GROOVY (Prestige)
- Red Garland

  1. C Jam Blues
  2. Gone Again
  3. Will You Still Be Mine
  4. Willow Weep Fof Me
  5. What Can I Say (After I Say I'm Sorry)?
  6. Hey Now

Red Garland (p)
Paul Chambers (b)
Art Taylor (ds)

1957/05/24 #4,5,6
1957/08/09 #1,2,3


こういう素敵なピアノトリオは、毎日聴いても飽きることがまったくない。

コロコロと転がるような独特の音色のガーランドのピアノ。
そして、ゴキゲンなノリのリズム・セクション。

リラックス、かつ楽しい演奏は本当に何度聴いても飽きのこない内容だ。
小粋でセンスの良い演奏ばかり。

ジャズのオイシいエッセンスも満載されているアルバムがレッド・ガーランドの『グルーヴィ』だ。

オイシイといっても、「お腹一杯」な感じにはならずに、「腹八分目」な感じで終わるところも良い。

そして、腹八分目だからこそ、毎日聴いても飽きない、味わい深さが増す。

だからこそ末永くつきあえる、愛すべきピアノトリオのアルバムなのだと思う。

ピアノ・トリオのアルバムを何か一枚だけ持っていたいという人にも是非勧めたいアルバムだ。

リラックスして、スインギーで、小粋なレッド・ガーランドのピアノ。

気軽にBGMとしても楽しめ、きちんと聴き込んでもしっかりかせてくれる内容。

それにこのアルバム、ジャケットも良い。壁にアルバムタイトルや参加ミュージシャンの名前が落書きをされた写真のジャケットだが、なかなか秀逸なアイデアだと思うし、写真そのもの雰囲気も、このアルバムのサウンドを象徴しているかのようだ。
ジャケットを眺めながら演奏を聴くのも雰囲気が出て良いと思う。

さて、ガーランドのピアノの特徴がよく出たオススメ曲を3曲ほど。

まずは、《ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン?》。

ハイテンポで疾走するピアノ。
この小気味良さも相当気持ちが良いが、特筆すべきは、ピアノの音色だ。
ピアノの音色の一音一音が、まるでコロコロと転がる真珠の玉のよう。
この人のピアノの音色は、かなり独特だ。
ガーランドならではの音色を堪能出来る演奏が《ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン?》。

ついで、《柳よ泣いておくれ》。
気怠いスローテンポに、ガーランド独特のブロックコード。
なかなか良い雰囲気だ。
夜ではなく、ちょと眠た気な晴れた日の昼下がりにアウトドアで聴くと、見慣れた日常の景色が変わることうけあい。

そして、きわめつけは《ゴーン・アゲイン》。
曲も良いが、この曲の良さをガーランドが十全に引き出している。
優しくしんみりと、そしてほろりと泣けるさりげない名演だ。

テーマの後にスルリとはいるポール・チェンバースのベースソロも素晴らしいし、チェンバースのベースソロから舞い戻ってくるガーランドのピアノソロも絶品。

このアルバムの代表曲《Cジャム・ブルース》も素晴らしいが、《Cジャム》に飽きたら是非注目して欲しいのが上記3曲だ。
(2009/04/24) 


“ベース名盤”でもある。

もちろん、リーダーのレッド・ガーランドのピアノは素晴らしいし、彼の小粋なピアノの魅力が凝縮されている、ゴキゲンな名盤であることに違いはないが、今回はあまり語られることのないこのアルバムのポール・チェンバースのベースについて書いてみたい。

ポール・チェンバースはハード・バップを代表する名ベーシストの一人で、その輝かしい経歴と活躍ぶりは皆さんご存知のとおり。まさに名実共にミスター・ベースマンと呼ぶにふさわしいベーシストだ。

当然私も大好きなベーシストの一人なので、彼のベースラインはよくコピーもしたものだ。

『グルーヴィ』の《Cジャム・ブルース》のベースも、コピーしたベースラインの一つで、彼の弾いた音を追いかければ追いかけるほど、「面白いベースだよなぁ!」と感嘆したものだ。

天は二物を与えずと言うが、チェンバースには“三物”与えられているんじゃないかと思う。

その3つとは、

1、類まれなるノリの良さ
2、溢れる歌心
3、独創的なベースライン

だ。

チェンバースのノリの良さは、1曲目の《Cジャム・ブルース》や《ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン》を聴いていただければお分かりのとおりで、演奏をグイグイと引っ張ってゆく強靭な牽引力を誇る。とにかく力強くて頼もしいのだ。

ただし、調子の良いときと調子の悪いときのノリの落差が非常にハッキリしている人でもある。
たとえば、マイルスの『カインド・オブ・ブルー』全般においての彼のベースはあまり元気がない。
新しい試みの音楽ゆえ、慎重過ぎる態度で演奏に臨んでいることが聴けばよく分かる。
案の定『カインド・オブ・ブルーの真実』という本を紐解くと、レコーディング中に一番ミスをしたのはチェンバースのようで、特に《ソー・ホワット》においては何度も録り直しをしているようだ。

慣れないこと、新しい試みの曲にはノリの悪さがハッキリと出てしまうのだ。

まぁ、このことはチェンバースに限らず、人間誰しもそうなのだから、これを理由にチェンバースを悪し様に言うつもりは毛頭ないし、むしろ人間らしくてますます愛着がわいてくる。
それに、ベースが元気過ぎる『カインド・オブ・ブルー』ってちょっと想像できない。あれぐらいのボルテージだったからこそ、クールで禁欲的なトーンが強調されたのだと考えられなくもない。

慣れない試みに対しては慎重なノリのチェンバースだが、得意曲、演奏し慣れた曲に対しては、もう歯止めがきかないほどゴキゲンなノリを生み出す。

たとえばブルース形式の曲なんかは、おそらくは毎晩のように演奏しているだろうから、身体の隅々までにフィーリングが染み付いていると思う。そんな目をつぶってでも弾きこなせてしまうほどの曲を無責任に、開放感たっぷりで、あまり深いことを考えずに、能天気に弾くからこそ、抜群なノリが生まれるのだ。

だからこそ、《Cジャム・ブルース》においてのチェンバースのノリは素晴らしいし、ガーランドのピアノを楽しく鼓舞させている。

また、チェンバースは歌心に溢れるベーシストだ。
これは、様々なところで語られていることだ。
しかし、おそらくはこの「歌心」、多くの人は彼のベースソロ(アルコ奏法を含めて)のことを指してのことだと思う。
ベースをやる前は管楽器をやっていたから、だから、メロディアスなフレーズを弾くことが多いのだ、という論調で。

そのとおりだと思う。
しかし、私はむしろ彼の4ビートのベースラインに歌心を強く感じる。
ソロ奏者のバックで"4つ"を刻むチェンバースのベースラインは、抜群に面白い。ベースラインという1小節に4つの音(それ以上のときもあるが)で成り立つメロディだ。

チェンバースはベースラインという"伴奏メロディ"を作り出す達人でもある。
音を選ぶセンスが斬新で、意表をついた音の跳躍ぶりも楽しい。
経過音の選択センスもなかなかのものだし、一聴、「なんじゃりゃ?」な音も、演奏の気分にマッチさせてしまう説得力もある。

そんなベースラインを、調子の良いときはグイグイと強靭なノリで弾くのだから、聴いていて楽しい。

レッド・ガーランド(p)の『グルーヴィ』は、そんなリラックスかつ素晴らしいノリのベースを味わえるチェンバースのウォーキング・ベースの名演集なのだ。
ガーランドのピアノもいいけれど、チェンバースのベースも追いかけてみよう。
アルバムタイトル『グルーヴィ』の真の意味に気付かれることと思う。
(2004/02/18) 


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