MAMA'S HOUSE LIVE (Katalyst Ent) |
| - Ethnic Heritage Ensemble |
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Kahil El'Zabar (ds,per,kalimba) Corey Wilkes (tp,flh) Ernest Dawkins (sax) 2008年 |
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誤解を恐れずに一言で言ってしまえば、贅肉をそぎ落としたスリムなアート・アンサンブル・オブ・シカゴといえよう。 エスニック・ヘリテッジ・アンサンブル。 シカゴ在住のドラマー、カヒル・エルザバーがリーダーのユニットだ。 変則的な3人編成で、リーダーのカヒル・エルザバーがドラムやパーカッションを担当し、残りの2名は管楽器、あるいはパーカッションを奏でる。随所に挿入される唸り声も良いアクセントとなっている。 ちなみに、トランペットがコーリー・ウィルクス、サックスがアーネスト・カビーア・ダウキンス。 わずか3名という少人数の編成でありながらも、彼らが繰り出すアンサンブルは重厚で変幻自在。様々な色彩で空間を彩り、片時も退屈する隙を与えてくれない。 特に、カヒル・エルザバーがドラムス以外にも主にパーカッションやカリンバを前面に押し出したナンバーが多いため、アンサンブルの肌触りは、エスニック色を強く感じるのかもしれない。 全体的なサウンドは、たしかに全体的にはエスニック・テイストが漂うかもしれないが、アプローチ面で言えば、そこに横たわっているのは、一定のトーナル(調整)とリズムフィギュアに対し、フロント楽器が螺旋状にアドリブを繰り広げるというモードの手法を固守しており、正しくジャズの手法と色香の残るアンサンブルとなっている。 よって、非常に聴きやすい。 モード奏法においては、通常アンサンブルのトーナルを提示するのは、ベースが担うことが多いのだが、このユニットはベーシストが不在ゆえ、カヒルのパーカッションがアンサンブルの中心軸をなすナンバーが多い。 こと音階のあるカリンバのリフレインが、静謐かつ激情をも助長するアンサンブルの下地を形成している《Oof》が興味深い演奏だ。 また、カヒルがドラムスやパーカッションという音階の無い楽器を担当しているときは、管楽器奏者の2名のうちの一人が、リフを反復したり、アドリブの随所にモチーフとなるフレーズを意識的に織り交ぜることによって、演奏の中には統一された雰囲気をもたらすことに成功している。 このように、彼らのアンサンブル手法の骨子は、モード奏法が基になっているので、マイルス・デイヴィス作の《オール・ブルース》を取り上げているのも頷ける。 手法は同一なれど、異なる楽器から発せられる音の色合いの違いを楽しんで欲しいと思う。 以上は、現在のシカゴ系ジャズにも多い手法といえ、リズム面とハーモニーの最小限のお約束(やはりモード奏法が多い)を設定した後は、アドリブ奏者は演奏を自由に飛翔させ、激情をぶちまけ、肉声を発露させる、いわゆる「スピリチュアル」な感触を前面に出しやすい演奏形態といえる。 エスニック・ヘリテッジ・アンサンブルのアプローチも、例に漏れずだが、ほとばしる激情をストレートにぶちまける局面もあるにはあるが、全体を貫く構成意識は極めて構築的、かつ演奏のダイナミックレンジがよく考えられた内容となっている。 このあたりも、私が彼らの演奏手法にアート・アンサンブルに通じるニュアンスを感じた理由なのかもしれない。 1曲目の《Oof》は、スタティックな出だしから少しずつ演奏のボルテージを上げてゆくタイプのアンサンブルだが、これなどまさにエスニック・ヘリテッジ・アンサンブルらしい演奏といえるだろう。 反復されるカリンバの印象的なモチーフが、しんみりと聴き入らせる磁力を発し、これを土台に、トランペットやサックスが静かなる怒りをぶちまけるのだ。 もう1曲、オススメナンバーを挙げると、なんといっても《オーネット》だろう。 シンプルながら重たいうねりを発するパーカッションのリズムと、管楽器が発する印象的なリフがなんといっても刺激的。 タイトルから連想されるオーネット・コールマンの演奏よろしく、リズムは大地に根ざした重さをたたえながらも、管楽器のアンサンブルやアドリブは、浮遊感のあふれたものとなっている。 特にコーリー・ウィルクスのホールトーン(全音階)を駆使したアドリブフレーズには、強い浮遊感が感じられ、知的で静かなる興奮を味わうことが出来るナンバーだ。 また、フラジオを多用し、熱に浮かされたようなフリーキーなソロを展開するダウキンスのテナーサックスも渾身のソロだと思う。 個人的には、このアルバムはかなりのお気に入りなので、というより「超最高!」という惜しみない賛辞を送りたい内容だ。 私の場合、この音源は常時iPodの中に入れ、へヴィ・ローテーションの一つとなっている。 |
| (2010/10/26) |
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