THE TOMMY FLANAGAN TRIO (Prestige) |
| - Tommy Flanagan |
|
|
Tommy Flanagan (p) Tommy Potter (b) Roy Haynes (ds) 1960/05/18 |
|
|
|
穏やかな演奏が続く。 へヴィなアルバムや、問題作を聴くときの「よっしゃ!聴くぞ!」といった肩肘はった気合いは必要ない。 なにげなく流れてきて、優しげに空間を漂うピアノ。このピアノの音に意識しすぎることなく耳を傾け、うーん、なんかいいなぁといい気分になる。 こういう聴き方が一番いい。 流れるようにエレガントなピアノだ。 ドラムもベースもトミー・フラナガンを邪魔することなく、しっかりと陰からサポートしている。 『オーヴァー・シーズ』や『エクリプソ』などでみせたアグレッシヴで勢いのあるフラナガンとは一味も二味も違う、おだやかな表情。 地味な演奏ばかりが集められていると言っても差し支えないかもしれない。 必要以上にリスナーの気を引こうとする仕掛けや色気は皆無なのだ。 そんな『トミー・フラナガン・トリオ』を聴くと、上記に挙げた2枚の名盤は、やはりエルヴィンに煽られまくった演奏なのかなと思う。 もちろん、刺激的で溌剌としたフラナガンのピアノも悪くはないが、彼の本質はむしろ、しっとりと控えめな『トミー・フラナガン・トリオ』の演奏のほうにあるのではないかと思ってしまう。 だから、このアルバムの場合は、しかめっ面でスピーカーと睨めっこすることなく、むしろ上質なBGMとして楽しみたいところだ。 ときおり、ふと気がつくと手がとまり、お気に入りのフレーズに耳を傾ける。 「おや?今のところいいな」 そう感じた曲から好きになっていけばいい。 最近の私は、淡々と奏でられる《ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド》の虜。 もとよりロマンティックな旋律とコード進行の曲ゆえ、弾こうと思えばいくらでも「トゥー・マッチな臭さ」で、ベタベタなピアノを弾くことが可能な曲だが、ここでのトミー・フラナガンは、あっさりとしながらも、深く心に染み込むようなピアノを弾いている。 たとえるならば、まるで、一流の料亭で出されるお吸い物のようだ。 あっさりした中にも、しっかりと主張する味と香りがある。 そういった意味では、トミー・フラナガンは料理人で言うと、塩加減の達人かもしれない。 サイドマンに回れば、共演者という素材に上手に味付けを施し名演へのお膳立てをする。このアルバムの場合は、曲という素材を丁寧にアク抜きをしてから、あっさり風味の上品な味付けを施す。 『トミー・フラナガン・トリオ』を聴くことは、丁寧に料理された普通の料理を、必要以上に気張らず、日常感覚で食べる楽しみに似ているのかもしれない。 |
| (2005/05/24) |
|
|
|
|
All Rights Reserved. |