SWING AND SOUL (Blue Note) |
| - Lou Donaldson |
|
|
Lou Donaldson (as) Herman Foster (p) "Peck" Morrison (b) Dave Bailey (ds) Ray Barretto (per) 1957/06/09 |
|
|
|
このアルバムにはルー・ドナルドソンの魅力がたっぷり凝縮されている。 彼の魅力とは? 大きくわけて3つあると思う。 まずは、生粋のバッパーとしての側面。 彼は、パーカーに肉薄するほどの生粋のバッパーなのだ。 アート・ブレイキーの『バードランドの夜』の演奏に代表されるように、彼は、本家チャーリー・パーカーに迫る勢いで、とにかくビ・バップ特有の複雑な曲線を描く旋律を、軽快に勢いよく吹く。 しかも、滑らかに朗々と。 パーカー直系といわれているマクリーンでさえ、こんなに流暢なフレーズは吹かない(吹けない)。 彼の場合はもっと音が詰まる(それがまたイイんだけれども)。 しかも、これは第2の特徴でもあるのだが、ドナルドソンの音色は澄んでいて、伸びやか。非常に美しい。 本家パーカーの音色はもっと分厚くザクザクした迫力があるが、ドナルドソンの音色は、絹ごし豆腐のようにどこまでも滑らかなのだ。 これは、彼がパーカー以前に影響を受けているジョニー・ホッジスの流れを汲んでいるのだが、この音色で、複雑なフレーズを流暢に吹くわけだから、聴く側の快感指数はかなり高い。 音色一発でも充分に聴かせるだけの実力を持っているのだ。 澄んだ音色で、複雑なフレーズをサラリと吹くもう一人のアルト奏者に、キャノンボール・アダレイがいるが、彼と比較した場合、ルードナのほうが、フレーズが軽やかだ。 あくまで、口笛を吹くかのように“さらり”と吹かれるところがポイント。 この、軽やかで澄んだ音色が存分に生かされているのが、3番目の特徴のソウルフルなテイスト。 名盤『アリゲーター・ブーガルー』のようなアーシーでソウルフルなリズムにも、ピッタリとフィットするのがドナルドソンの音色なのだ。 軽やかな音色とフレージング。 JB(ジェームズ・ブラウン)との共演で名を馳せた、ファンク&ソウルの第一人者とでもいうべきアルトサックス吹きメイシオ・パーカーも、軽やかで澄んだ音色なことからも分かるとおり、ソウルやファンクのような重くて粘るリズムには、軽やかで明るい音色がよく似合うのだ。 以上、バップ、音色、ソウルと3つの特徴を挙げたが、この3つの魅力がバランスよくブレンドされているのが、『スイング・アンド・ソウル』なのだ。 まさにタイトル通りで、スイング、つまりジャズの要素と、土臭いソウルの要素が見事に融合し、まさにバップからソウルへ移行する過程のドナルドソンのオイシイところが惜しげもなく注入されているのが本盤なのだ。 収録されている曲も、メランコリーなバラードから、マンボ、さらにはユニークな解釈のスタンダード、そしてお得意のブルースまでとバリエーションが広い。 しかも、どの曲の演奏クオリティが高いうえに、きちんと全体の統一感もあるという秀逸な内容。 いきなりメランコリックなバラードからスタートするのにも意表をつかれるが、澄んだ音色で物憂げに吹かれる《ドロシー》を聴いているうちに、すぐさまこのアルバムの世界に引き込まれてしまう。 作曲者ハーマン・フォスター(この時期の彼の右腕とも言うべきピアニスト)の名を冠した《ハーマンズ・マンボ》もパーカッションの参加が生きているうえに、ドナルドソンのアルトも冴え渡っている。 シンプルなブルースながら、ソロの後半に炸裂するパーカーばりのドナルドソン節の斬れ味は鋭く美しい。 通常はミドルテンポで演奏されることの多い、《ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー》は、スローテンポで演奏されている。 テンポが落ちると、これほどまでにシミジミするものなのかと驚いてしまう。 ラストのブルース、《グリッツ・アンド・グレイヴィ》は、パーカーの《パーカーズ・ムード》を彷彿とさせる内容だが、サヴォイ盤の名演の同曲を凌駕するほどの演奏だと思う。 ペック・モリソンのイントロのベースも効果満点だ。 ルー・ドナルドソンといえば、名盤『ブルース・ウォーク』をフェイヴァリットに挙げる人は多い。 私も例に漏れず、だ。 しかし、このテイストを維持しつつ、もう少しバップの香りを求めるのならば、『ブルース・ウォーク』の前年に吹き込まれたこのアルバムが最適だろう。 個人的には、ルー・ドナルドソンの最高傑作として推したい。 |
| (2005/09/20) |
|
|
|
|
All Rights Reserved. |