやジョー・ヘンダーソンの演奏を思い浮かべてみれば、リズムのニュアンスの違いが実感できるかもしれない。 明らかに、昔のリズムよりも、新主流派のリズムのほうが、リズムのハネ具合が抑制されており、かわりに、近代的な雰囲気をたたえていることに気付くだろう。 ジャズの進化の歴史は、ハーモニーの進化の歴史でもあるが、リズム・スタイルの変遷の歴史でもある。 しかし、当然のことだが、新しければすべて良しというわけではない。 どんなに性能の良いハイブリッドカーが時代の最先端のクルマだとしても、クラシックカーにはクラシックカーの魅力がある。 たとえ、デザインが古くても、「そこがいいのだよ」というマニアもいるし、たとえ、カーナビが搭載されていなかったり、エンジンにパワーがなくても、「そこがいいのだよ」なファンも多いはずだ。 楽器だってそう。たとえばエレキベースを引き合いに出すと、楽器の製造技術は、昔よりは今のほうが上だ。しかし、オールドにはオールドの魅力があるし、いやむしろ、年季を重ねたぶん、オールドのほうが良い音を出すことのほうが多い。 たとえ、緻密に設計され、良質の材を使って、寸分の狂いもなく作られたベースでも、それが良い音に直結するとは限らない。 音は良いのかもしれないが、「味わい」という面では、古いけれどもキチンと手入れされたベースの音にはかなわないことの方が多い。 そう、「味わい」。 古くて良いものには、新しいものにはない「味わい」がある。 古くて……、なんて書いたけれども、たしかに彼の生まれ年は1904年で、パーカーやロリンズからしてみれば「お父さん」のように年の離れたホーキンスだが、「子供たち」のモダンなスタイルをも貪欲に取り入れて、常に新しい音楽にトライしようとしていた「古いけど、新しい」サックス奏者だった。 そんなホーキンスだが、『ハイ・アンド・ザ・マイティ・ホーク』では、無理して新しいことをやろうとせず、自然体で、自分のあるがまま、吹きたいがままのスタイルで演奏している。 肩に力が入っていない。 ちょっと肩に力の入った『ジェリコの戦い』も良いが、こちらの演奏のほうが、その時のホーキンスの気分が反映されたホンネの演奏だと思う。 ホンネのホーキンスの演奏は、どの瞬間にも、音の中には「丸さ」と「まろやかさ」が宿り、円熟したベテランの境地を見せつける。 そして、全体を俯瞰するように聴けば、円を描くように大きな波や運動があり、それがたまらなく心地よいのだ。 少し古いテイストでも、そこから香るダンディでファッショナブルなフレバー。 ドーナツもおいしいが、『ハイ・アンド〜』のホーキンスは、まさに「オールド・ファッション」のおいしい味わいがある。 特に、1曲目のブルースのほのぼのとしたノリなど、まさに「古き良き〜」といった枕詞がピッタリ。 力強いリズムの鼓動と、大きくうねるホーキンスのテナー、陽気に華を添えるバック・クレイトンのトランペット。 ハンク・ジョーンズのピアノは、彼らホーンを目立たぬよう、さり気なく、センス良く全面的にバックアップ。 締めるところはビシッと締め、しかしながら全体的にはどこまでも聴き手に優しい躍動感を提供してくれている。ため息とともに、出てくる言葉は、 「う〜ん、やっぱりいいねぇ」。 コールマン・ホーキンス。ホーキンスを縮めて相性はホーク。 ホークおじさんの魅力たっぷりの『ハイ・アンド・マイティ・ホーク』を是非、ドーナツとコーヒーの傍らに。 |
| (2007/02/16) |
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