IDLE MOMENTS (Blue Note) |
| - Grant Green |
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Grant Green (p) Joe Henderson (ts) Bobby Hutcherson (vib) Dule Pearson (p) Bob Cranshaw (b) Al Harewood (ds) 1963/11/04 #1,3,5&6 1963/11/11 #2&4 |
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涙腺の緩んでくるアルバムだ。 タイトル曲を「新宿、ゴールデン街の深夜2時」と評した人がいたが、とても言い得て妙な表現だと思う。 夜、それも真夜中。狭くて小汚い飲み屋のカウンターでしんみりと聴き惚れたい演奏だ。 センチメンタルで、メランコリックで、そのくせ情感をチロチロと小出しにしているかのような、抑制とタメを効かせた演奏、そしてちょっと歌謡演歌っぽい哀愁テイストもチラホラと漂うようなこの「アイドル・モーメンツ」は、あまりにも日本人のツボにはまるのではないかと思う。 太いギターとヴァイブの音色がほどよくブレンドされた極上の音色。 控えめなピアノのバッキングがかぶさり深いコクが生まれる。 まるでゆっくりと時間を溶かしていくようなこの演奏は、複雑な仕掛けや凝ったアレンジがなされているわけでも無いのに、まったく飽きることがない。 単純に演奏に浸れる。 ジャケット裏のクレジットを見ると、なんとこの曲の演奏時間は14分58秒もある。そんなに長い演奏だったっけ?と思うほど短く感じる演奏だ。 ちなみに、この曲が録音された時間帯は真夜中。 当初は、アルバムに収めるために7分以内の演奏に収める必要があったが、結局、15分近くの演奏になってしまった。 何度か録音を繰り返し、7分以内で収まるテイクを取ったが、結局、一番良かった演奏が一番最初の15分バージョンだったので、ファーストテイクが採用されたという逸話がある。 颯爽とした中にも一抹の哀感の漂う「ジャン・ド・フルール」も素敵な演奏。 グラント・グリーンの魅力は、ヴォーカルや管楽器とは違い、肉体からは少し距離のあるギターという楽器から、あたかも肉声のようなトーンと「歌」を弾きだしているところだろう。 この「ジャン・ド・フルール」のソロも、“指先で”楽器を弾いているようにはまったく聴こえず、一音一音が、まるでグリーンの体内から絞り出された“肉声”に聴こえてならない。 もっとも、それはこの曲だけに限ったことではないが。 とかく“カタチ”と“場所”を覚え、メカニカルな指先の器用さを鍛錬すれば、なんとなくサマになってしまう、ギターという便利な楽器を弾いている人には、是非グラント・グリーンのこのような“肉声ギター”を聴いて欲しいと思う。 決して、音の説得力は指先から生まれるものではないし、グラント・グリーンのように、腹の底から出てくるものなのだと知るべし。 とはいえ、本当に腹の底から音が出ているわけではないが、私にはそう聴こえる。 「ジャンゴ」のハッチャーソンのヴァイブが円やかで艶やかで本家本元のミルト・ジャクソンとはまた違う味を出している。 「ノーマッド」における逞しいトーンのジョーヘンのテナーも注目に値する。 ここで、グリーンの長めのソロも、ちょっとフレーズやリズムがトチッている箇所も含めて、“ギターの肉声”を存分に楽しめると思う。 そして、アルバム全体を通して、地味ながらも堅実に演奏を手堅くサポートするボブ・クランショウとアルヘア・ウッドのドラムも傾聴に値すると思う。わき役ながらも、見事なサポートだ。 とにかく、ジャンルという垣根を越えてギタリスト必携のアルバムなんじゃないかと思う。 |
| (2002/08/15) |
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