AT THE MONTERUX JAZZ FESTIVAL (Verve) |
| - Bill Evans |
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Bill Evans (p) Eddie Gomez (b) Jack De Johnette (ds) 1968/06/15 at the Montreux,Switzerland |
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俗称、「お城のエヴァンス」。 実は、私はこのアルバムが長い間苦手で、遠避けていた。 CD棚の肥やしになっていたと言っても過言ではない。 1,イントロのMCが腰砕け。 2,エディ・ゴメスのトレブリーなベースの音が耳に痛い。 という、二つの理由からだった。 ただし、マイルス作曲の《ナルディス》は、テーマのメロディが好きなので、“一曲聴き”をすることもあったが、やっぱりテーマ直後のエディ・ゴメスのカッツン・カッツンしたトレブリーなベースの音がどうしても嫌で、そのテクニックの凄さは別として、音色的に嫌だなぁと思っていたのだ。 「坊主憎けりゃ、袈裟まで…」ではないが、「ゴメス憎けりゃ、盤まで…」で、私の場合、なかなかこのアルバムを好きになれなかった。 そんなことが長い間続いていたのだが、最近はこのアルバムのことを見なおしている。 以前、ジャズのライブをやる際に、共演者と私の自宅で演奏する曲の選曲作業を行った際、《ワン・フォー・ヘレン》をやってみようかという話になった。 この曲は、エヴァンスの当時のマネージャー、ヘレン・キーン女史に捧げた曲だ。 参考になる演奏として「お城のエヴァンス」を聴いてみようということになり、久々に一曲目を再生してみた。 冒頭のMCは相変わらず腰砕けだったが、《ワン・フォー・ヘレン》を改めて聴き直してみると、その演奏のアグレッシヴさにも腰が砕けてしまった。 ベースがカッツン・カッツンしているのは相変わらずだったが、エヴァンスのピアノって、こんなに攻撃的だったっけ?と思うほど、演奏が熱い。 三者三様、定型リズムを刻んでいるというわけでもないのに、演奏がピッタリと一つの方向にまとまっているのにも驚いた。 うわ、こりゃ凄いや、自分はなんておいしいところを聞き逃していたのだろうと、反省。 そして、ドラムのジャック・ディジョネットの存在を忘れていたことにも反省。 ドラムの録音のバランスが、ピアノとベースよりも少し引っ込んで聴こえることも、なかなかドラムまでに耳が回らなかった一因だが、ジャック・ディジョネットのドラムに耳を傾けると、ドラムを通して、改めてこの演奏の凄さが見えてきたような気がした。 「4つ」を分かりやすく刻まないタイプのドラマーとの共演の多いエヴァンスだが、ジャックも例外ではなく、彼独特のドラムの突っ込んだ感じ、たたみかけるようなエネルギーは、演奏に独特なテンションをもたらしている。 《ワン・フォー・ヘレン》のジャックのドラミング、「まるでメロディを先回りして叩いている」かのようなシンバルの刻み方は、なかなか面白い。 「エネルギッシュ過ぎるドラムに合わせようとするあまり、いつものエヴァンスらしくない」とか、「ちょっと冷静さを欠いたエヴァンスなのではないか?」と指摘する人もいるが、私はバラードのエヴァンスも良いが、過激なエヴァンスはもっと好きなので、いいぞいいぞ、もっと行け!ってな感じだ。 しかし、エディ・ゴメスのベースの音を不自然に増幅させた音は相変わらず耳に馴染まない。 録音された年(68年)のPA技術、そしてライブ録音だったということも考えれば、いたしかたないことなのかもしれないが…。 ちなみに、このアルバムは、モントルー・ジャズ・フェスティバルのアルバム化の第一号でもある。 当時のジャック・ディジョネットは、チャールズ・ロイドのバンドに在籍中だったために、エヴァンスとの共演作は、「お城のエヴァンス」での1枚のみ。そういった意味でも貴重な記録だ。 ジャックの参加によって、勢いのついた《いつか王子様が》も聴きもの。 『ポートレイト・イン・ジャズ』のバージョンと聴き比べてみるのも一興だと思う。 |
| (2002/06/23) |
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