IN AND OUT (Dreyfus) |
| - Johnny Griffin & Martial Solal |
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Johnny Griffin (ts) Martial Solal (p) 1999/06/07 |
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匠(たくみ)同士のによる、穏やかかつ高度な会話。 このような形容が相応しい、落ち着きと奥行きを湛えたテナーサックスとピアノのデュオだ。 2つの楽器による「会話」が生み出す底なしの豊穣さ。 熟成されたワインのごとく、高貴な香りを匂い立たせている。 名手グリフィンには、往年の勢いを衰えないブローに円熟味が加わった。 素晴らしく良い味を出している。 一方、ピアノのマーシャル・ソラールは、的確にグリフィンをフォローしつつも、単なる伴奏に終始せず、あるときは、積極的にグリフィンに挑みかかり、隙あらば、ピアノの広い音域を縦横に渡り歩き、短いカウンターメロディを繰り出したかと思うと、効果的な和音のクラスターを発したりと、一瞬一瞬に工夫を凝らしたプレイで、まったくもって単調 さを感じさせない。 豊かな倍音成分、とくに低音部の弦の共鳴と、共振するピアノのボディのウッディな鳴りをあますことなく捕らえた録音もたいへん気持ちがよい。 アルバム冒頭の《ユー・スティープド・アウト・オブ・ア・ドリーム》は、グリフィンがテナーを数音吹いた直後にソラールの和音がかぶさるが、両者の音が結合した瞬間から、ぐっとアルバムの音世界に引き込まれること間違いないだろう。 過去にグリフィンは、『バド・パウエル・イン・パリ』にてバド・パウエルのピアノと印象的なデュオ録音を行っているが、グリフィンのようなタイプのサックス奏者には、積極的に自分に挑みかかってくるぐらいのピアノのバッキングのほうがちょうど良いのかもしれない。 パウエルとのデュオは、パウエルのピアノに果敢にカウンターを繰り出すかのようなプレイをしていたグリフィンだが、今回のデュオは、大人の貫禄とでも言うべきか、ソラールの繰り出すジャブをあるときは悠然とかわし、あるときは真正面から余裕綽綽の表情で受け止めている。 若き日のグリフィンは、太い音の高速フレーズで疾走することが多く、この疾走感が大きな魅力だった。 しかし、このレコーディングにおいては、グリフィン特有の高速フレーズは影をひそめたかわりに、太く安定感のあるトーンと、余裕の「間」を手に入れた。 映画『ロッキー・ザ・ファイナル』において、60歳になったロッキーは、失われたスピードをカバーするために、トレーニングでは重いパンチ作りに重点を置いて試合に臨んだが、それと同様、まさにここでのグリフィンは、スピードと引き換えに存在感のあふれる一音を手にしている。 やたらと吹きまくる必要はなく、年季のはいった「普通に吹く一音」で魅せるだけの貫禄を見事手中に収めている。 大人の余裕。 しかし、リラックスしつつも、気の抜けない瞬間がところどころに訪れる、上質な大人の会話を楽しめるアルバムといえよう。 ラストのモンクナンバーは、モンクを多分に意識したソラールのピアノが面白い。この曲のピアノだけ、明らかに他の演奏とは違う。 エスタブリッシュなエグさ、とでも言うべきか。余裕をたたえたスリリングさが聴きものだ。 |
| (2009/01/18) |
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