ドラゴン〜龍〜 (Sony Music Japan International) |
| - 日野皓正 |
|
|
日野皓正 (tp) 多田誠司 (as,ss) 李延植 (ts) 石井彰 (p) 金澤英明 (b) 井上功一 (ds) 2005/2/23-26 (上海) |
|
|
|
魔都・上海でレコーディングされた、ダークで骨太なヒノテルの傑作だ。 全体的に、かなり重い。 リズムセクションも、日野のラッパも、どこまでも重い。 捩れて重いラッパ。 地面に杭を打つかのように地響きを立てて揺れるリズムセクション。 自己のグループに韓国からのテナーサックス奏者、李延植(イ・ジョンシク)を加え、上海でレコーディングを行った、熱くて男臭い作品『ドラゴン〜龍〜』。 パールタワーをバックに勢ぞろいするメンバーのジャケ写も、上海を中心に国際社会の裏舞台で暗躍するヤバい人たちを連想させるが、中身のサウンドも、まったくそのまま。かなりヤバい。 気を引き締めて対峙しないと、重量感に押しつぶされてしまう危険性アリ。 まずは冒頭の《モンゴリアン・ドラゴン》の規則的に時間に太い楔を打ち込む、石井晃の脳天杭打ちピアノと、空間を捩じ切る日野のトランペットに身悶えしよう。 次いで《オール・ユー・アー&モア》の物憂げな音風景に身を任せる。この曲は、スタンダードの《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》のコード進行を借りての演奏なので、聴きやすい安心感はあるが、常に不穏な影がチラつくので油断は禁物。 まず最初の2曲に浸りきることが出来れば合格。このアルバムの重量級エネルギーについて行くだけの精神的な体力はあるのではないかと。 そして、この重く不穏な触感にある種の快感を見いだせる可能性も高い。 アンドリュー・ヒルばりの新主流派的な演奏から、フリー的な要素の強い演奏まで、アプローチは様々だが、一貫しているのは、やはり曇った空模様のような濃い灰色の重さ。 ピアノとデュオの《サー・ローランド・ハナ》もズシリと深い。 これを録音した2005年の時点でのヒノテルは62歳だが、とても年齢を感じさせない強いトランペットだ。 恐ろしいほどの集中力と気合い。 ズッシリと骨にくるサイドメンの演奏も、日野の気合いが伝染しているのだろう。生半可な気持ちで聴くと、簡単に殺されてしまいそうなほどの殺気に満ちている。 とにかく、一息すらつかせてくれない濃い演奏密度なのだ。 タフなジャズ聴きに向けられた、これぞまさしく漢(オトコ)のジャズといえよう。 |
| (2009/12/24) |
|
|
|
|
All Rights Reserved. |