BLACKS AND BLUES (Blue Note) |
| - Bobbi Humphrey |
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Bobbi Humphrey (fl,solo vocals) Fonce Mizell (clavinet,tp) David T.Walker (g) Jerry Peters (p,el-p) Chuck Rainy (el-b) Ron Brown (el-b) Herbvey Mason (ds) Stephanie Spuill (per) Larry Mizell (vo & vocal arrangement) and others 1973年7月 |
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ジェレミー・スタイグ、ローランド・カーク、エリック・ドルフィー……。 私が親しんできたジャズ・フルートのサウンドは、音色的にも、奏法的にも、かなり極端で、インパクトの強いものばかりだったような気がする。 だからこそ、はじめて女性フルート奏者、ボビー・ハンフリーのプレイを聴いたときは、かえって新鮮に響いたものだった。 正しく“ふつう”なフルートの音色。ストレートで奇を衒わない奏法。 暖かな音色は、柔らかく、それでいて太い。 このような音色が、マイゼル兄弟アレンジと、柔らかく足腰の確かなリズムに乗ってノビノビと吹かれるのだから、これはもう、ただただ単純に気持ちが良い。 マイゼル兄弟のアレンジは、オーソドックスで耳当たりはよいが、ほんのりと、ごくごく微量にエキセントリックな楽器の使いまわしや、ピリリと口の中を引き締める山椒のようにスパイスを効かせるのが得意だ。 ボビー・ハンフリーのこの『ブラックス・アンド・ブルース』も、ところどころに存在感のあるシンセサイザーの音をまぶしつつも、決してそちらのほうに聴き手の耳を偏らせることなく、巧みに楽器同士のサウンドの距離感をコントロールしている。だから、ソウルミュージックが時として陥りがちな、クドさや、甘過ぎなテイストを慎重に回避し、オーバーテイストに陥る一歩手前で、ギュッと洗練させた響きに生まれ変わらせるアレンジが多い。 たとえば、『ストリート・レディ』のようなブルーノートのソウル路線のドナルド・バードのリーダー作が良い例だろう。 よって、何度か聴いているうちに、アクを丁寧に掬い取った清涼感を漂わせたサウンドテイストではありながらも、そのじつ、さまざまなカラーリングが演奏の中に盛り込まれていることに気付かれることと思う。 そのうえ、ソウルに一番大切な“ノリ・躍動感”を疎かにはせず、頭デッカチなアレンジは施さない。このアルバムのアレンジもまさにそうで、リズムフィギュアは、ゆったりと心地の良いバネを感じるソウル・ファンクだが、そのリズムの上に乗るコーラスのアレンジや、ところどころに塗されるアナログ・シンセサイザーの音色や、その音色を配するタイミングは絶妙としか言いようがない。 ベースがチャック・レイニー。ギターがデヴィッド・T・ウォーカー。ドラムスがハーヴィ・メイソン。 バックのオケだけでも、クオリティの高さを誇るが、ボビー・ハンフリーの軽やかなフルートが絡むために、さらに心地よさがバージョンアップ。 サウンドの腰がしっかりしているため、ハンフリーは力むこともなく、必要以上に饒舌になることもなく、きちんと要点を抑えたプレイに終始している。 そして、登場するフルートの場面はコントロールされているにも関わらず、きちんと印象に残るプレイを残すハンフリーのプレイと、彼女のプレイを最大限に生かす、マイゼル兄弟のお膳立てが幸せに融合したのが本作なのだ。 《ジャズト・ア・ラヴ・チャイルド》に《ブラックス・アンド・ブルース》、《ベイビーズ・ゴーン》などは、今すぐにでも『ルパン三世』の劇中に使えそうなお洒落なトラック。 ということは、ははん、なるほど、大野雄二はマイゼル兄弟のアレンジからかなりの影響を受けてるな、とニヤリと出来る内容でもあるのだ。 じっくりと腕を組んで鑑賞する類のアルバムではない。また、床や壁を揺るがすほどの大音量が相応しいとも思えない。 むしろ、少しボリュームを抑え気味にして聴きたい極上のBGMだ。 コーヒーブレイクや読書の友に。 ブティックや喫茶店など、インテリアに凝った店のBGMにも相応しい。これが快適な中音量で流れていると、店内の空気に明るい躍動感をもたらすことだろう。また、数多く出ている『ルパン』のサウンドトラックに飽きて、同テイストの違う刺激を求めている人にもお勧めしたいアルバムでもある。 |
| (2008/01/28) |
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