DARK BEAUTY (Steeple Chase)
- Kenny Drew

  1. Run Away
  2. Dark Beauty
  3. Summer Nights
  4. All Blues
  5. A Felicidate (*)
  6. It Could Happen To You
  7. Love Letters
  8. Silk Bossa
  9. Blues Inn
  10. In Your Own Sweet Way (*)
  11. A Stranger In Paradise (*)

Kenny Drew (p)
Niels-Henning φrsted Pedersen (b)
Albert "Tootie" Heath (ds)

1974//05/21 & 22

トタパタ・トタパタ。トタトタ・トスントスン……。

このアルバムのアルバート・ヒースのドラミングを音にすると、こんな感じになる。
横に揺れるというよりも、垂直に斬り込むようなノリのドラミングが、アルバム全体を支配している。

それがプラスに作用していると感じるのは、《オール・ブルース》のドラム。
「垂直斬り込み打法」が圧巻だ。
ひたすらドライブしまくる演奏は、ものすごい高揚感をもたらしてくれる。

逆に、どうもケニー・ドリューのピアノよりも、ポタパタしたスネア・ワークに耳がいってしまいがちなのが、一曲目の《ラン・アウェイ》。
御機嫌にスイングしているドリューのピアノの前で、ボクサーが規則正しくサンドバッグを殴っているようだ。
一旦気になると、ピアノよりもドラムのほうばかりに耳が吸い付いてしまう。
せっかく、ベースとピアノのかけ合いがゴキゲンなこの曲も、アルバート・ヒースのドラミングで良さが半減していると感じるのは、私だけだろうか?
いや、こういうドラミングだって面白いじゃないか、という人もいるので、横乗りでぶいぶいと言わせた方がいいと思っているのは、もしかしたら私だけかもしれないが。

渡欧し、コペンハーゲンに居を据えたケニー・ドリュー。
その後、晩年まで活動を伴にする14歳年下の素晴らしいベーシスト、ニールス・ヘニング・エルステッド・ぺデルセンと、躍動感溢れるドラミングを叩きだすアルバート・ヒースという俊英2名とトリオを組んだケニー・ドリュー。

長らく続く、このトリオのキャリアの初期に吹き込まれたこのアルバムは、ヨーロッパ時代に出したピアノ・トリオの中では最高傑作との誉れも高い。

50年代のブルーノートやリヴァーサイド時代のドリューの演奏も素晴らしいが、渡欧後のこのアルバムは、アメリカ時代にはない新しい表現の境地が感じられる。
シャキッ!と音の粒立ちが良く、メリハリの利いたタッチは相変わらずだが、アメリカ時代には無いエレガントさも芽生えているし、タイトル曲を聴けば分かるとおり、スローテンポの演奏が、より一層深みを増しているような気がする。

アルバート・ヒースのドラミングには好き嫌いが分かれるだろうが、アルバム全体に漲る躍動感、ドライブ感は素晴らしいので、ケニー・ドリューを知らない人にも安心して薦められる内容だ。
むしろ、彼の晩年に日本のレコード会社が企画、制作した、ドリューにスタンダードばっかりを弾かせた一連のアルバムよりは、ずっと素晴らしい内容だと思う。
(2002/05/29) 
(加筆修正 2009/12/22) 


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