GIL EVANS AND TEN (Prestige) |
| - GIL EVANS |
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Gil Evans (p,arr) Louis Mucci (tp) Jake Koven (tp) John Carisi (tp) #1 Willie Ruff (frh) Jimmy Cleveland (tb) Bart Varsalona (bass-tb) Steve Lacy (ss) Lee Konitz (as) Dave Kurtzer (bassoon) Paul Chambers (b) Nick Stabulas (ds) Jo Jones (ds) #1 1957/09/06&27,10/10 |
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『ギル・エヴァンス・アンド・テン』は、私の結婚祝いに、ある女性プロピアニストからいただいた思い出深いアルバムだ。 彼女は、私がアルバイトをしていたジャズ喫茶で、一時期ウエイトレスをしていた。 ただし、働く曜日や時間帯が違っていたので、あまりバイト現場では言葉を交わしたことはないが、ジャズ喫茶でアルバイトをする傍ら、プロのピアニストとしてライブハウスに出演していることは知っていたし、ライブにも何度か足を運んだこともある。 彼女にお願いして、何度か人前で演奏したことがある。 結婚式の二次会や三次会のムードミュージックとして。 ピアノとベースのデュエットや、さらにサックスを加えたトリオで、会社の先輩の結婚式二次会などで演奏して、私の実力からすれば分不相応なギャラを貰ったことも何度かあった。 それほど頻繁に会うというわけではないが、時折私が演奏の仕事を依頼されると、彼女のスケジュールの折り合いさえつけば一緒に演奏をするということが続いた。 どういうイキサツか忘れたが、彼女に自分が打ち込みで作ったデモテープを渡したことがある。 当時の私は、「ジャズテクノ」みたいなことをやっていた。 キーボードで即興で弾いたメロディを、いったんパソコンやキーボードのメモリーに記憶させ、即興演奏でズレたリズム感覚や符割りを、モニター上で、正確な符割りに再配列しなおす、という回りくどい作業をし、正確な音配列に修正された自分の即興を自動演奏させたトラックにあわせて、今度はベースでインプロヴァイズを重ねるという実験を繰り返していた。 文字で書くと、なんだか難しいことをやっていそうだが、じつはすごくカンタンな作業で、緻密にアレンジするわずらわしさも無いかわりに、編集の視点の欠けた自己満足な即興演奏に終わることもなく、ちょうど勢いと編集の中間の次元をゆく、当時の自分としては新しく刺激的な試みだと思って、自宅でシコシコと、ヒステリックな「ジャズテクノ」を録音しては楽しんでいた。 この音源の中のいくつかを、カセットテープ(当時はMDが出たばかり)に録音して、彼女に渡して意見を求めた。 彼女いわく、「こういう即興も面白いわね。なんだか、シンセサイザーのエリック・ドルフィーみたい」と私にとっては最上のほめ言葉を戴き、しばらくは有頂天だった。 このテープを渡して半年後か1年後ぐらいが、私の結婚式だった。 もちろん、結婚する旨は彼女に伝えてあり、二次会のピアノ演奏も予約済みだ。 2次会は六本木の「バレンタイン」を借り切って、盛大なジャムセッション大会をやろうともくろみ、彼女のほかにも、何人かのジャズをやっている人に声をかけた。 結婚当日、二次会会場に現れた彼女は、「結婚おめでとう」と、HMVの袋に包まれたCDを私に差し出した。 「何をあげていいのか色々悩んだけれども、コレ持ってないよね?」と言いながら。 袋の中を見ると、『ギル・エヴァンス・アンド・テン』だった。 このときの私は、会場のセッティングやら準備やらでアタフタしていたので、なぜ彼女が私にギル・エヴァンスのCDをくれたのか、深く考える暇がなかった。 ようやく結婚式やら引越しのバタバタから落ち着いたところで、思い出したように『ギル・エヴァンス・アンド・テン』をかけてみた。 不思議な浮遊感と、心地よい楽器同士の音色のブレンドが空間を満たしてくれた。 訥々としたギルのピア。ノ、輪郭があいまいなようで、耳の焦点をボカすと、不思議と浮かび上がってくるサウンドの輪郭。 「これを聴いて、もっとアレンジの勉強をしなさいネ」きっと、そういう意図だったのだろう。 《イフ・ユー・クッド・スィー・ミー・ナウ》をボンヤリと聴きながら、うーむ、プレイだけではなく、もっと音の配列や距離をいろいろと考えなければならないんだろうなぁ、きっと彼女はそれを伝えたかったんだろうなぁと思った。 非常に聴きやすいギル・エヴァンスなので、ギル入門者には打ってつけのアルバムともいえる。 しかも、聴くごとにサウンドの色彩が微妙に異なるのも、まさにギル・マジックとでもいうべきか。 フレンチホルンを配して柔らかな厚みを持たせることが得意なギルだが、このアルバムでは、フレンチホルン意外にもバストロンボーンにバスーンという低音域を担う管楽器を効果的に配置している。 だからといって、全体のサウンドは低音寄りというわけでもなく、見事に聴きやすい浮遊感あるアレンジに仕上がっている。 このような楽器と音色のセレクト、そしてこれらをまとめあげて、奥行きのあるサウンドを作り上げることが出来るのはギルをおいて他はいない。 もし、彼女の意図が、これ聴いてアレンジの勉強しなさいだとすれば、それは、とても無理でございます(笑)。 |
| (2009/02/20) |
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