GREEN STREET (Blue Note)
- Grant Green

  1. No.1 Green Street
  2. 'Round About Midnight
  3. Grant's Dimensions
  4. Green With Envy
  5. Alone Together

Grant Green (g)
Ben Tucker (b)
Dave Bailey (ds)

1961/04/01

グラント・グリーンには、テナーサックスやオルガンとの共演アルバムが多い。

かわりに、ギタートリオのアルバムが極端に少ない。

音色的にも抜群のマッチングを見せる、テナーやオルガンと共演するグリーンも充分楽しませてくれるが、ときには、ドラムとベースだけを伴奏に従えたシンプルなギター・トリオを味わいたいと思うのが人情だろう。

だからこそ『グリーン・ストリート』は、そんな要望にこたえてくれる嬉しい1枚なのだ。
デイヴ・ベイリーのドラムに、ベン・タッカーのベースという、由緒正しきギタートリオ編成。

堅実で、決してでしゃばらないリズム陣をバックに、ノビノビとプレイするグリーンのギターをタップリと味わうことが出来る。

1曲目の《ナンバー1・グリーン・ストリート》から、雰囲気はジャケットとおり、一気にグリーンの世界に染まる。

リラックスして、いつものペースで朗々とギターを媒介に“歌う”グリーンのなんと肉感的なことよ。
ラストまで聴きとおせば、かなりの満足感を得られること請け合い。

そして、不思議なことに、これを聴き終わると、今度は、テナーやオルガンと共演しているグリーンのアルバムを聞きたくなる。

決して、ギタートリオだと物足りないというわけではないのだが、グリーンのギターは、あと1人、主役級のジャズマンがいたほうがより一層際立ってくるということが、グリーンのギターをたっぷり浴びた後に実感するのだ。

テナーが良い吹奏をするからこそ、グリーンのギターがより一層引き立ち、グリーンが陶酔のトーンを奏でるからこそ、共演者のソロ奏者も映える。
つまり、グリーンは、充分に主役を晴れるギタリスには違いないが、もう一人のライバルがいてこそ、さらに素晴らしさが光るのだということを証明するアルバムでもあるのだ。

きっと、アルフレッド・ライオンはそのことに気付いていたのだろう。
彼のキャリアの初期にこのギター・トリオを吹き込んだものの、それ以降は、もう一人の主役やキーマンを立てた上でのトリオ以外の吹き込みばかりになってくる。

さすが、名プロデューサーだけのことはある。
早くからグリーンの本質を見抜き、彼の効果的な活かし方を心得ていたのだろう。

しかし、オルガンやテナーと共演した盤を聴くと、今度はまたトリオのグリーンが聴きたくなるんだよな。

結局、グリーンを聴いて、またグリーンを聴いて……の連鎖の繰り返し。
心地よい“緑の循環”にハマってしまうというわけだ。
(2010/04/23) 


iPodの購入以来、微妙に音楽生活が変わった。

さらに、iPod専用のスピーカーが家に来てからというものの、変化に拍車がかかった。

通勤中や、散歩中はiPodを手放さず、常に、シャッフルをかけながら、音楽をかけっぱなし。外出中にはあまりウォークマンの類を持ち歩かなかった私にしては大きな変化だ。
おそらくは、シャッフル機能がポイントなのだと思う。

たとえば、グールドのバッハの後に、ローリング・ストーンズ。
ストーンズの後に、レッド・ガーランドのピアノトリオ、その後にクラフト・ワークが流れ、さらに仮面ライダーのテーマ曲が続くという、かっ飛んだシャッフルっぷりが面白く、次はどの曲が流れるのだろう?というワクワク感が、iPodにはまっているポイントなのかもしれない。

さらに、BOSEから新しく出た専用スピーカー、サウンドドック。
これが、結構便利なんですよ。
iPodを差し込むだけで充電が始まり、音楽が自動的に流れ出すのだ。
コンパクトかつシンプルなスタイリッシュなデザイン。
さらに、ボディは小さいんだけど、結構、音量は大きく、最高ボリュームにしてもまったく、音割れがしないどころか、アコースティック・ギターやピアノの音があくまでクリアに聞こえるのには驚き。

もっとも、アパートやマンション住まいの人が最高ボリュームにすると、必ず近所からクレームが来ることは必至だと思うが…。もちろん私もほんの一瞬しか最高ボリュームを出してません。

このスピーカーの購入以来、まず、足元にあったCD&MDラジカセは用済みになった。
帰宅と同時に、このスピーカーにiPodを差し込んで、音楽をかけっぱなしにするから。

さらに、メルマガなどの原稿を書くときは、集中して同じアルバムをリピートするようになった。
外出するときも、依頼のあった原稿のアルバムを何度も何度も繰り返し、リピートさせて集中的に聴きこむことが簡単に出来るようになった。

部屋の中で、同じアルバムをリピートさせると、ウンザリしてくるものだが、外の景色の変化のためか、はたまた、常に身体を動かしている状態で聴くためか、同じ曲を何度繰り返しても、まったく苦にならないのだ。

むしろ、外の景色を見ながら音楽を聴きたいがために、通勤の行き帰りは、一駅ぐらい平気ですっとばして歩くようになった。もちろん雨の日は別だが。
このお陰で、健康的な生活にもなっているという、思わぬiPod効果。

さて、可能な限り、様々な種類の音楽をiPodに詰め込んで持ち歩いている私だが、やはり、シチュエーションによっては曲やミュージシャンを選ぶ。

最初は、シャッフルで選曲を楽しんではいたが、やはり、満員電車の中でピアノソロはキツい。聴こえないのだ。よって、すぐに次の曲に飛ばしてしまう。
テナーやトランペットのクインテットも、満員電車の中で聴くと、管楽器のソロの部分はよく聞こえるが、ピアノのアドリブパートになったとたん、急に聴こえずらくなってくる。いちいちボリューム調整するのも面倒臭い。

ドルフィーやオーネットのエッジの効いた鋭いアルトの音色も、電車の中では刺激的かもしれないが、音漏れが怖い。
電車の中で、オーネットの《ダンシング・イン・ユア・ヘッド》が音漏れした日にゃぁ、周囲から、こいつ、なにアホなメロディの繰り返しを聴いてるんだ?と好奇の視線にさらされかねない。

そこで、通勤電車の中では選曲にも気を遣わねばならないのだが、色々と試した結果、もっとも周囲を気にせず、なおかつ、ボリュームも上げたり下げたりする必要もなく、さらに最初から最後まで曲を楽しめるミュージシャンが何人か見つかった。

山下達郎とグラント・グリーンの『グリーン・ストリート』。

山下達郎の声って、周囲のノイズに埋もれずに、こんなにも“立つ声”だったとは知らなんだ。音漏れするようなキンキン声でもないにもかかわらず、声の一音一音、歌詞の一語一語がよく聞き取れるのだ。
これにはビックリ。さすが、実力のあるボーカルは違う。

意外なことに宇多田ヒカルや椎名林檎の声は、ボリュームを上げないと、なかなか聞き取りづらいことも分かったが、山下達郎の場合は、仮に、ボリュームを落として、バックのオケが聴こえないぐらいにしても、それでも、彼の声とメロディラインはくっきりと聴こえるので、歌の内容が、リアルに伝わってくるのだ。これにはビックリ。

それと、今回のお題目、グラント・グリーンの『グリーン・ストリート』。
ブルーノートにおける、彼のセカンドアルバムだ。
編成は、グラント・グリーンにしては珍しいギタートリオ。ドラム、ベース、ギターというシンプルな編成。

ドラムもベースもグリーンの邪魔をすることなく、堅実にギターのサウンドを引き立て、グラント・グリーンは、本当に伸び伸びとギターで、これでもか、これでもか、とグリーン節を奏でるのだ。

力強いメロディの一音一音が、確実にこちらの耳の中に浸透してくる。

これは、音楽というよりは、あたかもグリーンの独り言を聞いている気分にすらなる。
グリーンのお喋りに付き合っている気分がするのだ。

語り口は似たり寄ったりなこともあるが、“話の内容”が面白いので、ついつい聴き入ってしまう。

ベースソロもほとんど無く、テーマ→アドリブ→テーマと、ほとんど最初から最後まで、間断なくグリーンのおしゃべりに付き合っている感じもし、おしゃべりの内容が飽きさせない内容なので、夢中になって聴いているうちに、いつの間にか時間が経っているという寸法なのだ。

どの曲もオススメだし、どの演奏も良い。
個人的には、一瞬「あれ?これってケニー・バレル?」と思わせるテーマの《No.1 グリーン・ストリート》や、これでもかの執拗な反復メロディ攻撃の《グリーン・ウィズ・エンヴィ》が強いていえば、お気に入りだ。

もちろん、ジャケットの濃い緑色を象徴するかのような《ラウンド・ミッドナイト》のブルージーな演奏や、音色と旋律がしっぽりと嵌まっている《アローン・トゥゲザー》も素敵な演奏だ。

グラント・グリーンにはギター・トリオのアルバムが少ないだけに、トリオで演奏されるこのアルバムは貴重な存在だ。

オルガンの音色に溶け合うグリーンのギターもオイシいが、このシンプルな編成で朗々と歌う『グリーン・ストリート』のギターもお忘れなく。
(2004/10/29) 


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