HAWKINS! ALIVE! AT THE VILLAGE GATE (Verve)
- Coleman Hawkins

  1. All The Things You Are
  2. Joshua Fit The Battle Of Jericho
  3. Mack The Knife
  4. It's The Talk Of The Town
  5. Bean And The Boys
  6. If I Had You

Coleman Hawkins (ts)
Tommy Flanagan (p)
Major Holley (b)
Eddie Locke (ds)

Recorded"Village Gate"
1962/08/13 & 15


先日、アマチュア・ジャズバンドの練習に参加してきた。
アルトサックス、ギター、ドラムスの3人に、私のベースというカルテットで、基本的なブルースやスタンダードの曲をスタジオで合わせた。
なんだか、大学時代のジャズ研時代の練習を思い出し、少し懐かしい気分に浸ることが出来た。

ジャズに関しては初心者の方ばかりだったので、《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》を演奏し終えたあと、メンバーから「この曲の参考になる演奏は誰のものが良いですか?」と尋ねられたが、そのときに、真っ先に口をついて出てきたアルバム名がコレ。
コールマン・ホーキンスの『ジェリコの戦い』。

久しく聴いていなかったアルバムなので、思わず無意識に口をついて出てきた自分にちょっと驚いたが、すぐにジャズのベースを始めたての頃の私は、このアルバムを繰り返しかけながらベースの練習をしていたことを思い出した。

つまり、練習するにあたっての格好の素材だったのだ。
もちろん、演奏自体も素晴らしい内容だからということは言うまでもないが、凝った変化球やヒネリを用いずに、比較的オーソドックス、かつストレートな直球で勝負をしている演奏だから、ベースを合わせやすかったのだ。

このアルバムでのホーキンスは、少し早めのテンポで《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》を演奏している。
浪々と。力強く。
この曲の魅力を過不足なく引き出していると思う。

テーマのメロディは特に大きくフェイクをしているわけでもないし、バックのリズム隊もオーソドックスなバッキングに徹している。

《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》という曲のイントロとエンディングは、パーカーが同じコード進行で演奏した<バード・オブ・パラダイス>のバージョンが有名で、この“パーカー・アレンジ”は、後の多くのジャズマンが踏襲しているアレンジだ。
もちろん、ホーキンスもこの“パーカー・アレンジ”を採用しているので、《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》という曲を知らない人でも、この曲の輪郭や雰囲気を掴みやすい内容になっていると思う。

だから、思わず『ジェリコの戦い』のバージョンが参考になりますよ、と口が自然に動いていたのだろう。

この出来事が契機となり、ここ数年まったく聴いていなかった『ジェリコの戦い』を久々に取り出して聴いてみた。

うーん、やっぱり良い。

昔聴いていたときよりも、はるかに良く感じるのは、少しは自分の“ジャズ耳”も成長したのかな?などと思いつつ、最後まで楽しく鑑賞することが出来た。

『ジェリコの戦い』は、聴きどころがたくさん詰まったアルバムだと改めて思った。

タイトル曲は古い黒人霊歌で、このアルバムの目玉とも言える。
熱くブロウするホーキンスに、ハミングをしながら弓弾きをするメジャー・ホリーのソロが圧巻だ。
圧巻といえば、ベースソロの後に再び登場するホーキンスのブロウも圧巻。
バンド全体が一つにまとまったような一体感、そして大迫力の演奏だ。

《町の噂》も素敵な演奏。しみじみと味わえる。
こういうタイプの曲では、サックス奏者の力量がハッキリと出るが、もちろんホーキンスのプレイは文句のつけようもない内容。
貫禄、存在感、緩急の妙。さすがにベテランだ。

ベテランならではの貫禄と余裕。そして、ときに激しくブロウするホーキンス。
一度聴いたら忘れられないほど、独特なソロを奏でるメジャー・ホリー。
そして、忘れてはいけないのは、ピアノのトミー・フラナガンだ。
彼の好サポートがこそ、このアルバム全体の隠れた聴きどころだ。

このアルバムにも《マック・ザ・ナイフ(モリタート)》が収録されているが、フラナガンは、ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』や、ケニー・ドーハムの『静かなるケニー』の《マック・ザ・ナイフ(モリタート)》の伴奏もつとめている。
リーダーのスタイルによって演奏のアプローチが違うので、当然バックのフラナガンのピアノのスタイルも違う。
それぞれのバージョンを聴き比べると面白いし、上記に揚げた、これら名盤でピアノを弾いているあたり、トミー・フラナガンは、かに名脇役として重宝されているかが分かろうもの。

CDでは、2曲ボーナストラックが収録されている。
《ビーン・アンド・ザ・ボーイズ》と、《イフ・アイ・ハド・ユー》。
原盤にしか入っていない演奏と比較しても何ら遜色の無い演奏だ。
とくに、《ラバー・カム・バック・トゥ・ミー》のコード進行を下敷きに作られた《ビーン・アンド・ザ・ボーイズ》は、個人的に好きな曲だけあって、追加収録は嬉しいところだ。

邦題『ジェリコの戦い』で親しまれている名盤。
1962年、ニューヨークは「ヴィレッジ・ゲート」でのライブ録音。そして、ホーキンス、プロ生活40年目の会心の名演を堪能することが出来る。
(2002/07/13) 


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