THE "in" CROWD (King Records) |
| - 藤原清登 |
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藤原清登 (b) Peter Madsen (p) 福家俊介 (ds) 中村静、小泉さつき、伊藤純子、青木俊樹、清水登ほか (clsp:M3) 2001/12/16 & 17 |
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「うわ!なんて“おいしい音”なんだ!」と思わず叫んでしまった。 いきなり飛び出してきた音は、ベースとピアノのユニゾンで奏でられる《シスター・セイディ》のテーマ。 サビの部分になると、ドラムが「待ってました!」とばかりにシンバル・レガートを刻みはじめる。 再び、Aメロの箇所でベースとピアノがユニゾンを開始した時点で、私はすでにこのアルバムの購入を決めていた。 息子とCD屋へ立ち寄った際、新譜のコーナーに一際目を惹いたジャケットがあった。 メガネをかけたベーシストが、ベースの指板のハイポジションを押さえている白黒写真のジャケット。 帯を見ると、「キングレコードが世界に誇る低音王、藤原清登」となっている。 「世界に誇る? 低音王?」 どうも、こういう誇大広告っぽい表現を見ると、「本当かよ」と眉に唾をつけてしまうのが私の悪い癖。そのキャッチコピーを見た時点で興味を失った。 別のコーナーへ移動し、ワーデル・グレイなどのアルバムを物色していると、2歳の息子が、「これベース、ベース、聴こう、聴こう」とCDを持ってやってきた。 私がいつもベースを弾いている姿を目の当たりにしているせいか、息子はベースにはひときわ敏感に反応する。 「べーす」という言葉も随分と早くから話せたし、お茶の水などを歩いていると、いちいち目につくベースを指さして、「ちちうえ、あれベースだよ、あ、あっちもべーす、ベース、ベース、ベース、いっぱいベース」とウルサイ。 そんな「ベース息子」が持ってきたCDは、さきほどの誇大キャッチ(?)の帯がついている「世界に誇る低音王CD」。 「ほんなら聴いてみますか」と、あまり気が乗らないまま、試聴コーナーで息子と一緒に試聴をした。 しかし! 最初の数音を聴いた瞬間に思わず飛び出した言葉が、冒頭の「おいしい音」なのだ。 《シスター・セイディ》のみならず、《モーニン》といい、ベースとドラムのデュオで演奏されている《ワーク・ソング》といい、ベースの音がとても“おいしい”。 ブンブンうなりまくっている。 ガリガリと引っ掻きむしられている。 指板に弦が当たる“ガチッ!”という音も気持ちがいい。 私は藤原清登というベーシストのことは知らなかったし、彼の音を聴いたのも、この試聴の時が初めてだったが、もしかしたら「低音王」の名に恥じない実力の持ち主なのかもしれないと思った(単純)。 ファンキー・ジャズの名曲中心の選曲も気に入った。それで、結局購入したわけだが、ここのところ、ほぼ毎日このアルバムをかけているほど気に入っている。 藤原清登というベーシスト、ニューヨークに在住していた頃はホレス・シルヴァー・クインテットのベーシスドだったのだそうだ。 なるほど。ホレス・シルヴァーといえば、ファンキー・ジャズの代表的な作曲者&ピアニストだ。彼の強烈なベースのウネリは、本家本元の巨匠の元で鍛えられたわけだ。 実際、《シスター・セイディ》の他にも《ナットヴィル》と《ピース》を含め、このアルバムでは3曲もシルヴァーの曲を取りあげている。 彼の名前で検索をかけて調べてみると、ホレス・シルヴァー楽団の後は、クリフォード・ジョーダンのバンドでもベースを弾いていたそうだ。 なかなかのキャリアの持ち主なのだということが、改めて分かった。 このアルバムの魅力は、やはり思う存分ベースの低音を“おいしく”堪能出来ること、そして往年のファンキー・ジャズの名曲が素晴らしい演奏で甦ることの二つだと思う。 特にベースという楽器に興味がなくとも、ピアノのピーター・マドゥセン、ドラムの福家俊介の両名も、はじけるような素晴らしい演奏をしているので、収録されている曲名を見てピン!と来た人は是非、耳を通して欲しいと思う。 《ジ・イン・クラウド》では、ラムゼイ・ルイスのオリジナルバージョンと同じく、ちゃんとクラップの音も入っているし。 キングレコードの低音ホームページを訪問してみると、藤原清登のキャリアとディスコグラフィが掲載されていた。 今までのアルバムはクラシック・テイストのアルバムを出していたりと、弓弾きにも定評のあるベーシストのようだ。 しかし、今回のこのアルバムの中にはアルコの音は無い。 すべてピチカートに徹している。 潔い! このアルバムの中での私のイチオシは、《ワーク・ソング》。 この曲は、私自身好きな曲だし、たまに演奏もしたりもしているが、これをドラムとのデュオでやるということには目からウロコだった。 しかし、アイディアもさることながら、ベースを思いっきりひっぱたいているんじゃないかと思わすほどの、低音のインパクト。 すごい音圧だ。一音一音に込められている気迫には並々ならぬものがあると思う。 ベース好きにはこたえられないサウンドだ。 私は趣味でウッドベースを弾いているが、憧れのベーシスト、密かに目標としているベーシストは、それこそ数え切れないほどいるが、このアルバムを知ってしまったお陰で、目標にするベーシストがまた一人増えてしまった……。 |
| (2002/04/15) |
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