GO STRAIGHT! (King) |
| - 原朋直&松島啓之 |
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原朋直 (tp) 松島啓之 (tp) ユキ・アリマサ (p) Jonathan Kreisberg (g) Joe Martin (b) Mark Ferber (ds) 2009/09/08 |
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冒頭の《ユー・アー・マイ・エヴリシング》がなんとも良い。 特に、ドラムとベースのリズムセクションがはいる前までの、原と松島が奏でる2本のトランペットはまるで会話そのもの。 「やあ久しぶり」と軽い挨拶からはじまり、他愛のない会話から次第に曲の旋律が具体的な形を帯びてくる。機が熟したタイミングで「そろそろ本番いきまっせ」とばかりにリズムセクションが彼らの会話の中にするりと違和感なく入り込む。 この瞬間に至るまでの流れが私は大好きだし、アルバム冒頭のトランペットの会話こそが、アルバム『ゴー・ストレイト!』をイメージづける決定的瞬間だと思う。 リズムセクションがはいった後もしばらくピアノは抜けたまま。ドラムスとベースがしばらくは2本のトランペットの会話を支え、オープニングのムードからガラリと雰囲気を変えすぎない心配りが感じられる。 原朋直と松島啓之によるトランペット共演。 競演ではなく、あくまで共演だ。 もっと言ってしまえば、トランペット同士の会話といった趣きで、終始ほがらかなリラックスムードに貫かれたサウンドテイストのアルバムだ。 2人とも同年代で、デビューの時期も同時期ゆえか、彼ら2人の持つ音楽観はまるで双子のよう。しかもどちらかがともなくテーマを奏で、もう一方のトランペットが、その気分にぴったりのフレーズを重ねあう。アレンジされたオブリガードのようなものではなく、その曲の気分にピタリと一致したもう一つのメロディが重なりあうものだから、曲の魅力が2本のトランペットによってさらに倍加されるという寸法。 このような芸当ができるのは、曲に対しての愛着と、その曲が持つ肝を把握していなければなかなか出来ないうえに、瞬間的に相手のフレーズに反応できる感覚の反射神経、そしてこの反射を適格に音として具現化できるトランペットのコントロール技術なくてはなしえないのだ。 選曲されているナンバーもケニー・ドーハムの《ロータス・ブラッサム》や、マイルス・デイヴィス《ステラ・バイ・スターライト》など、かつてのビッツネームが愛奏し、歴史的な名演として残っているナンバーが多いことも嬉しい。 また、《サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー》は原のソロ、《マイ・アイディアル》は松島のソロと、各人をフィーチャーした編成をアルバム中盤に配することで、飽きのこない流れを作っているところも、なかなか考えられた構成になっていると思う。 トランペットは常にジャズの進化の歴史の最前線でシーンをリードし続けた楽器な上に、楽器の中でも主役格の楽器。サックスとともにフロントを彩る花形楽器であるとともに、その音の存在感、一瞬のインパクトの強さは、同じ花形楽器のサックスをはるかに凌駕する攻撃力の高い楽器でもある。 しかし、原と松島のトランペットの会話を聴いていると、このような認識は、トランペットの魅力を一面しか見ていないことに気づかせてくれる。 なごやかに、ゆるりと暖かく、ほがらかな会話をも出来る楽器なのだという事実を、これ以上もない説得力でみせてくれるのだ。 王者の楽器ゆえの余裕なのか、これほどまでに自由奔放に、楽しげにトランペットを自在に操る彼らの音を聴いていると、今からでもトランペットを始めようかしらと思ってしまう。 そう思わせてしまうほど楽しげな「トランペット愛」に溢れた作品なのだ。 おそらく彼らが交わす何気ない音の裏には、日ごろの猛練習やすさまじいテクニックの裏づけがあるからこそなのだろうが、このようなことは微塵も感じさせない肩の力が抜けたような余裕がアルバム全体に漂う。 なんて粋なトランペットマンたちなのだろう。 このアルバムを五つ星で評価するとしたら、私は躊躇うことなく星5つをつけるだろう。 |
| (2011/08/15) |
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