OUTWORD BOUND (Prestige) |
| - Eric Dolphy |
|
|
Eric Dolphy (as,bcl,fl) Freddie Hubbard (tp) Jackie Byard (p) George Tucker (b) Roy Haynes (ds) 1960/04/01 |
|
|
|
かつては『惑星』という邦題で日本盤が売り出されていたこともあるという、エリック・ドルフィー31歳のときの初リーダーアルバムだ。 ドルフィーの作品の中では聴きやすい部類に入る1枚といえるが、そのぶん私のような重度のドルフィー・マニアな私にとっては、少々喰い足りない1枚ではある。 リズム・フィギュアは、きわめてフツーのハードバップな4ビート。 だからこそ、よりいっそうドルフィーの異色さが際立つと同時に、オーソドックスな4ビートジャズとドルフィーというジャズマンの距離感を測るにはもってこいな演奏内容だし、初心者にも比較的容易に入り込める演奏だと思う。 また、ごく普通の4ビートのリズムからドルフィーが浮いているというわけでもなく、キチンと違和感なく溶け合っていることにも注目。 このことからも、ドルフィーというプレイヤーの特質を知るには十分な内容ではある。 つまり、彼はオーネット・コールマンのように「突然変異的な語法」でいきなりジャズ界に出現したのではなく、あくまでビ・バップの語法をマスターした上で、それを下敷きにした上で独自の語法を開拓していった人なのだ。 ま、このことは、さまざまなジャズ書やライナーで言われていることなので、あまり多くは繰り返さないが、音としてもっとも実感できるのは、このアルバムや『ファー・クライ』が最適だろう。 テーマの前半のリフをバス・クラリネットで奏でる《グリーン・ドルフィン・ストリート》が、ドルフィー入門者の間では人気のようだ。 ドルフィー奏でるバスクラのあの音色、あのリフ。 従来のこの曲のイメージを、ひっくり返しまではしないけれども、新しい解釈と光を当てたことには間違いない。 以前、「エリック・ドルフィーってあんまり好きじゃないの」という女の子に、このアルバムの《グリーン・ドルフィン・ストリート》を聴かせたら、一発で虜になっていた。 もちろん、曲やアレンジの良さも、大きな魅力だったのだろうが、バスクラリネットのある種、官能的な音色とフレージングも彼女の脳髄を直撃したようだ。 掴みが抜群という意味では、《グリーン・ドルフィン・ストリート》は、このアルバムの"顔"なのかもしれない。 それともう一曲。 フルートで奏でられるバラード《グラッド・トゥ・ビー・アンハッピー》も耳に心地よいためか人気が高い。 しかし、私は後年になっても、繰り返し演奏し続けた《G.W.》や《レス》を見逃すべきではないと思う。 是非、今後ドルフィーを聴き続けてゆこうと思う人は、この2曲を聴きこみ、めくるめくスピード感が大きな持ち味のドルフィーの素晴らしさを体感し、観賞の"基礎耳"を築いて欲しい。 この時期、初期の演奏は、非常にオーソドックスで聴きやすいが、とてもドルフィーらしさのあらわれた曲、演奏であり、とくに《レス》のアルトでのソロは素晴らしい。 スピード感、特異なフレージングとアーティキュレーション。 ドルフィーにしか表現できない独特な音色、演奏は、こちらの耳と脳を心地よく刺激する。 ドルフィー入門に最適。しかし、この1枚では終わらないで欲しい。 あくまでこのアルバムは入り口。まだまだドルフィー・ワールドは奥の奥まで続いているのだから。 |
| (2009/11/15) (加筆修正 2010/11/12) |
|
|
|
|
All Rights Reserved. |